
自転車競技トラック種目、女子オムニアムの2021年東京五輪銀メダリスト・梶原悠未(28、TEAM Yumi)が23日、オランダへ出国した。3年後のロサンゼルスオリンピック™での金メダルを目指し、世界の強豪選手が集うヨーロッパでの武者修行。国内大会に出場するため5月中旬に帰国するが、約3か月間、オランダやベルギー、チェコで行われるロードレース大会に出場する。
「ロス五輪に向けてどうやって準備していくかを考えた時に、ヨーロッパのロードレースにもう一度挑戦したい、ロス五輪の前にロードレースでピーキングができるように3年後、しっかり五輪で走ることができるように今年から準備していきたいと思って、ずっと半年間チームを探していた。2月のアジア選手権が終わってからオファーをもらい、ようやく行けるようになった」
パリ五輪前の2022年には半年間スイスに拠点を移し、アルプスの山々を生かしたロードでのトレーニングや、ロードレースへの出場で持久力を強化した経験がある。しかし、当時は慣れない食事面や言葉の壁に苦しみ、結果を残せず帰国。今回はオランダにあるタレント・サイクリングというクラブチームから招待され、3年ぶりに海外でのトレーニングが可能となった。
決断の背景にあるのは、日本とヨーロッパの違いにある。ヨーロッパでは毎週、100キロ以上の距離を走るロードレース大会が開催されていて、梶原の主戦場、オムニアムで活躍する海外勢もロードレースで走り、強度を上げている。
「ヨーロッパのロードレースは1日だけじゃなくて、2週間とかステージレースのように毎日走る。そこでトレーニングでは得られない脚力や持久力、疲労困憊の中でも力を出せる能力がついていく。強度と量を求め、そこで活躍できることを目標に挑戦したい」
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梶原の”小さな目標”は週に1、2レース出場すること。現地に到着した2日後には早速、ベルギーでのレースが待っている。
「楽しみという気持ちの方が大きいですし、成長した自分を試せることが一番の楽しみ。まずはケガをしないように、心身を整えていきたい」
2大会連続のメダルを目指していた昨年のパリ五輪は、出だしでつまずき結果は17位。五輪後は失意に暮れ、自転車から離れる日々を過ごした。失敗の原因が精神面にあることに気づき、メンタルのカウンセリングを受け、どんな状況でもご機嫌でいられるすべを教わっている。
「自転車競技を始めて10年。今が変わる時なんだと思う」
苦楽を知る日本のエースがロス五輪に向け大きな舵を切った。
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