皆川博子さん 「好きなことを書いて認めていただけて大変ありがたい」。旭日中綬章の受章が決まった小説家の皆川博子さんは、95歳という年齢を感じさせない明瞭な口調で喜びを語った。
児童文学でデビューし、ミステリーや幻想小説などに幅を広げていった。長年にわたる執筆活動の原動力は「好奇心」。面白い素材を見つけては徹底的に調べ、「史実を忠実に書くこと」にこだわった。海外が舞台の作品を手掛ける際には、精力的に現地に足を運んでイメージを膨らませた。
「歴史を大きく動かした人物は偉大とあがめられるが、その下に踏みつけにされてきた人がいる。そうした人を書いてきた」。幼時に経験した過酷な戦争体験などが育んだ目線だ。終始穏やかな語り口ながら、居住まいに芯の強さがうかがえる。