喜劇王「エノケン」演じる市村正親「ウチで笑い取ろうとすると無視されます。ママにも息子にも」

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2025年04月23日 19:33  日刊スポーツ

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おどけたポーズを取る市村正親(撮影・阪口孝志)

俳優市村正親(76)が23日、大阪市内で主演音楽劇「エノケン」(11月1〜9日、クールジャパンパーク大阪WWホール)の取材会に出席した。


日本の喜劇王“エノケン”こと榎本健一の波乱の人生を作・又吉直樹、演出・シライケイタで描く。


1970年(昭45)に死去した榎本とは直接会ったことはなく、CMで見ていた印象だが、「日本人の誰もが知っている有名人をやるということで、とてもやりがいのある役と出会った。ここまで頑張ってきたからこそ、こういう役と出会ったのかな。日ごろの私の努力をほめてやりたい」と誇らしげ。「大体ね。人間が他人を生きるなんてほぼ不可能。無謀ですよ。それを50年やってきて、76歳で挑戦のし甲斐のある山に出会った。こういう大きな山を登りたい」とやりがいに震えた。


エノケンを演じるにあたり、「自伝とかをいろいろ読むと、『喜劇というのは笑かそうと思っちゃダメ』。一生懸命生きていることが、はたから見るとおかしい。ドタバタ喜劇ではなく、深いところの笑い。喜劇とはなんぞやということを、エノケンをやる中で何か学べたらいい」と貪欲に吸収するつもりだ。


日常生活においても、笑いは重要な位置を占めているようで、「ウチで笑いを取ろうとすると無視されますよ。ママにも息子にも」と笑いながら、「時々おもしろいことを言うと拍手してくれますけど、基本的には無視される。でも、それでいいんじゃないか」と穏やかな表情で語った。


又吉については「エッセーとかを読むと、否定的に自分のことを書いてる。そういう人が書くものって、1+1が2じゃないものを出してくる気がしている。ちょっと今までにないものができたら」と作品の仕上がりに期待。


続けて「笑いがあり、悲しみがあり、それでも生きていくという強さがあるみたいなね」と話し、「この時代だから、今はパワハラとかセクハラになっちゃうけど、この時代は当たり前ですから。そういうものにも触れて、今忘れているものを呼び起こせたらいい」。あえて、タブー視されることを表現するのもいとわず、「僕らも精神的にボコボコにされて育っている。浅利慶太さんや蜷川(幸雄)さんに育てられた人はどこでも生きていける。そういう強さはなあなあじゃね」と豪快に笑っていた。

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