【ハンドボール】ジークスター東京が初代王者へ 国内新リーグ大詰め 「しっかりつかむ」と主将

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2025年04月25日 07:48  日刊スポーツ

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力強い視線でカメラを見つめる玉川(撮影・横山健太)

ハンドボールの国内新リーグ、リーグHの初年度シーズンが大詰めを迎える。2020年に17年ぶりに東京に本拠地を置くトップチームとして誕生したジークスター東京は、ここまで17勝2敗2分けの2位。首位トヨタ車体ブレイヴキングス刈谷を勝ち点1差で追う。今季から主将を担う身長200センチの玉川裕康(29)は、ディフェンス面から“勝つチーム”を築き上げてきた。24年パリ五輪後は、日本代表でも主将に就任。世界を知る目線で凡事徹底をチームに落とし込み、一丸でレギュラーシーズン1位からの初代王者を目指す。


◇  ◇  ◇  


「『リーグH』と調べた時に『初代王者』という形で載る。そこはどうしても載せたい。今、そのチャンスがあるので、しっかりとつかんでいきたい」


偽りのない、玉川の本音だった。22年に大崎電気から加入。前所属では19−20年シーズンに4冠の原動力になったが、新天地では初優勝が遠い。主将就任の打診を受けたのは、パリ五輪前の24年6月。佐藤智仁監督(39)との食事の席で「キャプテンを任せようと思う」と告げられた。代表活動との両立が懸念だった中で、腹をくくった。


「監督がそう言ってくれている。(それまでは)主将は人生で1度もやっていなかったんですが、このチームで主将ができるのは面白そうだな、という思いが強かったです」


昨季はプレーオフ(PO)でチーム創設初勝利を挙げながらも、トヨタ車体に27−35で敗れて3位。埼玉・浦和学院高の先輩で主将を務めていた土井レミイ杏利は、この一戦で現役引退となり「どうしても勝って、胴上げをしたかった」と悔やんだ。


主力として、チームの課題を感じていた。


「ジークスターの選手は得点を取る選手ばかり。調子が良ければ勝つけれど、悪ければ負ける。ディフェンスをメインに考えられる主将になろうと思いました。点を取れなくても、取られなければ、負けません」


そして今シーズン、何度も繰り返してきたのは「当たり前のことを、当たり前にやろう」という言葉だった。


「当たり前のことをやるのは難しい。当たり前に(攻撃後の相手速攻を防ぐ)バックチェック、ルーズボールを拾う…。相手も人間。その時々で状況は違いますが、できることはやっていくべき。僕は、『当たり前のことができないなら、チームにリスペクトがない。それならコートから出ていってくれ』というスタンスです」


チームは3月28日のトヨタ自動車東日本レガロッソ宮城戦に勝利し、開幕から18戦負けなしのリーグ一番乗りでPO進出を決めた。冷静にゲーム、局面を見る玉川は「決して圧倒はしていない」と引き締めながら、「それでも勝てているのはディフェンス。失点を抑えられているからだと思う」とうなずいた。


シーズンはいよいよクライマックスを迎える。自身は4月上旬の試合で右足首を負傷し、現在は治療に専念するが、POには間に合う見込み。レギュラーシーズンは残り5試合。1年をかけて意識付けた凡事徹底の、真価が問われる。


「ジークスター東京が日本の首都にできて、いろいろなファンが集まりやすい。例えば、発信面で1から100に増やしていくのはもちろん、0から1も作っていきたい。今までハンドボールを見たことがない人も、実際に見てもらえたら絶対に面白いので、もっともっとハンドボールを盛り上げていきたい」


初代王者の栄誉がもたらす波及効果は、きっと大きい。最後にみんなで笑うため、こだわりは譲れない。【松本航】


◆玉川裕康(たまかわ・ひろやす)1995年(平7)4月27日生まれ、埼玉県出身。イラン人の父と日本人の母を持ち、さいたま市立田島中でハンドボールを始める。浦和学院高、国士舘大と進み、各世代の日本代表で活躍。17年世界選手権(フランス)でフル代表に初選出。18年に大崎電気に加入し、同年の社会人選手権で最優秀新人賞に輝いた。22年にジークスター東京に移籍。今季から主将を務める。24年パリ五輪日本代表。200センチ、108キロ、利き腕は右、ポジションはPV(ピボット)。


〈ジークスター東京 今後の試合予定〉


◆リーグ戦


・4月26日 大崎オーソル埼玉(8)戦@富士見市立市民総合体育館


・5月6日 トヨタ車体ブレイヴキングス刈谷(1)戦@アリーナ立川立飛


・5月10日 アースフレンズBM東京・神奈川(11)戦@大田区総合体育館


・5月18日 琉球コラソン(12)戦@沖縄県立武道館


・5月25日 豊田合成ブルーファルコン名古屋(3)戦@アリーナ立川立飛


◆プレーオフ@代々木第一体育館


・6月13日 準々決勝


・6月14日 準決勝


・6月15日 決勝


※( )内は4月25日時点のリーグ順位


※プレーオフは、レギュラーシーズン上位6チームが進出し、ノックアウト方式で実施


〈ジークスター東京 アラカルト〉


▼チーム名 ハンドボールの本場であるドイツで「勝利」を意味するジーク(Sieg)の響きから「ZEEK」が発想され、しっかりと“勝ち星=STAR”を積み重ねる強いチームを目指すという強い意志が込められている。


▼チームロゴ ZEEKの「Z」とSTARの星形を合わせたユニバーサルデザインは、シンプルでスマートに洗練された力強さを表現している。


▼チームの歩み “東京から、世界と戦えるハンドボールチームを!”をコンセプトに、18年4月に前身のクラブチーム、東京トライスターズが創設された。20−21年シーズンから日本ハンドボールリーグ(現リーグH)に参入。より強く、かつ継続的なチームマネジメントを行うべく、20年1月に新運営会社としてジークスタースポーツエンターテインメント株式会社が設立され、同4月にプロチーム、そして17年ぶりに東京に本拠地を置くトップチームとして、ジークスター東京が新たな1歩を踏み出した。

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