改憲派集会に寄せられた石破茂首相のビデオメッセージ=3日午後、東京都千代田区 自民党中心の政権が少数与党となって初めての憲法記念日を迎えた3日、石破茂首相(自民総裁)は憲法改正推進派の民間団体が東京都内で開いた集会にビデオメッセージを寄せた。首相は日本周辺の安全保障環境の悪化や首都直下型地震など震災発生の可能性に言及した上で「緊急事態対応、自衛隊の明記を最優先に取り組んでいきたい」との考えを示した。
自民は、(1)9条への自衛隊明記(2)緊急事態条項の創設(3)参院選挙区の合区解消(4)教育の充実―の改憲4項目をまとめている。
首相は「衆参の憲法審査会における議論がさらに進み、国会による発議が早期に実現するよう、党として尽力する」と訴えた。「憲法改正はわれわれ政治が、そして自民党が積極的に国民に働き掛けていく」とも述べた。
集会には自民、公明、日本維新の会、国民民主各党の幹部も出席した。
◇立民「熟議尽くす」
一方、立憲民主、共産、れいわ新選組などの各党幹部は都内で開かれた護憲派集会に参加した。立民の辻元清美代表代行は「おかしな憲法論議は絶対に許さない」と強調。自民などが求める緊急事態での国会議員の任期延長について、「憲法54条で規定されている参院の緊急集会で対応できる」と反論した。
3日のNHK番組では、与野党幹部が憲法について議論した。自民の逢沢一郎選挙制度調査会長は「できるだけ早いタイミングで憲法改正の発議をしたい」と話した。立民の大串博志代表代行は「昨年の衆院選の結果、衆院の構成が変わった。数で憲法論議を一方的に進めるのは難しい状況だ。しっかりと熟議を尽くしていきたい」とけん制した。

護憲派の集会で手を振る(左から)立憲民主党の辻元清美代表代行、共産党の田村智子委員長、れいわ新選組の櫛渕万里共同代表、社民党の大椿裕子副党首=3日午後、東京都江東区