
前回からの続き。私(コハル)は、ママ(リサ)と2人暮らしをしています。パパは私が3才くらいのときに亡くなってしまいました。漫画家だったパパのことは正直あまり覚えてないけれど、家にはパパが描いた漫画の単行本やキャラクターグッズが飾られています。ママは在宅でイラストレーターをしているようです。ママの仕事についてはあまりよく知らないけれど、パパと同じく絵を仕事にできていることに、尊敬の念を抱いていました。それなのに、ママの職業が大人向けの漫画家だと発覚! ずっとパパのような温かい作品を描いているものだとばかり思っていたのに……。しかもそれを「私を育てるためだ」と恩着せがましく言ってくるのです。私はママの仕事を許すことができませんでした。


私はバイトをしながらも、ママの描いた絵が頭の中から離れませんでした。「最低……」その言葉しか出てきませんでした。そんなことを想いながらバイトをしていると、一緒にシフトに入っているアミさんから声をかけられました。私は休憩のときに、アミさんに話をしました。本当は恥ずかしくてこんな話はしたくなかったけれど、ウチと同じくシングルマザー家庭で育ったアミさんだったら分かってくれる……そう思ったのです。



私は、ママにはエロ漫画とか人に言えないような仕事をコソコソやるんじゃなくて、もっと……普通の仕事をしていてほしかったと思うのです。
たとえ、それで今の生活が手に入らなくても別によかった。エロ漫画を描かれるくらいなら、貧乏の方がずっとマシです。
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私はママにエロ漫画なんて描いてほしくなかった。
エロ漫画を描くくらいなら、貧乏でもいいから別の仕事をしてほしかった。
もし私が我慢しないといけないことがあったならば我慢したし、自分のことは自分でやるから、エロ漫画なんて描いてほしくなかったのです。
けれどこの話をすると、アミさんは大爆笑。
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こんなに真剣に考えているのに……。
そしてそんな私を「羨ましい」とも言うアミさん。
エロ漫画家の子どもであることのどこを羨ましいと思うのか……皆目見当がつきませんでした。
【第7話】へ続く。
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