
自転車の交通ルールについてです。来年4月から悪質な違反をした自転車の運転手に反則金が科せられる方針です。どのような違反行為が対象となるのでしょうか?
【写真で見る】113の違反行為のうち、反則金が一番高いのは運転中の…?
自転車には113の違反行為が…反則金は最高で1万2000円高柳光希キャスター:
2026年4月から、いわゆる“青切符”を、自転車の悪質な交通違反をした人に対して交付することとなりました。
113の違反行為があり、これらに該当した人に対しては、警察が反則金の納付を促します。
自転車には車やバイクのように免許がないなかで、取り締まりの対象は16歳以上と設定されました。この設定には、どういった背景があるのでしょうか。
TBS報道局社会部 寺島尚彦 記者:
理由としては、原付バイクなどの免許取得が可能になる年齢が16歳以上だからです。さらに電動キックボードも、16歳以上なら運転免許証なしで運転できます。
こういったことから、16歳であれば交通ルールに関して最低限の知識があると判断して設定されています。
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高柳キャスター:
主な違反行為と反則金についても見ていきます。
例えば▼2人乗り、▼並走、▼抱っこ運転などは3000円の反則金に該当します。抱っこ運転は抱っこ紐もNGですが、おんぶしているのであれば、それは1人という換算になるそうです。
5000円の反則金対象には▼イヤホンの着用(必要な音が聞こえない状態で運転する行為)、▼無灯火運転、▼泥はね運転など。
6000円の反則金対象には▼信号無視、▼逆走、▼スピード違反などが挙げられます。
反則金のなかで一番高い1万2000円の違反行為は、運転中のスマートフォンなどを含む携帯電話の使用です。これはどういうことなのでしょうか。
TBS報道局社会部 寺島尚彦 記者:
スマートフォンを使いながら運転する“ながらスマホ”による死亡・重傷事故が、2024年の1年間で、車・自転車ともに過去最悪を更新しました。
そのため、警察庁としてもスマートフォンに関してはしっかりと取り締まりたいということで、高額な設定になっているのだと思います。
高柳キャスター:
4月は自転車の交通事故が増えてくる時期でもあります。違反行為が113もあるため、知らず知らずのうちに該当してしまわないためにも、事前に把握することはできるのでしょうか。
TBS報道局社会部 寺島尚彦 記者:
事前に把握するというのは、なかなか難しいと思います。
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24日の会見で、楠芳伸警察庁長官は「この改正法の施行までに、国民の皆さまに丁寧に周知を図りまして、自転車の安全な運転を促していくことが大変重要」と話しました。
周知の方法はまだ決まっていませんが、交通イベントなどで街の人たちに呼びかけ、反則金について少しでも周知できればということになります。
井上貴博キャスター:
自転車は野放しに近い状態なので、ルールを厳格化するのはいいのですが、どのように周知を徹底するかだと思います。
また、現場の警察官は人手不足です。自転車を運転中の携帯電話の使用は禁止ですが、ナビとして見ているだけなのかどうかの見極めや、免許証を携帯しなくても乗れるなかでの本人確認はどうするかなど、取り締まりは大変ですよね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
日本の道路は歩行者が優先です。私たちは今まで、自転車は歩行者と同じような扱いだと何となく思っていましたが、これから車と同じ扱いになるというのは大転換なので、そこの基本のところを周知すれば変わってくるのではないかと思います。
自転車は歩行者ではなく、運転する車と同じなので、マナーやルールをちゃんと学びましょうということですね。
出水麻衣キャスター:
自分も車両に乗っていて、危ないと思う瞬間はたくさんあります。一旦立ち返り、どんなときに危ないと思ったかを家族で話し合って事前に考えておくなど、そういった働きかけも大事ですよね。
高柳キャスター:
青切符は2026年4月から導入ということで、警察はどのように取り締まっていくのでしょうか。
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TBS報道局社会部 寺島尚彦 記者:
まず皆さんが気になるのが、どうしたら青切符が交付されるのかということでしょう。
一つは、人にけがをさせてしまうなど、▼危険を生じさせた場合です。
もう一つは▼指導警告に従わない場合で、たとえば「イヤホンを外してください」「傘差しを止めてください」などと言われたのに従わなければ、今後は青切符を交付して違反金を取ることになります。
また、手続きに関しては名前・住所などを記入して10分程度で終わり、これは自動車と一緒です。反則金を納付しない場合は、警察から連絡が来て刑事手続きに移行していく流れになっています。
高柳キャスター:
最後に、青切符の導入の背景についても教えてください。
TBS報道局社会部 寺島尚彦 記者:
「自転車は“小型モビリティの王様”。交通ルールのお手本に」ということです。
今、電動キックボードなどの小型モビリティが、世の中にたくさん走るようになってきました。小型モビリティの王様である自転車が、法改正を通じて事故を減らしていくということは、今後の日本の小型モビリティの事故を減らしていくうえでも、お手本になるのではないかと考えます。
井上キャスター:
環境問題を考えても、自転車利用が広がっていくのはいいことだと思います。あとは、現場の負担などをどのように軽減していくかでしょう。
ゆくゆくは反則金をQRコードでその場で支払えるようになったり、マイナンバーカードをしっかり普及させたりすれば変わってくる気はします。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
特に若い人はデジタル化に慣れているので、活用できると思います。
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<プロフィール>
寺島尚彦
TBS報道局社会部 警察庁担当
2児の父 交通ルールと家族を守る
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年