UTAのinstagramより 本木雅弘の息子であり、世界のファッションシーンを舞台に活躍するモデル・UTAが、俳優デビューするらしい……。
噂の域を出ないネット記事ながら、でもそれはそれでほんとうなら期待を寄せたいと思った。
男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、父・本木雅弘との共演などを振り返りながら、UTAの圧倒的魅力を解説する。
◆表札には有名スター夫婦の名前……
この立派な家には、いったいどんなきらびやかな人々が出入りしているのだろうかと、いやしくも覗き込みたくなった門構えがある。表札にはあの有名スター夫婦の名前……。
口癖「ロックンロール」でおなじみのロックスター内田裕也と日本を代表する名優・樹木希林である。筆者はある撮影現場までの道中、その表札と門構えを目にした。有名人の自宅訪問気分とはちょっとニュアンスが違うが、不思議とワクワクした。
ここは自由に想像を広げさせてもらう。再度冒頭の疑問。ここにはどんな人々が出入りするのか。内田・樹木の長女・内田也哉子は1995年に本木雅弘と結婚した。ふたりの間にはさらに長男・UTAが生まれた。彼らが揃ってあの立派な門をくぐる様子を半ば羨望の眼差しで勝手に想像してしまう。
◆1997年生まれのサラブレッド
こういう表現はほんとうに嫌いだけれど、芸能一家に育ったUTAは、正真正銘のサラブレッドだ。1997年生まれ、現在28歳。度々メディアで注目されている。
UTAにとってはほとんど初テレビ収録だったのが、『アナザースカイ』(日本テレビ)レギュラー放送復活初回でのゲスト登場(2022年10月7日放送回)だ。訪問先はフロリダ。UTAは12歳でスイスに、16歳でフロリダに留学している。
国際色豊かな青春期をフロリダのスポーツ教育機関で、バスケットボールに捧げたことが番組内では描かれていた。奥ゆかしい精神世界をのぞかせるが、端正で美麗な存在感には誰もが圧倒される。
◆本木雅弘とのCM初共演
バスケットボールに打ち込んだことからもわかるように、190センチの長身と美麗な雰囲気が世界レベルのアドバンテージになっている。大学2年生でパリコレクションデビュー。世界を舞台に活躍している。
国内でおそらくもっとも注目されたのは、「伊右衛門」でもおなじみの父・本木雅弘とのCM初共演として「サントリー天然水 GREEN TEA」広告に起用されたことだ。
「時代は変わる。それだけで人間は変わらない」というコピーの下、撮影には広告カメラマンなど制作スタッフは一切介在せず、アングル、ポーズ、ロケーションなど全てを二人で進めたという。
父よりも背丈がある息子が、父の肩に腕を回す。本木が「2人とも同じところに立てたという感覚が持てました」と言うように、たしかに父と息子ではあるけれど、広告写真としてのたたずまいと要件をみたすあざやかな一枚である。
◆俳優デビュー情報
結果的に選ばれたのはこの一枚だが、父と息子の間で実に100枚以上もの写真が撮影された。メイキング映像を見ると、セットでCM映像撮影中の本木に、カメラ袖にいるUTAが熱心にカメラを向けている。
手前味噌ながら、本木とUTA間の了解で撮影されたすべての素材が、特別な手触りを持っているように思う。メイキング冒頭では、本木がUTAに説明しているカットがある。
ふたりがフレーム外、下手方向へ揃って視線を向けるとき、斜めの構図の中で面影を重ね合うかのような一瞬の美しさが現前する。特徴的な凛々しい眉毛が共通していて、画面上に神々しく平行する均整美みたいなものすらある。
ホットな話題としては「デイリー新潮」に掲載された記事で、製作発表されたNetflix新作ドラマ『ガス人間』に、UTAがガス人間役で俳優デビューするのではないかという噂レベルの情報がある。
真偽はどうあれ、『シコふんじゃった。』(1991年)の周防正行監督が、主演の本木に学生相撲選手を演じさせたくらいのイマジネーションあふれる役柄で、UTAもまた俳優デビューしてほしいものである。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu