中島哲也監督「時には懺悔を」公開延期、過去作の性暴力場面巡るトラブル報道受け調査、検証

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2025年04月28日 19:10  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

中島哲也監督(2018年12月撮影)

中島哲也監督(65)の新作として、6月に公開予定だった映画「時には懺悔を」の製作委員会は28日、公開を2026年に延期すると発表した。


同作は、打海文三氏の小説を構想15年を経て実写化する旨、今年1月1日に発表。同監督にとって、18年「来る」以来7年ぶりの監督作だが、14年の監督作「渇き。」に出演した女優との間で性暴力シーンを巡るトラブルがあったと報じられており、同監督から説明、コメントが一切、出されておらず、対応を疑問視する声が上がっていた。同21日に、中島監督ががnoteを開設し、一連の経緯を説明し、謝罪。製作委員会も文書で状況を説明した上で、3月には都内で試写会が行われていた。


「時には懺悔を」製作委員会は「本年1月1日に映画化決定の情報を公開した際に、中島監督の過去作品の報道に関わる様々なご意見をいただきました。それらのご意見を真摯に受け止めた結果、製作委員会として、当該作品で起きたことは不幸な出来事であり、今後も決して同様のことが起きないよう万全の対策を取るべきであると痛感し、この問題をさらに詳しく調査、検証すべきであるという思いに達しました」と説明。「そして、本作『時には懺悔を』の関係者一同がその真相を理解、納得し、ベストな状況で一丸となって作品を届けるためには充分な時間が必要と判断し、当初予定した公開時期を2026年に延期する事を決定致しました」と公開延期に至ったと明らかにした。


「渇き。」を巡る一部報道では、出演した当該女優が脚本を読み、性暴力シーンを了承しつつ、バストトップを露出する描写はNGという前提だったものの、不本意な形で当該シーンの撮影が行われたと指摘。編集でカットするとの説明がありながら、関係者が集まった試写ではそのまま上映され、その後も協議を重ねたが薄いぼかしがかかっただけだったため、同女優は自殺未遂を繰り返し、芸能界から去ったなどと報じられた。


「時には懺悔を」製作委員会は、現状について「現在、当時の関係者へのヒアリングを中心に調査を進めております。それが『時には懺悔を』という映画にとって最良の選択であると信じておりますしこうした努力が我々映画製作者の今後にとって良き教訓になる事を願います」と説明。「公開を心待ちにしておられた方々には誠に申し訳ございませんが、ご理解いただけますようよろしくお願い致します」と謝罪した。


中島監督は、自身のnoteの中で「私が『渇き。』において遭遇した不幸な出来事の大きな原因は、監督である私と出演者A子さんの間に正常なコミュニケーションが成立していなかったこと、私とA子さんの間にあまりにも多くのスタッフがおり、結果、監督である私の意図はA子さんに正しく伝わらず、またA子さんが役を演じる上での不安や不都合が監督の私にまでダイレクトに届いてこなかったということでした」と、A子さんとのコミュニケーション不全を認め、俳優との間に多くのスタッフがいるシステムが原因だとした。


その上で「今思い出しても、とても情け無いことです。この問題は制作体制をなるべくシンプルなものに改善し、かつインティマシーコーディネーターに入ってもらい両者の立場を尊重し丁寧に伝え合うことで、完全とは言えぬまでも多くの部分が改善されたように思います」と、反省をし、製作システムを改善したと強調していた。


◆「時には懺悔を」中島監督が、およそ20年前に原作小説に出会い、映画化にこぎ着けた。主演の西島秀俊(53)と共演の満島ひかり(39)とは初タッグを組む。さらに黒木華(34)宮藤官九郎(54)柴咲コウ(43)塚本晋也(64)片岡鶴太郎(70)佐藤二朗(55)役所広司(68)と、日本映画界の名優が名を連ねた。西島は家族との不和を抱え、家族から目を背けながら生きる男・佐竹、満島は娘に捨てられた女・聡子、宮藤は子を生きる糧にした男・明野、黒木は産んだ子を愛せなかった女・民恵、佐藤は他者に関心を持てなかった男・米本、柴咲は子に全てをささげ尽くした女・由紀をそれぞれ演じた。

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