AAA與真司郎が明かすゲイ公表後の苦悩「カミングアウト直後はメンタルが…」ひとり旅で転機

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2025年05月05日 16:20  女子SPA!

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 AAAのメンバーとして、ソロアーティストとしても活動する與(あたえ)真司郎さんが最新フォトエッセイを刊行しました。與さんが自らの人生を振り返り、カミングアウトするまでの人生と、ゲイであることをカミングアウトした後のことを赤裸々に明かします。

 そのタイトルは『人生そんなもん』。自身がその心境に至った背景、カミングアウト直後のこと、そして今回のエッセイを出そうと思った理由など、今の想いも含めて聞きました。

◆カミングアウトした後は精神的につらかった時期も

――本書には、2023年のカミングアウト前後の心境も記されていますね。

與真司郎(以下、與):カミングアウトした直後は、本当にメンタル的にやられてしまって……。それを経験して、「このままじゃダメだな、自分、変わらないとヤバいな」って思ったんです。

それで、2024年の7月と8月に、人生で初めて2か月間の休みを取って、何もしない旅に出ました。もともとLAに住んでいたのですが、LAの家を手放して。世界を回ったことはなかったので、「世界を回って、自分らしく生きていこう」って、2か月のソロトリップに出たんです。

――それは価値観に大きな影響を与えそうな旅でしたか?

與:その2か月間は、自分と向き合う時間が本当に長くて。「自分はこれでいいんだな」って、すごく腑に落ちたといいますか。そこから、「いろいろな人がいるし、自分らしく生きていくのが一番の成功だな」って思えるようになったんです。

もちろん、人生はうまくいかない時も多々あるけれど、そういうときは「人生そんなもん」って思うようにするようになりました。だから、去年の7月、8月くらいにその考え方にたどり着いて。今回のフォトエッセイのタイトルにもなっています。

◆生い立ちや芸能界での苦しみについても明かした

――ひとり旅って、自分で全部やらなきゃいけないですし、知らない人たちの中に入るしで、大変なことも多そうです。

與:そう。全部自分でやらなきゃいけないから、いろいろな刺激をもらえて、すごく成長にもつながったんですよ。思っていた以上に「自分ってできるじゃん」って思えたし、自信にもなったんです。昔は海外に行くことがとても怖かったのに、今は自信を持って歩けています。そんなふうに、毎日のように小さな気づきがありました。

たとえば、「あれ? 俺、ヨーロッパの自分と同じように英語を第二言語として扱う人と比べると英語うまくなったなー」とか(笑)。そういう小さなことですが、それが積み重なっていって、2か月後にはすごく成長した実感がありました。僕、もともと「人生ってそんなに簡単に変わらない」って思うタイプなのですが、あの2か月は本当に行ってよかったなって、心から思っています。

――今回の書籍の内容についてですが、あまり詳しく聞いてしまうと、買ってくださる方の楽しみがなくなりますので、概要を少し聞いてもいいでしょうか?

與:そうですね。本の中には、僕の生い立ちも書いています。芸能界での苦しみだったり、楽しいことだったり……。あ、楽しいことも書いていたかな? あまり書いていないかも(笑)。

とにかく、今までの人生の軌跡ですね。そのなかに、僕がすごく気を使っているメンタルヘルスの話も入れています。読んでくれた人が「こういう考えもあるんだな」って思ってくれたらいいなと思って、ちょっとヒントになるような要素も入れてます。

なので、カミングアウトの前後だけじゃなくて、小さい頃からのいろんな思いを綴ったエッセイになっています。恋愛のことも書いちゃいましたし、「これ以上隠すことないんじゃないかな」って思うくらい。もう世間に隠していることはほぼない気がします。基本的にあんまり隠しごとが好きじゃないタイプなんですよね。

◆「作品としてのかっこよさみたいなもの」とは少し距離を置いた本に

――ファンの方が知らない情報も、この本には書かれているんですか?

與:全然ありますよ。ファンクラブでは話したことがあるんですけど、「俺のことをこれ以上知りたくない」って思う人には読まないでほしい、って伝えたくらいです。

――たとえば、どんなことが?

與:前の恋愛のこととか普通に書いてますね。芸能界って、アイドルやアーティストに限らず、俳優さんや女優さんも含めて、日本ではあんまりそういうプライベートな話ってしないじゃないですか。芸とは関係ないことだから。

僕自身、こういう職業でそういうことを自ら明かしている人ってあまり聞いたことがないですし。だからこそ、なかなか無いことを言っているなって、自分でも思います。

なので今回のフォトエッセイは、これまでのものとはまったく違う仕上がりになっています。従来の写真集では、作品としてのかっこよさみたいなものを追求してましたが、今回はそういうものとは少し距離を置いています。

◆「自分らしく生きたほうがいい」というメッセージに矛盾したくない

――そもそも赤裸々に半生を語ろうと思った理由は何でしたか?

與:僕は「自分らしく生きたほうがいい」って、いろいろな場所で言っているんです。なのに、自分のことを隠していたら、それって矛盾してるなって。正直、気持ち悪いなって感じたんですよね。

ただ、ここまで書いていいのかって思った部分もありましたけど、でもここまで来たら、隠しててもしょうがないなって。自分が言ってることと、やってることがズレてたら意味ないし、だったらちゃんと話そうって思いました。

――こうしてフォトエッセイで今の想いをカタチにすることで、得られたことって何かありましたか?

與:以前はAAAっていう大きな看板があるから、それを大きくしたいという思いが強かった。アイドル、アーティストの道をまっすぐに進んでいきたかった。でも一方で自分自身は、いろいろな人と語り合って、いろいろなことを学んで、自分の経験をシェアしたいタイプでもあった。だから、こうやって本のかたちでシェアできることは本当にありがたいです。自分の中でも整理がつきましたし。

インタビューやレビューの作業で、昔のことを思い出すことも多くて。「このときの自分、嫌だったな」とか、「この感情、本当に苦しかったな」とか、読み返しても思うことがたくさんありました。

でも、だからこそ、この本を読んでくれた人が少しでも勇気をもらったり、「前に進もう」って思ってくれたら嬉しいです。「一人じゃないんだ」って思ってくれたら、それだけで十分です。

◆メンタルヘルスを意識して人生が変わった

――ファンの方たちに今伝えたいことはありますか?

與:これを読んでくれた人の人生が、少しでもプラスの方向に進んでくれたらいいなって思っています。それが一番うれしいですね。そうなったら、書いた意義があるなって思えるので。

あとメンタルヘルスは僕も昔は全然気を使っておらず、アメリカへ行く前はむしろ敬遠していたくらいでした。しかもその当時、10年くらい前は、まだ今みたいにメンタルヘルスはオープンにしていいみたいな時代じゃなかったんですよね。僕はアメリカでメンタルヘルスにオープンで、気をつかう彼らを見て、人生がすごく変わった。この本でそういったことを伝えられて、頑張ろうと思ってもらえたらいいですよね。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>

【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。

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