石破首相、東南アジアつなぎ留め=トランプ関税で中国と綱引き

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2025年04月29日 07:31  時事通信社

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赤じゅうたんを歩く石破茂首相(左)とベトナムのトー・ラム共産党書記長=27日、ハノイ(EPA時事)
 【ハノイ時事】石破茂首相のベトナム訪問は、トランプ米政権による相互関税の発表後、初めての外国出張となった。ファム・ミン・チン首相との28日の首脳会談で、安全保障・経済分野での連携強化を確認。米関税を受けて中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)各国への影響力を一段と高めようとする中で、中国に接近し過ぎないよう、つなぎ留める狙いがあった。

 「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けて協力していることを確認した」。石破首相は会談後の共同記者発表で強調した。チン首相は「経済、投資、貿易分野での協力を両国関係の主要な柱として深化させることで一致した」と語った。

 ベトナムは中国が海洋進出を強める南シナ海に面しており、日本は「地域の安全保障上のキープレーヤー」(防衛省関係者)とみている。今回の会談では中国の動きを念頭に、外務・防衛当局の次官級協議の創設や、半導体・エネルギー分野などでの経済協力の推進など2国間関係の強化を打ち出した。

 米関税問題も主要な議題となった。米国がベトナムに課した相互関税は46%で、貿易依存度が高い同国への打撃は大きい。石破首相は「世界経済を巡る現下の情勢や、多角的自由貿易体制への影響についても幅広い議論を行った」と説明した。

 ベトナムにとって中国は、南シナ海で領有権を争う相手であると同時に、最大の貿易先でもあり、配慮が欠かせない。今月14日には中国の習近平国家主席がベトナムを訪れ、最高指導者のトー・ラム共産党書記長らと会談し、中越両国を結ぶ鉄道整備の推進で合意したばかりだ。

 習氏はマレーシアとカンボジアにも足を運び、貿易・投資の拡大で東南アジアを中国に引き寄せようとしている。米政権との「関税戦争」で共闘を図る狙いがあるとみられる。

 中国について、日本外務省幹部は「トランプ政権が始まり、アジア外交をてこ入れしようというのは同じような発想だ」と警戒する。グローバルサウス(新興・途上国)で重要な位置を占めるASEANは日本外交の最優先事項の一つ。首相は就任直後の昨年10月にラオス、今年1月にマレーシアとインドネシアを訪れており、ASEAN重視の立場を明確にする。

 南シナ海を含む周辺海域は、原油などの資源を輸入に頼る日本にとって重要なシーレーン(海上交通路)。地政学上の要衝に当たるASEAN各国が中国側に傾斜し過ぎれば日本の安全保障に直結する。政府関係者は「自由で開かれたインド太平洋の考え方を改めて説明し、賛同を得ることが必要だ」と強調した。 

カメラを前にポーズを取る石破茂首相夫妻とベトナムのトー・ラム共産党書記長夫妻=27日、ハノイ(AFP時事)
カメラを前にポーズを取る石破茂首相夫妻とベトナムのトー・ラム共産党書記長夫妻=27日、ハノイ(AFP時事)

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