“スーパーで売られている瀕死のカニやエビ”を蘇生させる動画が200万回以上再生…生き物系YouTuberが、危険な企画に挑戦してまで伝えたいこと

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2025年04月24日 16:10  日刊SPA!

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水ラーメンさん
幼少期からイノシシやマムシ、魚と触れ合いながら「生き物愛」を育んできたYouTuber・水ラーメンさん。カニやエビ、ロブスターを自宅で蘇生し、水槽で泳ぐ様子を観察した動画は軒並み200万回前後の再生数で、小気味の良い編集と生き物への偏愛が詰まった動画は、ついつい見続けてしまう不思議な魅力が詰まっています。
発信者として生き物とどう向き合っているのか。また、サバイバル動画で何度死にかけても配信を続けるワケは? 本人にインタビューを敢行し、幼少期の原体験に迫りました。また、生き物が大好きだからこそ感じる環境問題についても、思うところがあるようでーー。

◆自然に囲まれて育った幼少期

ーー水ラーメンさんのご出身はどちらなんですか?

水ラーメン:生まれは東京で、小さいころは母の実家である茨城の山奥で暮らしていました! イノシシが近くにいるのが当たり前で、マムシとかも観察してましたね。あとオニヤンマも好きです! デカいしカッコいいので(笑)!

あと、実家の近くには池もあって、季節になったらオイカワを捕まえたり、池に住んでいたザリガニに名前を付けて愛でたり……生き物に囲まれた日々でした。

◆「好き」というより「愛してる」という感覚

ーーそのころから生き物への愛が強かったんですね。

水ラーメン:そうですね。両親も生き物好きで、特に父の影響で釣りが日常にありました。東京に戻ったときも、一人で多摩川に通って鯉を釣ったり、ガサガサ(水辺の生物をタモ網ですくう遊び)をしたり。素手で魚を捕まえたりもしました。

ーー釣りは魚の引きを楽しんだり、その後の食事を嗜むのが醍醐味である印象ですが、水ラーメンさんとしては「かわいい」が強いんですか?

水ラーメン:父と一緒に釣ったキスやマゴチをバケツの中で観察していたのですが、それがもうかわいくて。茨城の実家には生まれたときからグッピー、カージナルテトラ、エンゼルフィッシュといった熱帯魚がいたので、その影響もあると思います。

ーー生き物の中でも水生生物のほうが好きなんですね。

水ラーメン:根本的に「好き」というより「愛してる」という感覚です。もちろん昆虫や野生生物も好きだけど、水辺の生き物は特別です。ただ、熱帯魚の水温を管理していたサーモスタットが壊れて、魚たちが死んじゃって……。今でもトラウマです。

◆“日常系”の配信から、“好き”を突き詰めるようになるまで

ーーYouTubeで情報発信をしはじめたのはいつでしたか?

水ラーメン:大学生のときです。最初は生き物系に限らず、モーニングルーティンや心霊スポット巡りのような“日常系”の動画も出してました。きっかけはコロナ禍です。「何か新しい事に挑戦したい!」という気持ちがあって。閉塞感がある時代だったからこそ、インターネットを通して誰かとつながることが嬉しかったんです。

ーー初めから生き物系の動画に絞っていたと思いきや、少し意外です。

水ラーメン:最初はとにかく「売れたい!」「バズりたい!」という気持ちが強かったです。遠征にはお金がかかるし、道具や機材も高い。だから週6で運動系の部活をしながら、夜勤バイトで交通費を稼いで、朝5時にバイトが終わったら部活にそのまま行くなど、なかなかハードでした(笑)。ただ、日常系の動画が好きかというと、そうでもなく……。続けていても正直面白くはなかったです。

ーー今のような生き物系のコンテンツが中心になったのは何がきっかけでしたか?

水ラーメン:砂浜の穴に筆を突っ込んでアナジャコを採る動画を出したら、それがかなり伸びたんです。そこから穴釣り動画をいくつか出したら軒並みヒットしました。自分の好きな生き物の動画で喜んでもらえることがすごくうれしくて。それ以来、背伸びせず、自分の“好き”を突き詰めようと思いました。

ーー今年の冬からは、スーパーで買った生き物を蘇生させる動画を出しています。

水ラーメン:友人の「エマスちゃんねる」が蘇生させる動画を出していて「水ラーメンもやってみたら?」と言われたのがきっかけでした。コメントでは「この人、スーパーをペットショップだと思ってる」と言われています(笑)。最初に蘇生させた毛ガニがもう本当にかわいくてかわいくて。絶対に食べられないです。

◆何度も死にかけたサバイバル生活…それでも動画は止めなかった

ーー生き物を愛する一方、【無人島3日間ガチサバイバル】の動画では、夜の海にも繰り出し生き物を捕まえて食べる動画も出しています。自然の中で身の危険を感じることはなかったですか?

水ラーメン:いっぱいありますよ(笑)。リーフ(サンゴ礁の外側)に乗っていた時に波にさらわれて、6メートルくらい吹っ飛ばされたこともあります。打ち所が悪かったら死んでいたかもしれません。他にも、素潜り中に腰に巻いた網が岩に引っかかって、深さ8メートルの場所で動けなくなったこともあります。幸い落ち着いてはずせましたが、パニックを起こしていたら余計に網が絡まって、陸に上がれなくなってたと思います。あとは夜の海でウミガメに猛スピードで突進されそうになったり、真横を2、3メートルのサメが横切ったり……。

ーーあの、聞いているだけで心臓止まりそうなんですが、怖くないんですか…?

水ラーメン:怖いですよ(笑)!でも「動画をやめよう」とは思わないです。危険なことには注意喚起しつつ、自然の美しさや生き物の面白さを届けたい!という気持ちの方が強いです。不思議なんですが、どんなに体力的・金銭的にキツくても、最後にはいい動画が撮れるんです。採算度外視でも、誰かがワクワクしてくれるなら続けたい。それが今の原動力です。

◆発信力がついたからこそ、意識する点は…

ーー動画づくりで意識しているポイントはありますか?

水ラーメン:主人公は僕ではなくて、あくまで“生物たち”。その魅力や可愛さがどうすれば伝わるかを常に考えています。また、ある程度発信力がついたからこそ、環境問題への啓発など、責任感を持って発信するようにしています。

ーー確かに、生き物への愛情だけでなく、機材の知識/生態系/環境問題など知識も豊富なイメージです。

水ラーメン:まだまだ勉強中ですけど、海外の論文や海洋業者の資料も読みますし、できる限り調べてから撮影しています。でも、資料や図鑑だけじゃわからないことも多くて。釣って、捕まえて、飼って、現場で学ぶことの方が多いです。

ーー現在考えられる環境問題には何があるのでしょう?

水ラーメン:例えば、現在海洋ゴミは増加し続けていて、2050年には魚よりプラスチックごみの量が多くなることが予測されています。残念な話ですが、海の事をよく知っているはずの漁師さんの中にも、海にゴミを捨ててしまう方は一定数います。釣り人の中にもマナーが悪い人は絶えませんし、できる限り自分の動画でも注意喚起を続けています。

ーー最近だと、スーパーの生きている「モクズガニ」を自然に戻すことに注意喚起をされていましたね。

水ラーメン:スーパーで売られている「モクズガニ」は、在来種だけでなく外来種もいます。川に戻してしまうと遺伝子汚染や病原菌の拡散など、元の生態系に悪影響を及ぼします。ザリガニやミシシッピアカミミガメもそうですが、身近なものほど逃がしても大丈夫だと思われがちですが、絶対にダメです。最近は外来種を引き取ってくれる業者さんも増えてきたので、正しい知識を広めたいと思っています。

ーー視聴者には子どもたちも多いですし、水ラーメンさんが与える影響は大きいですね。

水ラーメン:子どもたちのスーパースターになりたいです(笑)! でも冗談抜きで、小さい頃の知識や経験って、その後の人生を左右すると思っていて。生き物を大切にしながら、視聴者と一緒に楽しめて学びになる動画を、これからも作り続けたいと思っています。

<取材・文/FM中西>

【FM中西】
広告・ゲーム・出版を経て、現在はフリーの編集・ライターに。アニメ/ゲーム/アングラ等、ポップorサブカルチャーを浴びていたい。最近の目標は早起きと減量。友人とともに『ぽぷかる研究所』を細々と運営中

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