盟主TOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアの『カローラクロス』が正式にお披露目されている 南米が誇るアルゼンチン最高峰のハイテクFFツーリングカー選手権を標榜し、今季2025年より次世代SUVモデルへの移行を表明しているTC2000では、ブエノスアイレスのレーストラックに複数のチームが集い、開幕を前にしたコミュニティテストを実施。新しいタイヤと新開発の5気筒直噴ターボエンジンの合同評価を行うとともに、盟主TOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアの『カローラクロス』が正式にお披露目されている。
隣国ブラジルのSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”と同様、今季よりSUVをベースとした新型車両の導入を推し進めてきたTC2000だが、シリーズの先行開発車両“プロトタイプ001”として登場し、改めて参戦を表明した小型クーペSUV『VW Nivus SUV(フォルクスワーゲン・ニーヴァス)』と、シボレー陣営のYPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングが走らせる新型『Chevrolet Tracker(シボレー・トラッカー)』の3車種がアウトドローモ・オスカー・ファン・ガルベスのトラック“8”に集結。初日4月22日は午後、2日目の23日は終日のスケジュールで走行テストを行っている。
シボレー陣営に加え、フォルクスワーゲンを走らせるハルコン・モータースポーツも、このテストを前にSUV開発作業計画の新たな段階を完了し、エンジンや空力などさまざまな性能測定や最低地上高などもチェックされた。
また4月上旬には、改めてTGR陣営のエースを務めるマティアス・ロッシに加え、新たにチームメイトに就任したエミリアーノ・スタンが本拠地を訪問。チーム代表のダリオ・ラモンダが同行するなか、新型モデルと初対面しつつ、ここでシート合わせも済ませていた。
オフ期間にも約500PS級の“直列5気筒”直噴ターボを搭載したSUVツーリングカーの開発テストを担当してきたTC2000“5冠”のロッシは、改めて「これはカテゴリー史上最大の変化のひとつだ」と、車両規定変更の重要性を語った。
「TC2000にSUVが導入されたことは、歴史上最大の変化だと言っていい。公開されたカローラクロスの最終デザインは本当に戦闘的で、パワーも従来のモデルより遥かに優れている。僕らドライバーはつねづね、勝てるクルマに乗りたいと思っているし、今季のこのSUVはその願いを叶えてくれると思うよ」
同じくシボレー陣営に移籍したファクンド・アルドリゲッティも、新型トラッカーの感触と絶対的なパフォーマンスに満足したと明かす。
「TC2000で新年をスタートできる機会を得てうれしい。もちろん、国内でのその他のカテゴリーのことも同時に考えてはいるけどね」と続けたアルドリゲッティ。
「前回のSUVテストとは少し様子の異なる部分もあって、ターンインした際は少しグリップ足りなくて不安を感じた。だから最大限のパフォーマンスを発揮できなかったんだ。でも明日(水曜)に最初のラップをこなし、自分のドライビングやポジションとそれに応じたセットアップを煮詰め、マシンをよく理解することが鍵になる。開幕前のこのテストが決定的に重要になるだろうね」
そのシボレー・トラッカーは、シリーズが開発を主導した“プロトタイプ001”に次いで、昨季最終戦前に実走テストを開始しており、その距離的なアドバンテージを活かしたいところだ。
「改めてプロ・レーシングに加入できてうれしいよ。(国内のシルエットストック最高峰である)Top Race(トップレース)で知り合った人たちとは、本当に仲が良いんだ。今季も一緒にいられるのは素晴らしいことだと思うよ」
そして今回のテストには車両の持ち込みこそ叶わなかったものの、新生“ホンダYPFレーシング”に電撃移籍してSUV初年度を迎える王者リオネル・ペーニャも、現地サーキットに姿を表して、すでにお披露目を終えている『ホンダZR-V』の印象を語った。
「テストの様子を見てとても興奮している。きっと皆に気に入って貰えると思うんだ。ドライブしていて楽しいし、あのエンジンは本物のパワーを備えたサラブレッドだよ」と続けたペーニャ。
「このSUVの魅力は、まだ未完成で開発段階にあることだ。これはエンジニアにとって素晴らしいことだし、パッケージ全体にとって大きな挑戦でもある。最初のレースは全員にとって試練となるだろうし、信頼性を見つけ出そうと努力するはず。アルゼンチンで最速のマシンになる可能性は充分にあるね」
新SUV時代の幕開けとなる2025年開幕戦は、5月3〜4日にミシオネス州のアウトドローモ・シウダー・デ・オベラで開催され、性能調整を経た5気筒のSUVと、従来までの4気筒直噴ターボを搭載したセダンモデルとの混走で争われる。
[オートスポーツweb 2025年04月24日]