
【写真】セプテンバーの鋭い視線に恐怖 『九月と七月の姉妹』場面カット
生まれたのはわずか10ヵ月違い、いつも一心同体の姉妹セプテンバーとジュライ。我の強い姉と内気な妹は支配関係にありながら、お互い以外に誰も必要としないほど強い絆で結ばれていた。しかし、学校でのある事件をきっかけに、シングルマザーのシーラと姉妹はアイルランドの海辺近くにある亡父の家<セトルハウス>へと引っ越すことに。
新しい生活のなかで、次第にセプテンバーとの関係が変化していることに気づきはじめるジュライ。「セプテンバーは言う──」。ただの戯れだったはずの命令ゲームは緊張を増していき、外界と隔絶された家の中には不穏な気配が満ちていく…。
監督を務めたのは俳優として活躍し、ヨルゴス・ランティモス監督(『哀れなるものたち』)の公私ともに渡るパートナーとしても知られる新鋭アリアン・ラベド。2010年、ランティモス監督が制作・出演したアティナ・ラヘル・ツァンガリ監督作『アッテンバーグ』で映画デビューを果たし、ヴェネツィア映画祭とアンジェ・プレミエール・プラン映画祭の最優秀女優賞を受賞。本作でランティモス監督と出会い、2013年に結婚、その後彼の監督作『ロブスター』にも出演している。また2014年には、『欲望の航路』でロカルノ映画祭最優秀女優賞を受賞、セザール賞新人女優賞にもノミネートされた。
ラベドの初監督作品となる短編『Olla』(2019)は、カンヌ監督週間、ロンドン映画祭、テルライド、サンダンスなど、世界中の映画祭で上映され、クレルモン=フェランでは最優秀作品賞を受賞。長編デビューとなる本作では、2024年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に公式出品され、カメラドール(新人監督賞)にノミネートされた。
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ティザーポスターは、<顔の無い>2人の少女がお揃いのワンピースを着用して、⼀つのフレームに並ぶ姿を描いたもの。一見可愛らしくありつつも、その深淵を覗き込めばぞっとするような、不穏さを感じさせるデザインだ。担当したのは、デイジー・ジョンソンの小説『九月と七月の姉妹』(東京創元社)の日本版小説の表紙のデザインを手がけ、小説『82年生まれ、キム・ジヨン』などの装画でも知られる画家・榎本マリコ。榎本は「終始圧迫感のある曇天と、閉鎖的な社会生活との狭間で光り輝く姉妹の命。でもその光は希望に満ちたものじゃなく支配欲と服従、諦念に満ちていた。姉妹の物語はその家の中で、同じ景色の中で確かに存在したことを証明したくてこの絵を描いた」とコメントを寄せている。
シーン写真は、セプテンバーが“2人だけのままごと”の最中に、ジュライに獲物を射るような目線を向けている姿を捉えたもの。セプテンバーとジュライの、無邪気ゆえに恐ろしい、いびつな支配関係を切り取ったものとなっている。
映画『九月と七月の姉妹』は、9月5日より全国公開。