
(L-R): Ghost (Hannah John-Kamen), Taskmaster (Olga Kurylenko), John Walker (Wyatt Russell), Bucky Barnes (Sebastian Stan), Alexei Shostakov/Red Guardian (David Harbour), and Yelena Belova (Florence Pugh) in Marvel Studios’ THUNDERBOLTS*. Photo courtesy of Marvel Studios. © 2024 MARVEL.
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、マーベルの最新作『サンダーボルツ*』(2025年5月2日公開)です。私の中でのマーベルシリーズといえば、『アイアンマン』『アベンジャーズ』『マイティ・ソー』、そしてスカーレット・ヨハンソン主演『ブラック・ウィドウ』。
なので、今作の『サンダーボルツ*』って?と思っていたのですが、主演が『ブラック・ウィドウ』のエレーナ役で超魅力的なパフォーマンスを見せていたフローレンス・ピューさんと聞いて大興奮! 試写で鑑賞したのですが、フローレンスさんの魅力がパンパンに詰まっていましたよ。では、物語からいってみましょう!
【物語】
アベンジャーズが不在の世界に迫る人類滅亡の危機に集結したエレーナ(フローレンス・ピューさん)などの凄腕の暗殺者たち。それぞれ過去のトラウマと対峙して苦しみながらも闘い続けてきました。
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しかし、任務を全うするはずが、命を狙われることに。「なぜ?」。そこには黒幕の陰謀が隠されていたのです。
【スマートさゼロのアンチヒーロー?】
アイアンマンをはじめ、キャプテン・アメリカやハルクなど人気ヒーローが大集結する映画『アベンジャーズ』。強いし、かっこいいし、キラキラとした魅力を放っていました。
なので、今作も『サンダーボルツ*』にもそういうノリを期待していたのですが、全然違うのです。でもね、むしろその違いが良かった!
(L-R): John Walker (Wyatt Russell), Bucky Barnes (Sebastian Stan), Ghost (Hannah John-Kamen) and Alexei Shostakov/Red Guardian (David Harbour) in Marvel Studios’ THUNDERBOLTS*. Photo courtesy of Marvel Studios. © 2025 MARVEL.
『アベンジャーズ』が優等生のエリート軍団だとしたら、『サンダーボルツ*』は荒くれ者たちが集まった不良軍団。もう冒頭から、フローレンス・ピューさん演じるエレーナは、任務の最中に「暗殺者じゃなくて、もっと表に出る仕事がしたいんですけど〜」みたいに愚痴っているし……。
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しかし、任務完了後に彼女は、ボスのヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ(ジュリア・ルイス=ドレイファスさん)から次の任務と言われ向かった先で、なんと殺されそうになるのです。
「話が違う!」と思いながら闘う相手は、ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセルさん)でキャプテン・アメリカ2代目を任命された男。そして同じ場所で、次々とバッキー(ウィンター・ソルジャー / セバスチャン・スタンさん)など、戦闘スキルがハイレベルなメンツが集まり、殺し合いのバトルが繰り広げられるのです。
「なんでこんなことが…」と思ったら、実は全員、ボスに見放されたメンバーであり、殺し合いのために集められたというわけです。ひどい! でもこのメンツが “サンダーボルツ*” になるわけです。
ではメンバーをサクッとご紹介しておきましょう。
エレーナ:型破りな暗殺者。“ブラック・ウィドウ” の妹
ウィンター・ソルジャー(バッキー):孤高の超人兵士。初代キャプテン・アメリカの親友。
ゴースト:あらゆる物質をすり抜ける特殊能力の持ち主。
ダスク・マスター:敵の技をコピーして闘う人間兵器。
ジョン・ウォーカー:元エリート軍人。キャプテン・アメリカ2代目。
レッド・ガーディアン:エレーナの父親代わり。自称キャプテン・アメリカのライバル。
ボブ:招待不明の謎の男
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【泥臭く、ボロボロになっても闘い抜く!】
殺し合っていた暗殺者たちが、やがて現れる邪悪な敵を前に決死のバトルを繰り広げていく。闘いが物語の進行とともにどんどんスケールアップしていくのでワクワクが止まりませんでしたよ。
『アベンジャーズ』のようなスマートさはないけど、ボロボロになりながらも泥臭く闘っていく姿が新鮮でよかったです。全員、過去に強烈なトラウマがあるのですが、そのトラウマがヴィジュアル化されアクションにつながっていく描写もユニーク。
ケンカばかりしていたのに徐々に認めあい、距離が縮まり、チーム “サンダーボルツ*” が誕生するプロセスも良き。完璧じゃないからこそ応援したくなるヒーローだと思いました。
【パワフルなフローレンスに釘付け!】
『ブラック・ウィドウ』でもズケズケ物を言う気の強いエレーナでしたが、本作でも歯に衣着せぬ物言いが素敵です。それでいて姉のように慕っていたナターシャ(スカーレット・ヨハンソンさん)を失ったことが辛くて辛くていまだに立ち直れないところなど繊細な一面も……。
アクションだけでなくエレーナのハートを奥深くまで余すところなく見せていくフローレンスのきめ細やかな演技も素晴らしい。改めて心技体が整ったいい俳優だと惚れ惚れしちゃいました!
Yelena Belova (Florence Pugh) in Marvel Studios’ THUNDERBOLTS*. Photo courtesy of Marvel Studios. © 2024 MARVEL.
『サンダーボルツ*』はシリーズ化され、今後も続くと思われるので、本作は第一作目として必見! 各メンバーはすでに、ほかのマーベル作品に出演していたりするので、私のように「サンダーボルツ*って何?」と思っている初心者さんは、この映画を観たあとに復習するのも楽しいかも。私も復習しようと思います!
執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:(c)2025 MARVEL
『サンダーボルツ*』
2025年5月2日(金)全国ロードショー
監督:ジェイク・シュライアー
出演:フローレンス・ピュー、セバスチャン・スタン、デヴィッド・ハーバー、ワイアット・ラッセル、オルガ・キュリレンコ、ハナ・ジョン=カーメン、ジュリア・ルイス=ドレイファス、ルイス・プルマン、