北陸 3か月予報 春でも熱中症 暑熱順化を急ごう 梅雨入り前でも短時間強雨に注意

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2025年04月22日 15:25  日本気象協会

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日本気象協会

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この先も平均気温は平年より高く、かなり高い日もありそうです。春なのに25度以上の夏日が多く、次第に30度以上の真夏日となる日も多くなるでしょう。ただ、5月頃までは気温が上昇してもからっとした暑さの日が多くなっています。本格的な夏になる前に、暑さに身体を慣らす暑熱順化を早めに行いましょう。熱中症による救急搬送はゼロがベスト、少なければ良いという問題ではありません。皆さんで取り組み、小さなお子さんやご高齢の方に関しては、周囲の大人が積極的に気を配るようにしていきましょう。

3か月予報 今夏も猛暑

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4月22日、新潟地方気象台は、北陸東部の新潟県と北陸西部(三県)の福井県・石川県・富山県の4県を対象とした「北陸地方の向こう3か月の天候の見通し」を発表しました。そのポイントは、「暖かい空気に覆われやすいため、向こう3か月の気温は高い」ということです。

地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度が高い状態が継続しています。更に、上空の偏西風は平年より北を流れやすい予想で、チベット高気圧は平年より北側で強く、太平洋高気圧も平年より日本付近への張り出しが強い見込みです。

このため、北陸地方は暖かい空気に覆われやすく、今夏は猛暑となるでしょう。熱中症などの体調管理には十分注意し、エアコンなどの空調設備が問題なく作動するかを早めに確認しておきましょう。農作物や家畜などの水の管理、食品の温度管理を徹底し、猛暑の夏を乗り切るようにしていきましょう。

また、湿った空気が流れ込んで梅雨前線の影響を受けやすい時期もある見込みです。図では5月・6月・7月の三か月間を通して、降水量はほぼ平年並みの予想となっていますが、決して平坦な道のりが続くとは限りません。短期集中の大雨がある前提で、大雨への備えを計画的に進めるようにしましょう。

2024年の熱中症救急搬送 5月上旬には二日連続で重症事例も

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2024年の富山県の日別の熱中症救急搬送状況を見ると、4月29日にはシーズン第1号の報告があり、5月9日と10日には二日連続で既に重症の事例が報告されています。熱中症警戒アラートが富山県でシーズン最初に発表されたのは7月20日頃ですから、それを遡ること2か月以上も前に複数の重症者が出ていることになります。2021年以降、ゴールデンウィーク中の救急搬送は4年連続で報告されており、7歳以上18歳未満の少年が搬送された事例もあります。

熱中症警戒アラートが発表される基準となる暑さ指数は、予測に基づいて計算されるため、現実には100%実況に等しくならないケースも起り得ます。また、個々の地点の暑さ指数は、環境によって大きく異なり、各個人が暑さから身体に受けるダメージもその日の体調によって大きく左右されることがあるのです。

この時期は、まだ身体が暑さに慣れていません。暑さに身体を慣らし汗をかきやすい身体へとシフトさせる暑熱順化を、早期に皆さんで取り組み、熱中症ゼロを目指しましょう。

梅雨入り前でも短時間強雨に注意 早めの備えを

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図は、北陸4市の5月の月最大24時間降水量の多いランキングから、直近の2024年と2023年を抜粋したものです。北陸西部(三県)では、梅雨入り前でも24時間で100mmを超える大雨が観測され上位にランクインしています。更に、図に記載はありませんが、北陸西部(三県)では2021年にも5月17〜18日頃に上位5位以内となるいずれも24時間で100mm前後の大雨が観測されているのです。

自宅周辺や通勤・通学経路上の短時間強雨などの大雨によるリスクを事前に把握しておきましょう。普段利用する道路の途中にアンダーパスなどはありませんか? 自宅周辺の側溝などの掃除をして雨水が問題なく排水されるかを早い時期から確認しておくことが大切です。避難場所や避難経路は最悪を想定して複数の候補を選定しておきましょう。自治体から発表されているハザードマップは随時アップデートされていますので、最新のもの定期的に確認することもお忘れなく。また、非常用品の準備も忘れずに行いましょう。食品の消費期限が過ぎていないことを確認しておくことも重要なチェックポイントです。

紫外線 この時期の立山室堂など残雪のある高山の散策では特に注意

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これから夏至の頃にかけて、日の出から日没までの時間は増々長くなっていきます。紫外線による人体ヘのダメージは大きくなり、曇りの日でも紫外線は0%になりません。また、紫外線は空から降り注ぐだけにとどまらず、下から反射してくるものあるのです。その反射率は地表面の状態により異なり、新雪ではなんと80%にも達するとされています。更に、標高が高い程空気が薄いため、多くの紫外線が降り注ぐことになるのです。

この時期の標高2450メートル付近の立山室堂平などの雪原では、晴れている時程、多くの紫外線にさらされることになります。このため、日焼けには十分な注意が必要で、必ず、日焼け止めのクリームを塗る、サングラスや帽子を着用するなどの対策をとるようにしましょう。

「あい(あゆ)の風」「あえの風」とは

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春〜夏にかけて日本海側の沿岸部で吹く東〜北よりの風のことで、「夏の季語」にもなっています。

約1300年前に越中(現・富山県)の国主として赴任した大伴家持は、「東風(あゆの風) いたく吹くらし 奈呉の海人の 釣する小舟 こぎ隠る見ゆ」の歌を詠んでいます。

これは、「東風(あゆの風)が随分吹いているようだ。奈呉(現・新湊)の海人たちの釣りをする船が高波の影響で波間に見え隠れしている」の意で、奈良の都から下向した家持にとっては非常に興味深いものであったろうと推測されます。

風配図から見る「あいの風」「蜃気楼」出現の一因にも

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風配図は、ある地点における風が、どの方向からどのくらいの割合で吹いているかを表したものです。

図は冬を代表して2月、夏を代表して8月のいずれも富山の16方位の風配図を示したものです。富山の冬は、ほとんど南西や南南西方向からの風が吹いています。一方暖候期は、南西方向からの風も吹きますが、北北東方向からの風が多くなっていきます。

季節が進み日照時間がのびて気温が上昇するようになると、日中は海上よりも陸上の気温の方が相対的に高くなり、内陸部で上昇気流が発生しやすくなっていきます。すると、それを補うように、海上から陸上への風が海風として吹きやすくなることがあり、この、北から東寄りの海風が「あいの風」と考えられます。

※冬型の気圧配置が多くなる冬の富山で南西方向からの風が吹きやすいのは、三方を山に囲まれている富山県の地形の影響によるものと考えられます。地上付近よりも気温が低く重い上空の北よりの風(空気)は、山岳斜面にぶつかりると、山肌の斜面を下りながら次第に平野部では南寄りの風に変わり吹き出すことが一因ともされています。東京地方や近畿地方で「木枯らし1号」が観測された同一の時間帯であっても、富山では北よりの風が吹いていないこともあるのです。

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