第1戦カタール1812kmで優勝した50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)。イモラで開幕2連勝、そして昨年のリベンジなるか 2月下旬に中東のカタール開幕したWEC世界耐久選手権の2025年シーズン第2戦が、4月18日から20日にかけてイモラ・サーキットで開催される。スパ、ル・マンと続いていく“ヨーロッパ3連戦”の第一ラウンドの舞台となるイモラのパドックより、走行前日の各種トピックをお届けする。
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■多くのドライバーが連戦に
今季2戦目となる今週末のイモラ6時間レースには、36台のマシンがエントリーしている。エントリーリストに見られる変更はごくわずかだ。
LMGT3クラスに参戦しているアコーディスASPチームは、負傷したベン・バーニコートの代役として、エステバン・マッソンを起用している。マッソンはアーノルド・ロバンとフィン・ゲルシッツとチームを組み78号車レクサスRC F GT3をドライブする。
一方、ハイパーカークラスのハート・オブ・レーシング・チーム(アストンマーティンTHORチーム)は、2台のヴァルキリーのラインナップを縮小し007号車はハリー・ティンクネルとトム・ギャンブル、009号車はアレックス・リベラスとマルコ・ソーレンセンの各2名とした。
開幕戦に引き続きポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのラインアップに加わるマシュー・ジャミネ(5号車ポルシェ963)とマット・キャンベル(同6号車)は、ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカでの2日間のテストを終え、水曜日の夜にイタリアに到着した。このテストでは、まだ発表されていないレクサスGT3カーも、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦中のマシンとともに周回を重ねた。
ギャンブル、ジャミネ、キャンベルは、先週末の『アキュラ・グランプリ・オブ・ロングビーチ』に出場した多くのドライバーの中に含まれていた。世界的なスポーツカーレースの繁忙期のなかで、レースが立て続けに開催されている。ドリスとローレンスのファントール兄弟、アール・バンバー、シェルドン・ファン・デル・リンデもカリフォルニアのイベントに出場した。
一方、ポール・リカールで開催されたGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・エンデュランス・カップのシーズン開幕戦を終えたばかりのドライバーも多数参加しており、その中にはソーレンセン、ラファエル・マルチエロ、ジュール・グーノン、アントニオ・フォコ、アレッサンドロ・ピエール・グイディ、アレッシオ・ロベラ、マティア・ドルディ、アウグスト・ファーフス、ケルビン・ファン・デル・リンデ、ダビデ・リゴン、マッテオ・カイローリ、マキシム・マルタン、ベン・タック、ダレン・ラーン、リヒャルト・リエツ、ショーン・ゲラエルなどが含まれている。
■トヨタGR010ハイブリッド、テストでクラッシュ
今週末のイベントは、2028年までの開催を保証するイモラとの4年間の契約延長契約の一環として建設された追加ピットガレージを、WECが初めて使用する機会となる。ピットエントリーに設置されたこの追加ガレージは今週末、プロトン・コンペティションのフォード・マスタングGT3とカスタマーチームのポルシェ963が使用することになっている。
トヨタ・ガズー・レーシングのテクニカルディレクターであるデイビッド・フルーリーは、今月初めのスパ・フランコルシャンでのテスト中にプーオン(ターン10)で発生したGR010ハイブリッドのアクシデントについて、軽視した見解を示した。
「初日に少しコースオフがあったが、2日目にはマシンを修復できた」とフルーリーは語った。同氏によると、テストに使用された車両はイモラにエントリーしている2台のGR010ハイブリッドとは異なるシャシーだという。
アストンマーティンTHORチームのヴァルキリーもスパのテストで大きなアクシデントに見舞われた。クルマはテスト用のシャーシ、ドライバーも無傷であったため、今週末の準備に影響はなかったとSportscar365は理解している。
■2025年はミディアムとソフト
イモラでの今年のレースはタイヤコンパウドに変更があり、ハイパーカーチームは昨年のミックスコンディションレースで使用されていたミディアムとハードではなく、ミシュランのソフトとミディアムコンパウンドのタイヤを使用する。ミシュランの耐久レース・プログラムマネージャーであるピエール・アルベスは、この変更によりふたたびトリプルスティントが可能になると考えている。
アルベスは次のように説明した。「今回のレースでは、ミディアムコンパウンドが依然として非常に適しているが、ソフトタイヤと組み合わせることで、さらに効果的になると考えている。イモラのトラックレイアウトは、タイヤの急速なウォームアップにはあまり適していない。そのため、この組み合わせにより、パートナー各社は最初の数周から最適なパフォーマンスを発揮し、6時間レースを通して安定したパフォーマンスを維持できるはずだ」
トヨタ・ガズー・レーシングのフルーリーは今週末、各チームがミシュランのソフトタイヤを使用する可能性があると考えている。ただし、断続的な雨の予報が出ているため、状況次第となるだろう。
彼は次のように述べた。「たしかに、ミディアムタイヤは昨年の滑りやすい路面で少しトリッキーだった。そのため、コンディションが混在する状況では、ソフトタイヤにチャンスが生まれるだろう」
フルーリーは、トヨタGR010ハイブリッドのパフォーマンスが、カタールGPで苦戦しながらも5位と6位に入った時よりも、今週末の方が良くなるとは予想していないと述べた。「ライバルチームと比べて、パフォーマンスのワーキングポイントはさらに悪い」と彼は語った。「フェラーリとのギャップは縮まっておらず、他のチームは我々と比べて改善している。奇跡は信じていない。私たちは最大限のポイントを獲得できるよう、全力を尽くすだけだ」
■現行レギュレーションがさらに延長か
Sportscar365は、現行のハイパーカー技術規則が2032年末まで、さらに3シーズン延長される可能性があると理解している。これは主に、2026年と2027年にそれぞれシリーズに新規参入するジェネシス、フォード、マクラーレンに対応するためだ。
現行レギュレーションの延長は、ポルシェ・モータースポーツのトーマス・ローデンバッハ代表が2030年にLMDhとLMH(ル・マン・ハイパーカー)を組み合わせたまったく新しい規則セットを導入すべきだという提案に反することになる。
ACOフランス西部自動車クラブが提案する水素クラスは、現在のところ2028年まで延期されているが、このタイムラインにどう位置づけられるかは不明だ。正式な規則がまだ発表されていないため、さらに延期されるといううわさもある。
■追悼ステッカーとともに
ポルシェ、アルピーヌ、プジョー、キャデラックは、今週末のレースに備えるため先月、イモラでテストを行ったとみられており、キャデラック・ハーツ・チームJOTAのドライバー、アレックス・リンは、2日間のテストでさまざまなコンディションが混在したと説明した。
リンは次のように述べている。「テスト中はドライコンディションとウエットコンディションの両方で走行することができ、ドライバーとチームの両方にとって有益だった。テストはポジティブで、多くのことを学ぶことができたよ。昨年よりも確実に改善できるサーキットだと思うし、全体的に大きく改善できたと確信している」
チームWRTのBMW4台すべてに、最近亡くなったゲルハルト・ロイター氏を追悼するステッカーが貼られている。ロイター氏は生前、BMW Mモータースポーツのマーケティング・アクティベーション・チームのテクニカルリーダーを務めていた。
昨年と同様に、木曜日の午後と夕方にはイモラ市内中心部で、サイン会を含むドライバーズプレゼンテーションイベントが開催され、ドライバーとチームマネージャーのブリーフィングも同じ場所で実施された。
18日金曜には公式のオントラックアクションが始まる。フリープラクティス1(FP1)は11時15分(日本時間18時15分)から、FP2は16時(日本時間23時)から行われ、両セッションとも走行時間は90分間となっている。
[オートスポーツweb 2025年04月18日]