構築した人間関係がキャリアの選択肢に現れる 人柄がいい人は「満足度の高い転職を実現しやすい」

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2025年04月25日 07:00  ORICON NEWS

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ミドル世代専門転職コンサルタントの黒田真行
 労働力となる15〜64歳の人口が減り続け、さまざまな業界で中小企業が人手不足を理由に存続の危機に晒され、倒産に追い込まれているケースすらある。

【画像】元『リクナビNEXT』編集長!黒田真行『いつでも会社を辞められる自分になる』

 一方、どんな人でも引っ張りだこかといえばそんなことはない。35歳以上のミドル世代で見てみると、年齢が上がるほど転職は難しくなる傾向がある。

 そんな中でも40代後半や50代などでも、理想の転職に成功する人もいる。ミドル世代専門転職コンサルタント・黒田真行氏はそんな人たちには共通する特徴があると語る。著書『いつでも会社を辞められる自分になる』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して届ける。

■とどのつまり、問われるのは「人柄」

これは定量的に証明しづらい話なのですが、ミドル転職のケースをたくさん見てきた転職エージェントの皆さんは、「人柄がいい人ほど、満足度の高い転職を実現しやすい」と口を揃えます。私自身もそういう方の転職をお手伝いしてそれは実感するところで、素直な人、腰が低い人、丁寧な人。会話をしていて、気持ちがいい人。ストレスを感じさせない人。そういう人は、50歳だろうが、60歳だろうが、すんなり決まっていくことが多い。

逆に、ここで引っ掛かりがあると、苦労することが少なくありません。とりわけ、柔軟性がないな、と受け止められてしまうと、転職活動で苦労を強いられるリスクがあります。会社を替えるということは、いろいろな環境が変わるということ。それに対して素直に柔軟に対応してもらえないかもしれない、と捉えられると、採用されることは難しいでしょう。職場で言うことを聞いてくれない頑固な人になりかねないわけですから。

「人柄が大事」という点を、転職やキャリアのノウハウとして取り上げるには、あまりにも当たり前すぎる、と思われるかもしれません。しかし、転職が成功したたくさんのケースに接してきて、実際には最も重要な要素だと私は感じています。

人柄によって、得た仕事についての捉え方も変わることが多く、同じ仕事に決まっても、「初めてこの仕事をする自分のような人間に、こんなに期待してもらってありがたい」と思える人と、「未経験者だからって、こんなに給料を下げやがって」と思ってしまう人がいるのです。

同じ仕事でも、どういう受け止め方をするかで満足度は大きく違ってきます。満足度が高く受け止められる生き方は、人生の満足度を大きくできると思います。

■人柄がいい=人間力が高い人の多くは、「縁故」で決まる

実際のところ、人柄がいい人は、その人間力の高さから人脈も豊富であることが多く、転職エージェントなどは使わずとも、結果的に縁故(リファラル)な経路で決まることが多い傾向があります。

「前の上司に誘われました」

「部下が転職した会社で偉くなっていて、声をかけてもらいました」

「会社を探していると話したら、知人が会社を紹介してくれました」
など、「人は石垣」という言葉がありますが、キャリアにおいても同様です。過去に仕事で関わってきた人といい関係を築けている人は、仕事に困らない。それだけ、人柄が大きくものをいうことだと思います。

それこそ、これまでのキャリアで人間関係をどのように構築してきたかということの結果が、キャリアの選択肢にも現れてくるのです。

その意味では、何歳になっても「素直さ」「誠実さ」「努力を続けられるチカラ」など、いわゆる人柄や人間力を構成する要素をいかに磨き続けられているかが試されていると言ってもいいと思います。

■思い切って「別の人生」を味わう、という選択

これらを踏まえたキャリアの相談を受ける際に多いのは、これまでのキャリアや培ってきたスキルをできれば上手く活かして後半戦に臨みたい、という声です。

ただ、外部環境の変化が激しい場合、前半の20年で培ってきたキャリアや業界での経験が、後半になればなるほど世の中で必要とされる出番が減っていくことも多い。

キャリアやスキルを活かしたいけれど、それが活かせる場面が少なくなっていきそうだという場合には、まるっきり未体験の仕事、やったことがない業界や仕事でもう一度、セカンドキャリアを作っていくという選択も、可能性としては大いにありだと思います。

残念ながら成長が右肩下がりになると予想される業界や仕事の場合には、逆にこの折り返しのチャンスを上手く使って、右肩上がりの業界に移る、という選択、判断をしたほうがいい。

あるいは、まったく経験はないけれど、もともと興味があった、やりたかった業界や仕事にチャレンジしてみるという働き方、選択もあるかもしれません。

これまでのキャリアをいったんゼロにしてしまう選択は、一時的には非常にリスクのある選択のように思えるかもしれません。しかし、長い仕事人生、ここで思い切ってキャリアチェンジをして、別の人生を味わうという前向きな考え方をする人もじわじわと増えてきています。

もともとやりたかった仕事もそう。年収や待遇が下がったとしても、時間をかけて後半戦で盛り返していく、という考え方もあります。ここから20年あるのです。好きこそものの上手なれ、で、好きな世界でやるから成果も出しやすいし、成長できるとも言えます。

人生の前半と後半は、戦略を考える土台が変わります。非連続なものになっていい。こんな観点も参考にして、セカンドキャリアを考えてみる機会にしては、と思います。

■著者・黒田真行(くろだ・まさゆき)
ミドル世代専門転職コンサルタント
1965年兵庫県生まれ、関西大学法学部卒業。1988年、リクルート入社。以降、30年以上転職サービスの企画・開発の業務に関わり、『リクナビNEXT』編集長、『リクルートエージェント』HRプラットフォーム事業部部長、『リクルートメディカルキャリア』取締役などを歴任。2014年、リクルートを退職し、ミドル・シニア世代に特化した転職支援と、企業向け採用支援を手掛けるルーセントドアーズを設立。30年以上にわたって「人と仕事」が出会う転職市場に関わり続け、独立後は特に数多くのミドル世代のキャリア相談を受けている。著書に『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』(クロスメディア・パブリッシング)、『35歳からの後悔しない転職ノート』(大和書房)など。

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