
【写真】キュートな表情がいっぱい! 潤花、撮りおろしショット
◆ルーシーの芯にある想いを忘れずに演じたい
『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』などで知られるチャールズ・ディケンズの小説を原作とする本作は、18世紀のイギリスとフランスの二国間で起こる美しく壮大なロマンス物語。2007年にアメリカでミュージカル化され、翌年にはブロードウェイに進出。日本では2013年帝国劇場にて初上演され人気を博し、このたび12年の時を経て再演される。
フランス革命期の激動の中、それぞれの国の2人の青年と1人の美しい娘とのドラマティックなロマンス。見返りを求めず、危険を顧みずに愛し続ける無償の愛は、観る者すべての心を打ち震わせ、感動の涙へと誘う。主人公の弁護士シドニー・カートンを井上芳雄、フランスの亡命貴族チャールズ・ダーニーを浦井健治が初演より続投し、その2人から想いを寄せられる、美しく心優しい女性ルーシーを潤花が演じる。
――本作の出演オファーを聞かれた時のお気持ちは?
潤:宝塚を退団してから初めてのミュージカル作品で、このような素敵な作品、そして素晴らしい共演者の方々とご一緒できるということにまず感謝の気持ちでいっぱいでした。また、ルーシー・マネットは私にとって挑戦になるお役だと思い身が引き締まり、お稽古までにしっかりと準備を重ねて臨もうと強く思いました。
――作品の印象はいかがでしたか?
潤:台本をいただく前に原作を読ませていただき、映画も拝見しましたが、どれも受ける印象がいい意味で違いました。すごく心苦しいのですが、なぜか最後は前向きになれる。人を愛することには苦しさや辛さもありますが、誰かのために生きる・誰かと共に生きることのすばらしさを感じました。フランス革命の激動の時代に、登場人物それぞれ形は違いますが、愛を忘れず力強く生きる姿はとても素敵です。
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潤:一見すごく恵まれている幸せ者と見えるかもしれません。でも幼いころに空いた彼女の心の穴が、父との再会によって全て埋まるわけではありません。父がまた同じことを繰り返すのではないかという恐怖と、今はそばにいられるという喜びとの葛藤という不安と幸せのはざまで生きている女性だと思います。チャールズと出会えたことは、彼女の人生で一番大きな出来事で、彼を通して満たされるものや、自分が愛することの意味を感じますが、ルーシーが幼いころに受けた傷、孤独、恐怖心は心の中に深く持って演じたいと思っています。
◆繊細な楽曲にルーシーの心情を乗せ伝えたい
――共演の井上さんや浦井さんの印象はいかがですか?
潤:お二方のことは、これまで客席から拝見していました。作品、お客様への力強いエネルギーを劇場で感じていましたので、そんな素敵な方々とご一緒できること大変うれしく思います。そしてなによりも皆さんから、井上さんと浦井さんは本当にお優しくて面白い(笑)と伺うので、お芝居をご一緒できることがとっても楽しみです。
――潤花さんの面白さとの相乗効果も楽しみです(笑)。
潤:ご迷惑おかけしないよう頑張ります(笑)。
――潤花さんは、フランス革命期を扱うことの多い宝塚で、その時期の作品は『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』くらいのご出演でしたでしょうか。トップ娘役さんになられてからは現代物が多かった印象がありますので、今回のルーシーの華やかなドレス姿もとても期待が高まります。
潤:ありがとうございます! 宝塚時代から私はお衣装に役作りを助けてもらうことが多くて、お衣装合わせが大好きなんです。アクセサリーもすごく大切にしたい部分ですし、着こなしの部分でもルーシーとして、“私がきれいにルーシーの衣装を着ている”ではなく、“ルーシーがこのお衣装を着ている”という身から出るオーラではないですが…皆さまに感じとっていただけるよう頑張ります。
このビジュアル撮影もびっくりするほど素敵な時間でした。撮影までにルーシーがどういう女性なのか、自分の中に持った上で臨みたく調べて行ったのですが、スタッフの方々が全部引き出してくださって! ポージングはもちろん、心情を引き出すためにシーンを言ってくださったり。一足先に作品に足を踏み込ませてもらったような感覚で、記憶に残る撮影でした。
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潤:お客様も何回観ても新しいものを受け取ることができるという繊細な楽曲で、本当に素晴らしいです。私自身、ルーシーが自分の感情をそのまま言葉にできているような感覚になります。ソロの曲は初演から歌詞が変わりまして、よりルーシーの正直な気持ちが歌になっているように思います。お芝居と一体化しているので、しっかりお伝えできるよう頑張ります。
――潤花さんは、お芝居、歌、ダンスでは、どれを一番大切にされていますか?
潤:これまでは「お芝居」とお答えしていましたが、悩ましいです。ただ歌にも踊りにもお芝居が絡んでくると思っているので、何か一つと言われたらやはりお芝居かなと思います。お芝居も歌も踊りも技量の部分でまだまだ未熟なので、そこは一生懸命励んで結果を出すという覚悟でいます。
◆宝塚退団からの2年は「充実していた」 自身に生まれた変化は?
――宝塚を退団されてから間もなく2年が経ちます。この2年を振り返ると、どんな日々でしたか?
潤:退団して、自分自身のいろんな感情と向き合うことができた充実した2年間だったと感じています。退団という区切りで、もう一度自分を改めることができました。
――退団後初舞台『あのよこのよ』を拝見しましたが、潤花さんの姿から舞台に立つ喜びを感じました。
潤:本当に楽しくって。舞台でも映像でも、お仕事を通して生まれた出会いやご縁に感謝しています。これからも大切にしていきたいです。
舞台中は自分でも感じていましたが、周りからも生き生きしてる、水を得た魚のようだと言われました(笑)。共演している皆さまはもちろん、身近なマネージャーさんや観ていただいた方々に「どうですか?」とお聞きして。そこでいただくお言葉が自分の役作りのヒントになり、舞台上で共演者の皆さんと作品を生き、さらにお客様の反応でできあがっていく感覚がありました。初日から千秋楽までで全然違っていったのでそこも楽しかったです。
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潤:より豊かになりました。人に対しても、物事に対しても、出来事に対しても。何かショックを受けた時に自分でコントロールが利かなくなることがなくなりましたね。家族や仲のいい友人にも助けてもらっていますが、日々生きていて、プラスなこと、マイナスなことで大きく自分が揺れ動かなくなったような。そこは一番大きな変化だと思います。年齢を重ねたということもあるかと思いますが…。
――今後、どんな活動をしていきたいという思いをお持ちですか?
潤:改めて、お芝居をすることが本当に好きなんだなと感じています。スタッフの皆さんや共演者のみなさんと、作品を一から作り上げていく過程がすごく大好きなんです。そこが再確認できたので、これからもお芝居を続けていきたいと思っています。ジャンルを問わず、映像でも舞台でもミュージカルでもストレートプレイでも、私は俳優として生きていきたいです。
(取材・文:田中ハルマ 写真:松林満美)
ミュージカル『二都物語』は、東京・明治座にて5月7日〜31日、大阪・梅田芸術劇場メインホールにて6月7日〜12日、愛知・御園座にて6月21日〜29日、福岡・博多座にて7月5日〜13日上演。