
福山雅治、星野源、及川光博……。今やドラマや映画に欠かせない、演技力も抜群なミュージシャンたち。この枠に最近、新顔が参入してきている。
早くも話題沸騰のNHK連続テレビ小説『あんぱん』には、Mrs.GREEN APPLEの大森元貴が出演。映画初出演&初主演となる『#真相をお話しします』も4月25日に公開される。そして先日、活動休止を発表したシンガー・ソングライターのmiletは、『知らないカノジョ』で映画初出演。ヒロイン役を見事に演じ切った。
だが、ドラマや映画に出演してほしいミュージシャンは、まだまだたくさんいるような。そこで30代〜60代の男女500人に「演技を見たいミュージシャン」のアンケートを実施してみると……?
第5位は松任谷由実(71)。'72年のデビューから半世紀以上、音楽シーンの第一線で活躍する大ベテランだ。
「声に個性がある」(千葉県・44歳・女性)、「カッコいい女性を素のままでできそう」(東京都・57歳・女性)などの意見が集まり33票を獲得。
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「ユーミンさんのコンサートは、パフォーマンスもステージも圧巻で、年齢を重ねても“カッコいいお姉さん”のイメージが変わらない方。ランクインはすごく納得ですね」
と語るのは、放送作家でコラムニストの山田美保子さん。
「独特の声は他には見当たらないですし、パフォーマンスやファッション性の高さ、ロングヘアを維持されていることなど、本当にすごい方だと思います。例えば夏木マリさんや倍賞美津子さんのような、カッコいい年長の女性役が合いそう。存在感が抜群なので、セリフひと言でもすごくハマる感じがします」(山田さん、以下同)
若者から絶大な人気を誇る女性歌手がランキング入り
第4位は40票を獲得した宇多田ヒカル(42)。15歳で鮮烈デビューし、活動休止をはさみながらも、注目を集め続ける希代の歌姫。昭和世代には、“藤圭子の娘”の印象も強いだろう。
「美人だし表現力が高そう」(愛知県・44歳・女性)、「クールな演技が見られそう」(北海道・63歳・男性)、「CMでの演技が自然なので」(東京都・63歳・男性)と寄せられた声に、「すごく同感です」と山田さん。
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「宇多田さんが街を歩く『綾鷹』のCMが印象深くて。彼女は街とのハマり具合がいいんですよね。スタジオより外ロケがお似合いになるイメージ。表現力についても、表情豊かだし、音楽番組などでの発言もセンスがある方。無駄な笑いがなくて、的確で面白いんです。そこが“クールな演技”という想像につながるのかな。物怖じしない方だと思うので、どんな現場でも輝ける気がします。彼女の軽やかさを引き出すような作品をすごく見てみたいですね」
続いて第3位は44票獲得で、あいみょん(30)。'16年にメジャーデビューし、数々のドラマや映画の主題歌を担当。'23年上半期の朝ドラ『らんまん』の主題歌『愛の花』で、お茶の間人気も決定的なものにした。
「いつも自然体な彼女がどう変わるか、興味がある」(大阪府・58歳・男性)、「時代に合う音楽を作るので、共感できる演技をしてくれそう」(長野県・32歳・男性)などの声が寄せられた。
「“自然体”や“等身大”という言葉がすごく合う方だと思います。『淡麗グリーンラベル』のCMでは、牧歌的な場所での姿がとてもお似合いだったので、自然豊かな場所が舞台のドラマも合いそう」
また、「女子の中の溶け込み感がすごい」と、鋭い観察眼を披露してくれた山田さん。
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「4姉妹や女子大の設定など、シスターフッド系の物語にハマるんじゃないかと思います。また『どう変わるか、興味がある』という意見もありますが、私は今の雰囲気のままがいいなと思うんです。彼女に限らず、ミュージシャンの方が演じる際、あまりにかけ離れるとファンの方も気にしてしまいそうですし。それこそ、女性シンガー・ソングライターの役なども見てみたいですね」
紅白での登場シーンが話題を呼んだ“あの人”も
第2位は69票獲得の米津玄師(34)。昨年末、『NHK紅白歌合戦』で『虎に翼』のキャスト陣と共演した姿も印象深い、当代きっての人気アーティストだ。190センチ近い長身に長い前髪でビジュアルもインパクト大。俳優としての姿も容易に想像できるたたずまいだ。
そんな彼には、「陰のある役が似合う」(山口県・42歳・女性)、「歌詞を読むと語彙力も高いし、MVを見ると演技もできそう」(埼玉県・51歳・女性)、「天才的な才能を持ったすごいアーティストなので演技も見てみたい」(愛知県・58歳・女性)、「独特な世界観のある方なので、演技ではどうなるか興味をひかれる」(大阪府・47歳・男性)と、非凡な資質に期待する声が多数。
昨年の『紅白』での彼の出演シーンを今でもときどき見返すという山田さん。
「ちょっとした寸劇のようなものをやられて、すごかったんです。まさに名場面でした。また『虎に翼×米津玄師スペシャル』という特番で、台本を読み込んで曲を作ったというお話をされていて。物作りに対する姿勢が垣間見えて、とても真摯な方だと感じたんです。なので、もしも演じるということになれば、すごくまじめに取り組まれるんだろうなと」
コメントにもあるように、独特のルックスは陰のある役や犯人役に、そのままハマりそう。
「主演ではなく、謎のキャラクターで出てもらいたいですね。ただひとつ、演じられるときはどうかお顔をちょっと見せるような髪形で登場していただけたらうれしいです(笑)」
第1位は世代を超えて支持を得る大物アーティスト
そして堂々の第1位は桑田佳祐(69)。サザンオールスターズでもソロ活動でも多数のヒット曲を放つロックの第一人者。湘南が生んだスーパースターが、73票を獲得した。
「シリアスからコミカルまでいろいろ演じてくれそう」(北海道・54歳・男性)、「コメディーセンスが抜群だから」(東京都・52歳・男性)、「歌で変装をしたり、歌の人物になりきって歌ったりしているので、本格的な演技を見てみたい」(広島県・65歳・男性)、「自分たちの世代のスーパースター」(埼玉県・69歳・男性)と、特に男性陣から熱烈なコメントが多く届いた。
実は青山学院大学で桑田の後輩だった山田さん。学生時代から憧れの先輩だったという。
「その当時から桑田さんのイメージは全然変わらないです。セクシーだし、コンサートはお祭り騒ぎみたいに盛り上がるし、いつまでも素敵でチャーミング、みんなを一瞬で幸せにできる方。声の迫力や身のこなしの軽やかさは、舞台役者としても映える気がします」
山田さんが合いそうだと思うのは、今期ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』のような大人の恋愛ものや、昨年、木梨憲武が主演した『春になったら』のような父と娘の物語。
「あるいは、所ジョージさんや明石家さんまさんなど、カッコよくて面白い方が多い世代なので、そんなイケジジ軍団が同じマンションに住んでいる話も楽しそう。コメントに『コメディーセンスが抜群』とありますが、私も同感。コメディーは間の取り方や緩急のつけ方がすごく大事ですけど、桑田さんはきっと身についていらっしゃると思うんです。あと、サザンが主題歌だった『新宿野戦病院』のエンディングみたいな、キリッとクールなカッコいい系も合いそうですね」
6位以下も個性的なメンツがズラリ。
「9位の藤井風さんは米津さん同様、そのままですごく雰囲気のある方なので、ぜひ見てみたいです。ミュージシャンの方々は世界観を確立されているし、MVで曲に合わせて演じたりもされているので、きっと演技もいけるんだろうなと思いますね」
すでにオファーが殺到しているかもしれない、演技が見てみたいミュージシャンたち。華麗な演技を見せてくれる人が、この中から現れてほしい!
山田美保子 放送作家、コラムニスト。テレビ・ラジオのコメンテーターとして『サンデージャポン』(TBS系)などに不定期出演中
取材・文/今井ひとみ