LNG輸入拡大、本格検討=対米黒字削減、関税交渉カードに―政府

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2025年04月22日 08:01  時事通信社

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時事通信社

 政府は、米国からの液化天然ガス(LNG)の輸入拡大について本格的な検討に入った。トランプ米政権の関税措置見直しを巡る日米交渉では、米側が求める日本の貿易黒字削減に向け、どのような具体策を打ち出すかが焦点。対米黒字の圧縮に直結するLNGの輸入拡大は、日本にとって有力な交渉カードになり得るとみている。

 日本は2024年に米国から5426億円のLNGを輸入。国別ではオーストラリア、マレーシア、ロシアに次ぐ4位で、シェアは8.7%だった。ロシアからも依然として5481億円を輸入しているが、同国のウクライナ侵攻で供給途絶のリスクが鮮明となり、エネルギー安全保障の観点から調達先の分散が課題となっている。

 日米両国は2月の首脳会談で、日本が米国産LNGの輸入を増やすことで合意。石破茂首相は今月20日のNHK番組でも「(米のシェアを)高めていくことはあり得る」との考えを示した。

 日本側は価格などの条件を踏まえて詳細を詰める。民間の契約では「長期安定調達が担保されるかが重要」(エネルギー大手)とされる。唐突な高関税の賦課といった政策の不確実性を取り除くべく、交渉で働き掛けていく可能性がある。

 ただ、日本の対米黒字は24年に8兆6281億円と巨額で、LNG輸入の拡大だけで解消するのは難しい。日本は非関税障壁の是正なども含むパッケージを米側に提示し、相互関税や自動車などへの追加関税の適用除外を求める考えだ。

 一方、トランプ大統領は、米アラスカ州のLNG開発事業を日米共同で進めることに意欲を示している。3月に議会演説で「日本、韓国などが巨額の投資を望んでいる」とも発言した。実現すれば、中米のパナマ運河を経由する現行ルートに比べてLNGの輸送日数短縮や輸送費削減につながる可能性はある。

 ただ、同事業は同州北部から南部まで約1300キロのパイプラインを整備するという壮大な構想。電気事業連合会の林欣吾会長は「コストなどが全然分からない。どういう条件があるのか評価していく必要がある」と指摘する。「計画の実現可能性を精査するべきだ」(経済官庁幹部)との声は強く、日本側は関与の在り方を慎重に検討していく構えだ。 

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  • 安倍晋三が巨額の資金投入したシベリアガスは道義的にも止める必要がある。資源貧国の日本は燃料だけでなく鉱石も外国の言いなりになるしかない。
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