2025年F1第4戦バーレーン
GP ルイス・ハミルトン(フェラーリ) スクーデリア・フェラーリのアンバサダーである元F1ドライバーのマルク・ジェネは、ルイス・ハミルトンが不安定なシーズンのスタートを切った一方で、舞台裏ではチームにいい影響を与えていることを明かした。
ハミルトンの待望のフェラーリ移籍は、7度のF1世界チャンピオンにとって輝かしい新たな章の始まりとなるはずだった。しかし、スクーデリアにおけるハミルトンの序盤戦は、第2戦中国GPでのスプリントレース優勝を除けば、予選でも決勝日でも期待外れの結果に終わっている。
SF-25はハミルトンにとってうまく機能しておらず、彼がフラストレーションを抱えていることは明らかだ。7位に終わったサウジアラビアGPの後、彼はマシンのせいにすることはせず、「毎週土曜日は挑戦だった」と述べて、自身が予選で苦戦していることを認めた。
F1パドック全体が、この40歳のドライバーの落胆ぶりに注目している。それは、彼がメルセデスに在籍していた最後の2年間を思い出させるものであり、そのときも彼はしばしば意気消沈しているように見えた。
■舞台裏でのポジティブな影響
ミナルディとウイリアムズのドライバーを務めた経験を持つジェネは、ポッドキャスト『Beyond the Grid』で、フェラーリの内部関係者の視点からハミルトンの変化について語った。
「ルイスはまだまだ初期段階にいる」
「彼が中国のスプリントで優勝したのは、素晴らしいことだった。僕は彼のことを知り始めたばかりだが、誰も彼の才能を疑うことはできない。彼は非常に経験豊富で、何が必要かよく理解しているのがわかる」
「だからこそ、メルボルンから中国に移ると彼は大きく改善した。別のチームから移籍してくるのは、簡単なことではないからね」
「現在のF1ではテストができないので、チームを変えたり、力学を把握したり、ステアリングホイールに馴れるのは大変だ。それには時間がかかる」
しかしジェネによると、ハミルトンの影響は、コース上の結果だけにとどまらないという。
「でも、ブリーフィングで彼が話しているとき、彼が本当に非常に重要な情報を与えていることがわかる。それに、彼はタイヤマネジメントがとても優れている。テレメトリーを見ると、彼が卓越していることがわかる」
「彼があれほど勝てたのは、最高のチームを率いていたからだと人々が言っていることは知っている。彼を実際に見ていると、なぜ彼があれほど勝ち続けたのか理由がわかるよ」
■ハミルトンが入り込んだユニークな環境
フェラーリの関係者としてのジェネの洞察は、ハミルトンの苦戦に関するメディアのうわさよりも重みがある。数十年にわたりフェラーリに関わってきたジェネは、最初はテストドライバーとして、そして現在はアンバサダーとして、チームの動向を最前線で見ている。
ハミルトンの悲観的なインタビューに焦点を当てた憶測による報道とは異なり、スペイン人のジェネの視点は、報告会からテレメトリーデータまで、直接の観察に基づいている。ジェネはその役割により、スクーデリアの内部事情にアクセスでき、クリック数を増やすために否定的な意見を増幅させることが多い記事の見出しを超えたところで、ハミルトンの真の影響を評価するためのより信頼できる情報源となっている。
ジェネはまた、ハミルトンが入り込んだユニークな環境についても強調した。
「フェラーリには大きなプレッシャーがある。世界中を探しても、これほどのプレッシャーに対処しなければならないチームは他にはない。しかしドライバーとして、彼はこれまで経験したことのないことを経験することになるはずだ。おそらく、フィオラノでのデビュー戦(エミリア・ロマーニャGP)では、道路を閉鎖しなければならないほどの観客を目にすることだろう」
「結局のところ、それはいいことだ。プレッシャーがあるものの、フェラーリはハミルトンがチームに馴染むよう支援に尽力している。彼の周りには非常に優秀なチームがいるし、彼にとって難しいことではないと思う。僕たちは彼がフェラーリの世界に迅速に適応できるように努めている」
「フェラーリは、彼がフェラーリファミリーの一員になるという夢を実現しないままF1から引退しなかったことを非常に誇りに思っている。それはフェラーリのDNAの一部だと思う。誰もがいつかはフェラーリをドライブすることを夢見ている」
フェラーリがチャンピオンシップの栄光を取り戻す挑戦を続けるなか、チームは日曜日だけでなく、日々の舞台裏でも、その仕事に最適な人材を確保したと確信しているようだ。
[オートスポーツweb 2025年04月30日]