再就職を検討するFIRE民=早期リタイア組も!? トランプ関税ショックが日本の個人投資家を直撃中!

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2025年04月18日 18:10  週プレNEWS

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劇場型政治とも揶揄されるトランプ政権だが、関税戦争の「オチ」はどのような形で用意されているのだろうか


4月のトランプ大統領による「相互関税」発表で、世界的に株価が暴落するなど不安定な市場が続いている。特に中国との関税引き上げ合戦は、泥仕合の様相を呈しており、そこに世界市場が巻き込まれる形となっている。

そんななか、特に動揺を隠せないのが、「新NISA」を機に昨年投資を始めたばかりのサラリーマンや、配当金でセミリタイヤ生活を送る「FIRE民」など、国内の個人投資家だ。

【写真】トランプ、自身の関税政策を自画自賛?

■NISA買い付け額は目標突破も‥‥

日本の投資環境については、NISAが2024年1月から非課税運用期間が無期限になったり年間非課税投資枠が拡大されたりするいわゆる「新NISA」に移行しており、一般投資家にとっては追い風になっている状況だ。事実、日本証券業協会の発表によると、2024年に開設されたNISA口座数は約340万口座で、2023年の約1.5倍に上る。

加えて、NISAの買い付け額も累計で2024年2月までに56兆円超に達した。2022年に当時の岸田文雄内閣が「資産所得倍増プラン」の中で掲げた「今後5年間で56兆円に倍増させる」という目標を3年前倒しで達成したことなる。

全国紙経済部のデスクが解説する。

「好景気が続いていた米国株のなかでも、特に『GAFAM』(※Google、Apple、Facebook=現Meta=、Amazon、Microsoftの頭文字)と呼ばれるビックテックや『S&P500』をはじめとする銘柄への関心、ブームの高まりを背景に、岸田内閣時代に始まった新NISAが追い風となり、日本でも投資を始める人が急増しました。

また、最近ではオルカンと呼ばれる全世界株型のファンドが注目を集めていますが、それらの銘柄の多くは投資対象の5割以上を米国株が占めていることがほとんど。NISAの導入には、国内企業の成長促進という意味もありますが、結果的にNISA買い付け額では米国株に偏りすぎているという指摘もある」

■トランプ関税の激震 

そんな投資熱の高まりを一気に冷めさせたのが、トランプ大統領が4月に発表した世界各国が対象の「相互関税」だ。4月4日のNYダウは終値で2231ドル安と、史上3番目の下げ幅に。日本でも4月7日の日経平均株価の下げ幅は一時2900円を超え、終値は3万1136円。終値での下げ幅は史上3番目となった。

「昨年、新NISAスタートに合わせて口座を作ったんですが、結果は散々です。今回のトランプ関税で含み損がついに100万を超えました。妻には言えません」

そう肩を落とすのは、都内のIT企業で営業職として働いている富田政伸さん(仮名)、49歳。都内の私立大学に通う長男とパート勤めの妻がいて、13年前に買った横浜の自宅マンションから通勤している。

富田さんのNISA枠も、米国株と日本株がその大半を占めていたことで、トランプ関税ショックを直撃することになった。

「息子もようやく大学生になり先が見えたので、老後資金の足しにでもなればと昨年2月からNISAで『S&P500』のETFや日本の大型株を買いました。順調すぎるぐらいに含み益は増えていたのですが、昨年夏に株価急落。慌てふためいて売ったら、その後に株価は急回復という憂き目に...。そして今回のトランプの関税でさらに悲惨な有様です」(富田さん)


ここで富田さんが言う昨年夏の株価急落とは、2024年8月5日に米国の景気悪化懸念など、複合的な要因で株価が1日で4000円以上暴落した「令和のブラックマンデー」を指す。

「昨年夏の『ブラックマンデー』に続き、今回のトランプ砲。株価は下がるのは一瞬ですよ。100万円以上の含み損を抱え、売るに売れず、かといって買う資金も勇気もない。途方に暮れています」(富田さん)

■FIRE民からも不安の声

一方、SNS界隈で「FIRE民」と呼ばれる早期リタイア組も不安を隠せない。彼らは株式による配当金を生活費として充てていることが多いためだ。千葉県に住む阿部真一さん(仮名)は、2年前の50歳の時に会社を早期退職。加算された退職金のほとんどを米国と日本の高配当銘柄に突っ込んだ。年間で200万円ほどの配当収入があり、時折短期アルバイトを入れて生活している。

「子どもはもう社会人で、バツイチ独り身なんで配当金で自由に暮らしてきました。株価の上下もあまり気にしなかったけど、今回のトランプによる理不尽な関税発動、それによる株価暴落はこれまでの常識が通用しない気がして、そこが怖いですね」(阿部さん)


米国の「相互関税」を発表後、早速中国は報復措置を発表。これを受け、米国は中国製品への関税を上乗せすると表明。複数の報道によると中国製品への関税率は145%になったとみられる。株式市場の不透明感は増すばかりだ。

「このまま世界的に景気が後退して企業の業績が悪化すれば、減配するところも出てくるでしょう。そうなったら、また働き始めるしかないと思っています」(阿部さん)

一方、同じく配当金を主な収入として、セミリタイア生活を送る都内在住の宮川賢太さん(仮名、52歳)は、今回の株価乱高下に「過度に心配になることもない」とも話す。

「コロナの時も暴落しましたが、半年で株価は戻りました。リーマンショックは5年かかりましたが、やはり株価は戻りました。企業の減配は確かに怖いですが、今回は原因がトランプとはっきりしている。トランプが交代するまで我々のような『FIRE民』は落ち着かないと思いますが、今こそ長期視点の胆力が試される時です」(宮川さん)

関税戦争に端を発した世界恐慌が起こらないことを祈るばかりだ。

文/山本優希 写真/イーロン・マスク公式X ドナルド・トランプ公式インスタグラム、中国日本大使館公式X

このニュースに関するつぶやき

  • リスク分散できてないだけ、トランプ関税で大きく下げてるのはアメリカに輸出してる所。輸入側は円高のおかげで有利になるし。今月は神戸物産(教務スーパー)けっこう上がったなぁ
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