
【写真】2人の刑事の狭川(加藤シゲアキ)、遠山(正門良規)を捉えた『SUNA』の場面写真
2020年より始動した、伊藤主税、阿部進之介、山田孝之らがプロデュースする『MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)』は、メジャーとインディーズを超えた多彩なクリエイターによる短編映画制作プロジェクト。2024年のSeason6までに著名クリエイターから一般公募まで、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した47本の短編映画を劇場公開してきた。
全国の地域と連携しながら映画制作を通じた地方創生や人材育成にも取り組んでおり、愛知県東海市と連携しているSeason7では加藤浩次、加藤シゲアキが監督として参加。2人が東海市で撮影した短編映画に加え、クリエイター育成・発掘を目的に国内外の公募から選出された3作品とともに、オムニバス映画として発表する。
2025年以降は、米ハリウッドで開催されているグローバル・ステージ・ハリウッド映画祭とのクリエイター育成に関するコラボレーションを予定しており、日本のクリエイターを世界に紹介するプラットフォームとしても期待されている。
今作のラインナップは全5作品。NEWSのメンバーで作家の加藤シゲアキが監督を務め、正門良規(Aぇ! group)とダブル主演した『SUNA』。坂本ショーン監督作『ウエディング』。武田成史が監督を務める『KUTSUYA』。加藤浩次が初監督を務め、矢本悠馬を主演に迎えた『Victims』。俳優で本作が初監督作品となる香月彩里監督の『ヒューマンエラー』。
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加藤シゲアキがメガホンを取るのは、砂によって窒息死するという奇妙な事件が多発する愛知県・東海市を舞台に描かれる『SUNA』。事件を追う2人の刑事の狭川(加藤)、遠山(正門)を捉えた写真は、事件現場を背景に、赤いライトに照らされた狭川の姿など、スタイリッシュなカットととなっている。
加藤浩次がメガホンを取る『Victims』の場面写真は、路上に停めた車の中でキスをしようとしていた付き合いたてのカップルである昴(矢本悠馬)といすゞ(田辺桃子)の前に急に現れる怪しい少年・ダイハツ(嶋田鉄太)や強面の男性・日野(奥野瑛太)、昴といすゞの車の前に停まっていた車の運転手・松田(雛形あきこ)のカットなど、カオスな状況を予感させる場面写真となっている。
また、加藤浩次と親交の深い山里亮太(南海キャンディーズ)や近藤春菜(ハリセンボン)に加え、又吉直樹(ピース)、加納愛子(Aマッソ)など著名人からのコメントも到着した。
さらに、5月23〜25日にデンマークで開催される「日本デンマーク映画祭(Japan‐Denmark Film Festival)」にて、『MIRRORLIAR FILMS Season6』『MIRRORLIAR FILMS Season7』の上映が決定。MIRRORLIAR FILMSが製作し、渋谷区立猿楽小学校の児童が1年間をかけて制作した短編映画『冬の向日葵』も上映される。
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著名人のコメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
<『SUNA』コメント>
■逢坂冬馬(小説家)
サスペンス、ホラー、そして文学に対する作者の憧憬と才気が炸裂している。
本作が映画監督、加藤シゲアキのプロローグとなるのだろう。
「砂」が恐ろしいものに思えてくるほどに反復する恐怖演出、ダブル主人公の演技力、ともに必見!
■中村文則(小説家)
僕の故郷の東海市が、こんなに引き込まれる映画の舞台になったことが、とても嬉しい。安部公房の『砂の女』の砂が不毛――同時にそれはこの世界のある意味で真の姿でもあるけど――を表すとしたら、この映画での砂の描き方には、現代への興味深い批評すら見えるようで、なお引き込まれる。
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例えば、ショベルカーが砂を崩す様は太古の生物が長い首をもたげ何かをこそげ食うようであるし、部屋にまで侵入し執拗にこびり着く砂は近年の流行り病を連想させもする。安部公房がかつて砂に見た人間社会の不条理は、いかに受容され変貌を遂げたのか?崩壊、欲望、束縛に安寧、砂に照射される無限のイメージに身を任せたい。
■Aマッソ・加納愛子(芸人)
堆積、風化、侵食。砂の特性は、人生のそれと同じだ。
砂に惹かれた加藤シゲアキの人生はどれほどの経験を堆積させてきたであろう。
人あらざるものの呪いに触れるとき、日々は簡単に揺らぐ。
しかし抗えない呪いもまた、彼の内側にある何かなのかもしれない。
■宇多丸(RHYMESTER)
加藤くん久々の監督作はなんと、『怪奇大作戦』ばりにモダンと伝奇が交錯する……あるいはリンチばりにノワールと悪夢的ビジョンが混じり合う、スタイリッシュ&ストレンジな、ミステリー/ホラー! 短編ゆえに、あえて全ての情報を提示しきらず、ひたすら余白と余韻のなかに観客の想像力を誘い込むミニマルな語り口に徹しているあたり、小説とはまた明白に異なるモードで、改めてその資質の豊かさにも、驚かされる。
■ピース・又吉直樹(お笑い芸人)
題名が象徴する通り、物語も登場人物も、風や雨に打たれて形を変え続ける砂のようでした。その儚さと変化に揺さぶられる恐ろしさが、妙に心地よかったです。繰り返し体験したくなる不思議な余韻が心に残りました。
■人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
冒頭の砂まみれの死体が凄まじいインパクト!これで一気に引き込まれて、そこから先は現実とも妄想とも取れぬ静かな狂気から逃げられない。砂だけで恐怖を煽るストイックな構成。15分の中で静と動を巧みに織り混ぜる。加藤シゲアキさんには、日本を代表するサイコホラー監督になれるポテンシャルがある。
■隈研吾(建築家)
砂という異物を扱いながら普遍的な問題を描いているエンターテイメントミステリー。
マテリアルと日々戦っている建築家として刑事たちに共感してしまった。
<『Victims』コメント>
■南海キャンディーズ・山里亮太(お笑い芸人)
加藤さんの中にある歪んだものがこぼれ出てる作品、こんな事考えている人なんだと思うと、朝の番組とかなんでやってたんだろうと思う。
面白い、でも、これを面白いって言ったら僕も同じってことになってしまうのかな?
でも、面白いんだよなぁ、加藤さん、面白いけど、やっぱあなた変ですよ
■よしひろまさみち(映画ライター)
テンポのいい3つの一方通行トークをキュッと詰めた静かなる真夏の狂気。欲張らず、シチュエーション重視で、芝居で魅せる。これら制約をエンジョイすると、この「Victims」のように短編映画は俄然面白くなる。
■ココリコ・田中直樹(お笑い芸人)
加藤さんは何を言い出すかわからない人で、どんな行動をとるか予想のつかない人です。私はそんな人にワクワクします。そんな人が脚本を書いて監督もする。ワクワクしない訳がありません。鑑賞しました。もう私、たまらなかったです。加藤さんにしか描けない人物像があって、私はそれがとても好きなんだと改めて思いました。「もうあのオッサンなに〜!?」です。
■ハリセンボン・近藤春菜(お笑い芸人)
短い時間の中で、人間のおかしさてんこ盛りで、最後にはゾワッとするおもしろさでした。
この映画を観た後に、キスのことを考えてしまっている自分の滑稽さにも気がつきました。
唇、見ちゃうなぁ。
■隈研吾(建築家)
社会の生々しいところに接してきた加藤浩次監督だから描ける被害者と加害者がめまぐるしく反転していく作品。
そのスピード感、笑いの中にある社会問題意識に感銘を受けた。