北海道電力泊原発(北海道泊村)=2024年3月、北海道岩内町から撮影 北海道電力泊原発の安全性を巡っては、道内外の住民ら約1200人が起こした訴訟で札幌地裁が2022年5月、「津波に対する安全性の基準を満たしていない」として、運転差し止めを命令。控訴審での審理が続いている。
地裁判決は、提訴から10年以上がたつのに、安全性に関する具体的な主張・立証は、原子力規制委員会の審査状況を踏まえて行うとの姿勢を崩さない北海道電側の訴訟対応を批判し、「発電所が抱える安全面、その審査における問題の多さや大きさをうかがわせるものだ」と指摘した。
その上で、既存防潮堤の安全性について「相当な資料による裏付けをしていない」と指摘し、同原発に津波防護機能を保持する施設は存在していないと判断。その他の争点については「判断するまでもない」とした。
これに対し、北海道電は「安全性の判断は規制委に委ねられるべきだ」として控訴した。札幌高裁で継続中の審理では「運転時には(規制委による審査を経て)新規制基準に適合する安全性を備えている」と反論。一審で不備が指摘された津波対策については、新しい防潮堤を27年3月までをめどに完成させるとしている。