今市隆二instagramより LDHアーティストのライブをたくさん観て、少なからずアーティスト本人たちを目の前にしてきた者からすると、三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)のツインボーカル・今市隆二が繰り出すグルーヴィーなソロライブ体験は格別である。
2022年に開催されたホールツアー『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022“RILY’S NIGHT”』第2章『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022“RILY’S NIGHT”〜Rock With You〜』東京公演は、最高のパフォーマンスだった。
カッコいいという感想ばかり口をついてでる。2025年4月1日に行われた洗足学園音楽大学入学式には、なんと客員教授として今市が登場した。これまたほんとカッコよすぎるでしょ……。
LDHアーティストをこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、客員教授に就任した今市隆二がカッコいい理由を解説する。
◆日本一カッコいい客員教授
これはもう自分でも恐ろしいくらい短絡的な表現だと思うけど、3月28日に洗足学園音楽大学(以下、洗足学園)の客員教授に就任することが発表された今市隆二は、誰がどう見ても、日本一カッコいい客員教授である。
隆二さんのことになると、いてもたってもいられない気持ちになり、ただただカッコいいという同語反復になってしまう……。まったく、今市隆二というほれ薬でもあるんだろうか?
恥ずかしげもなくそう繰り返しつつ、4月1日に洗足学園音楽大学で行われた入学式の話題についてふれなければならない。式典ラストに登場した今市隆二が、所属グループの代名詞ナンバー「R.Y.U.S.E.I.」のサビ「人生一度きり」を軽やかに引用して「この言葉はやる気しかないという気持ち、夢に向かって走っていくしかないという強い気持ちにさせてくれる」と説明した。
新入生に対する圧倒的説得力を式辞に込めた今市が、客員教授として担当するのは、洗足学園が新たな活動領域を促すインキュベーションセンターでの特別講義やワークショップ。入学式に先駆けて3月28日に開催された特別公演『#WE_ARE vol.4』では、洗足学園ダンスコースが披露した楽曲振り付け指導を三代目JSBの後輩グループ・GENERATIONSの中務裕太が担当していたりもする。
◆今市隆二がカッコいい理由
一口に音大といっても、今や音楽ジャンルの細分化に合わせてさまざまなコースが整備されている。洗足学園にはロック&ポップスコースがあり、同コース4期生を中心に結成されたのが、マカロニえんぴつである。指導教員にもポップスシーンの第一線で活躍しているアーティストが招聘されている。
安全地帯やB’zのキーボードとしてお馴染みの川村ケンもそのひとりだが、実はぼくにとっては日本大学芸術学部の大先輩でもある。数年前にあるライブ公演でご一緒したとき、楽屋前の廊下をさわやかな笑顔で闊歩する川村さんもまたかっこよさの化身みたいな存在感だと感じた。
川村さんや隆二さんのようなカッコいい大学教員と出会えるだなんて、洗足学園の学生がうらやましい限りだ。だから羨望と私淑の眼差しで唱えるようにここでもう一度、今市隆二はひたすらカッコいいと連呼しておく。
では何がそこまでカッコいいのか? その理由を読み解く前に、入学式での式辞以外にも、今市のカッコいい成分がジュワジュワあふれる具体例を芸もなく列挙する。
まずはやっぱりソロライブ。三代目JSBグループ全体の活動と並行して、2018年からソロ活動を開始した。どのソロライブでもステージ上に登場しただけで成分ジュワジュワだが、2022年に開催されたホールツアー『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022“RILY’S NIGHT”』の第2章『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022“RILY’S NIGHT”〜Rock With You〜』東京公演は格別だった。
一階席から観ていたぼくは、KC &ザ・サンシャイン・バンド「That’s The Way(I Like It)」から今市ソロの代表的ナンバー「Highway to the moon」のイントロが流れた瞬間、あらゆるカッコいい成分がたちまち結実したグルーヴィーな音像に全身が包まれるようで、しびれ通しだった。
◆オーガニックな魅力を垣間見せたスポーツ大会
ソロライブを体感すれば一目瞭然だが、そのカッコよさはバラエティー番組でも一貫している。例えば、LDHアーティストが独自の動画コンテンツを配信するサブスク「CL」で配信されている『三代目 J SOUL BROTHERS 絶対に負けられない!7番勝負』。
三代目JSBリーダーNAOTOの持ち込み企画でパターゴルフ対決に挑戦する今市がカッコよ過ぎた。ソフトワイルドなアメカジスタイルで袖をまくったTシャツがまぶしく、でも手元は安定してパターで打つボールはホールイン・ヴィクトリー。オートマティックな一連の動作は、まるで自動カッコいい製造機みたいだった。
あるいは、2024年に開催されたLDH総勢96名が集結した大スポーツ大会『LDH CLUB CHAMPIONSHIP 〜PLAY 4 VICTORY〜』でのひと幕。「中目黒リュージーズ」を率いるリーダー今市が、最終種目・選抜リレーでアンカーを務めた。前走者からバトンを渡されるまでの間、何となくユニフォームの肩を整えたりして、クールにウェイティング。ただ待っているだけでカッコいい、オーガニックな魅力を垣間見せた。上述した袖まくりTシャツと対比するなら、なおさらあざやかだ。
◆極言、そのカッコよさに理由はない
というように、いくらでも列挙できる具体的場面は、ざくざくディグり放題鉱山の一角に過ぎない。いずれにしろ、共通するものが、ここではっきり見えてくる。
それは、佇まいである。佇まいイコールカッコいい。このシンプル極まりない公式を得てしまえば、今市隆二がカッコいい理由に対する最適解をほとんど抽出してしまったようなものである。
逆にいえば、佇まいがカッコいい今市隆二に対して、カッコよさの理由を解くのが野暮ったい。極言、そのカッコよさに理由はない。ということに帰結してしまうのだが、でも一応野暮なりに理由らしきものを導きだしてもみたくなる。
◆カッコよさを伝えるためのしなやかな身振り
着目すべきは、今市隆二のカッコよさは、2010年の三代目JSBデビュー時から変わっていないということである。デビューシングル「Best Friend’s Girl」のジャケ写に写る今市も、ソロ活動開始当時の今市も、40歳目前の現在の今市も変わらずにカッコいい。
ソロアーティストとしての彼がライフワークとするR&B世界にちょうどいい表現がある。『ブルース・ピープル』の著者、リロイ・ジョーンズこと、アミリ・バラカがR&Bという音楽ジャンルを定義したこのフレーズ。The changing same。意味は、変わりゆく変わらないもの。
撞着表現だが、これはつまり、形(形式)は変わっても本質は変わらないくらいの意味合いである(今市のソロ4thアルバム『GOOD OLD FUTURE』が意味する「古き良き未来」も撞着表現)。
同様に、デビューから本質的に変わらないカッコよさに裏打ちされているからこそ、現在の年齢に応じて濃縮されたメロウネスを醸すことができる。
最近の今市の存在にはどうもR&B界の色男、カール・トーマスが見え隠れしているように感じるのもそのためだろう。
客員教授就任は、こうしたカッコよさの系譜を教育現場でも時間をかけて伝承し、洗足学園の学生たちにもカッコよさの真髄を伝えるためのしなやかな身振りなのではないかと思ったりする。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu