欧州委員会は4月23日(現地時間)、米Appleと米Metaがデジタル市場法(DMA)に違反したとして、それぞれに制裁金を科したと発表した。DMA違反に対する制裁金が科されるのはこれが初だ。制裁金の金額は、Appleに対して5億ユーロ(約810億円)、Metaに対して2億ユーロ(約324億円)。
欧州委員会は、AppleがApp Storeを通じてアプリを配信する開発者に対し、App Store外の代替的な提供や購入方法を顧客に知らせることを制限する「反ステアリング義務」に違反したと認定した。
欧州委員会はAppleに対し、ステアリングに関する技術的および商業的な制限を撤廃し、今後同様の非順守行為を控えるよう命じた。
Appleは、米The Vergeなどのメディアに対し、「今日の発表は、一連の決定において欧州委員会が不当にAppleを標的にしているもう1つの例であり、ユーザーのプライバシーとセキュリティ、製品にとって悪影響であり、当社の技術を無償で提供することを強いるものだ」という声明文を送った。同社は、DMAを順守するために数十万ものエンジニアリング時間を費やし、多数の変更を行ったにもかかわらず、委員会が常に目標地点を動かしていると批判し、異議を申し立てる意向を示している。
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Metaについて問題視されたのは、2023年11月に同社が導入した「同意または支払い(Consent or Pay)」モデル。このモデルで、EUのFacebookとInstagramのユーザーは、パーソナライズされた広告のために個人データの結合に同意するか、広告なしのサービスに対して月額料金を支払うかの二択を迫られていた。Metaは欧州委員会の指摘を受け、昨年11月に広告モデルを変更した。
欧州委員会は、この新たなモデルを評価し、Metaとの対話を継続している。今回の制裁金は、DMAの義務が法的拘束力を持った2024年3月から、新しい広告モデルが導入された2024年11月までの期間における「同意または支払い」モデルに関するものとしている。
Metaは公式ブログで、「欧州委員会は、中国と欧州の企業が異なる基準で事業を行うことを許容しながら、成功したアメリカの企業を不利にしようとしている」と不満を表明した。米The New York Timesによると、同社も異議を申し立てる可能性が高いという。
AppleとMetaは、60日以内に必要な措置を講じるよう求められている。両社がこの期限内に是正措置を講じない場合、定期的な制裁金が科される可能性がある。
欧州委員会は、両社が委員会の決定とDMA全般を順守することを保証するために、引き続き対話を続けるとしている。
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