写真独特の存在感を放つ若手俳優・宮世琉弥(21歳)が、この春また新たな扉を開きました。
フジテレビ系ドラマ『いつか、ヒーロー』(日曜よる10時15分〜)で宮世が演じているのは、主人公の前に立ちはだかる正体不明の男。第1話から人を死に追いやるほどの冷徹な表情に圧倒されました。
宮世琉弥といえば印象的なのが、人を惹きつける目の力。ファッション雑誌『ViVi』(講談社)の「ViVi国宝級イケメンランキング 2024年上半期NEXT部門」で1位に輝いたその美しさだけでなく、俳優として多様な表情で観る人を引き込む彼の演技力は、多くの作品で発揮されています。
◆10代から個性を発揮、反抗期の少年から暴力団組長まで
2019年に俳優デビューした宮世が注目を集めたのは、2020年の話題ドラマ『恋する母たち』。人気落語家の今昔亭丸太郎(阿部サダヲ)と惹かれ合うセレブ妻・蒲原まり(仲里依紗)の息子・繁秋として、その葛藤と成長を見事に表現しました。
序盤では家の中でもヘッドホンをつけて無気力に過ごす反抗期真っ只中の高校生でしたが、物語が進むにつれて徐々に変化。モラハラ夫に虐げられる母親に対し「捨てちゃえよ、あんな男。俺が面倒見るから」と声をかける頼もしさを見せ、妹たちにも寄り添う優しい兄に。繁秋が丸太郎の落語にインスピレーションを得て制作した“落語ラップ”「まんじゅうこわい」も印象的で、耳に残るサウンドでした。
その後も宮世は数々のドラマで活躍。2021年『青のSP―学校内警察・嶋田隆平―』では怪我で目標を失ってしまった問題児、同年『珈琲いかがでしょう』では凶暴性とあどけなさを併せ持つ17歳の暴力団組長というキーパーソンを演じ、着実にキャリアを重ねていきます。
◆2024年からさらに、人気・知名度ともに爆上がり
2023年には『ホスト相続しちゃいました』の子犬系小悪魔ホスト役、『パリピ孔明』の天才ラッパー・KABE太人役で大きなインパクトを残し、翌2024年は前出の「ViVi国宝級イケメンランキング 2024年上半期」にて、22歳以下が対象の「NEXT部門」で1位に。そこからさらに人気・知名度ともに爆上がり。
美しい顔立ちに加え、どこか憂いを含んだ“陰”も感じさせるのが宮世の魅力。子犬のように人懐っこく愛らしい“陽”のオーラももちろん似合います! 一方、それだけでは物足りないというのがドラマ視聴者たちの性。ちょっとこじらせていたり、トラウマを抱えていたり、不安だったりする“陰”の部分も、宮世は独特の空気感で表現しています。その“陰”オーラがまた色っぽくもあり、惹きつけられてしまうのです。
◆陰と陽のバランスを巧みに操る表現力
そんな宮世が昨年のドラマ『くるり〜誰が私と恋をした?〜』で演じたのは、記憶を失くした主人公・まこと(生見愛瑠)に、“自称・運命の人”を語る律という青年。人懐っこくて憎めない年下男子でしたが、回を重ねるごとに謎めいてゆき、狂気ともとれる表情を見せたときにはゾクッとしました。
同年、連続ドラマ初主演を務めた『スノードロップの初恋』で演じた朔弥はなんと死神。“幸せの味”を求めて初めて人間界に降り立ち、ヒロイン・奈雪(小野花梨)に出逢って恋をする物語です。死神という分かりやすい“陰”オーラを放ちながらも、奈雪を包み込む温かで優しい佇まいに癒された視聴者は多いはず。
愛おしくも切ないラブストーリーに涙が止まらなかったのは、陰と陽のバランスを絶妙に表現した彼の名演があったからでしょう。
◆“謎”が似合う宮世が「最恐の狂気」を放つ今期ドラマ
謎めいた設定の役にも深みをもたせ、リアリティをもって演じる宮世。現在放送中の『いつか、ヒーロー』では「最大の謎を抱えた影の存在」と説明されている正体不明の男・氷室海斗を演じています。
本作は、元児童養護施設職員のアラフィフ男・赤山(桐谷健太)が、夢を失くしてしまった施設出身の若者たちとともに巨大権力へと立ち向かっていく物語。宮世演じる氷室は、赤山とその教え子たちを執拗に排除しようと画策します。
第1話のラストでは赤山の教え子の1人である勇気(駒木根葵汰)の前に現れ、無慈悲に彼を死へと追い込んでいきました。4月13日に放送された第2話のラストに、川を挟んで赤山と対峙するシーンがあったのですが、その表情がやたら美しいからこそ怖くて怖くて……。
まだ謎だらけの人物ですが、物語の鍵を握っていることは間違いなく、宮世の熱演から目が離せそうにありません。
◆映画でも音楽でも、縦横無尽の活躍に期待
2025年は宮世の出演映画ラッシュでもあります。『アンダーニンジャ』では忍者組織「NIN」の一員として本格アクションを披露し、学園ミステリー『遺書、公開。』では物語の中心となる重要な役を演じるなど、話題作に次々出演。
『顔だけじゃ好きになりません』ではヒロインの“最推し”である学校一顔が良い青髪男子として、映画単独初主演を務めています。Kōki,主演『女神降臨』にもシークレットキャストとして出演、そして4月25日公開の『パリピ孔明 THE MOVIE』では、ドラマ版に続き若き天才ラッパーを演じています。
活躍の場は俳優に留まらず、アーティストとして音楽活動もしている宮世。昨年4月に1stアルバム『PLAYLIST』でメジャーデビューを果たし、今年1月には国立代々木競技場第一体育館でのLIVE、イベントを2days成功させ、3月には2ndアルバム『Soleil』を発売しています。
宮世琉弥の幅広い活躍が、これからますます楽しみです。
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201