涙と笑いのポールポジション会見。大クラッシュから修復したセルモに「本当に感謝の気持ちでいっぱい」石浦宏明

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2025年05月03日 22:50  AUTOSPORT web

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ポールポジションを喜ぶ石浦宏明(KeePer CERUMO GR Supra) 2025スーパーGT第2戦富士
 5月3日に富士スピードウェイで行われた2025スーパーGT第2戦『FUJI GT 3Hours RACE GW SPECIAL』の公式予選。GT500クラスは38号車KeePer CERUMO GR Supraがチーム5年ぶりのポールポジションを獲得し、予選後会見で石浦宏明と大湯都史樹が喜びと、涙の理由を語った。

 昨シーズンからKeePer技研がメインスポンサーに就任し、マシンカラーリングとチーム体制が大きく変化したTGR TEAM KeePer CERUMO。監督には長年チームで活躍した立川祐路が就任し、ドライバーは石浦が継続も、ホンダから大湯が移籍加入し、体制強化の効果もありランキング4位で終えた。

 ただ、チームが目指すのはあくまで優勝。その目標に向けて、今季の38号車KeePerは開幕前テストで上位タイムを出す上昇気流で開幕戦岡山を迎える。しかし、雨の決勝レースの1コーナーで石浦がスピン、後続車両が避けきれずに接触する多重クラッシュを起こしてしまい、38号車KeePerもマシンに大きなダメージを負った。

 チームは次戦までの中2週間でマシンの修復を行い、この第2戦の開催週にマシンを組み上げた。ほぼ突貫作業で迎えた第2戦富士の土曜予選日だが、38号車KeePerはそのことを忘れさせる走りを披露。予選Q1では石浦が3番手で通過すると、Q2で大湯が1分26秒093を出して、2020年第4戦もてぎ以来となる5年ぶりのポールポジションを獲得した。

 予選直後の公式映像インタビューでは、石浦の目に涙が見えるシーンがあった。そのことを石浦に聞くと「自分のことよりも、本当にメカニックさんたちが頑張ってくれたおかげで、このポールポジションという結果を出させてもらえてることに、本当に感謝の気持ちでいっぱいでした」と胸中を語る。

「明日の決勝レースで良い結果を残して、また喜びたいという気持ちもあります。まずはこういった環境に戻してくれて、みんなの協力があって結果を出すことができたので、(涙は)それを考えたときにそうなってしまいました」

 石浦によると、ポールポジション獲得はチームが予選に向けてクルマをアジャストしてくれたことに加え、選択したタイヤが予選のコンディションにマッチしたことが大きいとのこと。

 Q2を担当した大湯もポールポジションを獲れるとは思っていなかったようだが「石浦選手が良い走りをみせてくれたので、僕も最大限のパフォーマンスを出したかった」という想いで最速タイムを出すことに成功した。

「(開幕戦のクラッシュで)クルマはバラバラになってしまいました。でも、そんな状態から本当にギリギリでチームがクルマを完成させてくれて獲得できたポールポジションです」

「公式練習からトラブルなくマシンを作り込んでくれたチームには本当に感謝したいです。38号車が強くなっていることを証明できた、本当に良い予選でした」と大湯は喜びを噛み締めた。

 決勝に向けては、まず石浦が「ゴールデンウイークの富士は3回勝ったことがありますし(編注:2012年、2017年、2019年)大湯との初優勝がかかっています」と真面目に答えていたが、大会プログラムの生年月日の誤字に触れ「プログラム上は64歳の最年長優勝がかかっているらしく、しっかりと記録を残したいので頑張ります」と、最後に笑いを誘った。

 これには大湯も「64歳となると、僕は孫くらいになってしまうので、孫代表として頑張ります」と言って良いコンビネーションを感じさせた。決勝でセルモが優勝すれば、それこそ石浦が言及した2019年の第2戦富士以来となる。今日我慢した石浦の涙は明日溢れ出すのだろうか、セルモ6年ぶりの優勝に向け、勝負の一戦になるはずだ。

[オートスポーツweb 2025年05月03日]

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