【話題の『死ぬほど愛して』】『侍タイムスリッパー』主演の山口馬木也が“ダメ元オファー”を受けてくれた理由

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2025年05月06日 06:10  web女性自身

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成宮寛貴の8年ぶり俳優復帰作として話題になり、愛に飢えた“ヤバいやつ”ばかリの登場人物たちも反響を呼んでいるABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』(「ABEMA」にて毎週木曜夜11時より無料放送、Netflixでも同時配信中)。



本作は、累計発行部数1億部以上突破のヒット作『金田一少年の事件簿』などで知られる天樹征丸氏の同名漫画が原作の純愛サスペンス。幸せな結婚生活の裏で巻き起こる「女性記者殺人事件」を発端に、やがて「究極の愛」と「狂気」に翻弄されていく神城真人(成宮)と澪(瀧本美織)の夫婦の物語であり、鬼才・城定秀夫監督がメガホンを握る。



今後の展開が気になる『死ぬほど愛して』について、プロデューサー・小林宙さんに番組制作の裏側を語ってもらった。



■全体管理から脚本づくりまで、多岐にわたる「プロデューサー」という仕事



映画やドラマで「プロデューサー」と「監督」という役職はよく聞くと思うのですが、視聴者でその仕事の中身をわかっている方はなかなかいらっしゃらないのではないでしょうか?



かく言う私も、映画やドラマを見るのは好きでしたが、新卒で就職するまで、制作した経験は皆無でした。なので、就職面接の時も「監督とプロデューサーの違いは全然わかりません」と明るく答えていました。時を経て自分が面接官することもありましたが、そのような学生はなかなかいないので、自分は変なやつだったと思います。



プロデューサーと監督の違いは非常に難しくて、プロデューサーは制作の全体管理でして、企画、予算、スケジュール、品質チェックなど多岐に渡ります。監督は撮影現場の総指揮になりますが、「演出」と言われる台本の具現化が主な仕事です。



ただ、プロデューサーが現場に口を出すことはありますし、監督が全体論に介入することもあります。プロデューサーや監督の力、その得手不得手のバランスによって作品ごとに役割は違っていて、明確な線引きは難しいです。



スポーツに例えると、プロデューサーはフロントです。例えばプロ野球で言うと、フロントは監督と相談しながら、選手のラインナップを交渉して決めたり、よりよくチーム全体が運営できるようにすべてのマネージメントをします。



監督はフロントと話しながら、1戦1戦現場で試合をしていきます。その試合結果によって、フロントは監督をクビにすることもできますが、現場においては基本的に監督の力が絶大です。フロントと監督がうまくいっている球団は、いい傾向であるとは思うのですが、それは映画やドラマでのプロデューサーと監督の関係とも少し似ているかもしれません。



プロデューサーと監督が同じ方向を向くために重要なのは、脚本です。脚本家が書くのですが、脚本を作る打ち合わせは、主にプロデューサーと監督と脚本家で行われ、そこで内容に関するコンセンスをお互いに取ります。今回は原作の樹林さん(天樹征丸さん)のご意見も非常に参考にさせていただいたように、もちろん原作者とのコンセンスをとることも脚本を作る上で必須です。



脚本がつまらない作品を面白くするのは至難の技でして、作品の生命線です。今回は脚本家の1人に監督も加わっていただき、脚本作りの仕上げは監督の作家性に委ね、私は要所で本当に気になるところしか意見しませんでした。



その脚本についての裏話になりますが、先週放送した6話で、真人が真澄(筒井真理子)に放ったセリフ、「それは愛じゃない、だから殺してあげない」と監督が書いてきたのは非常に感服しました。



真人は単純な快楽殺人者ではなくて、美学も持って殺人しているような設定にしていて、男性に依存して幼少期の自分を救ってくれなかった、母親の愛の形を軽蔑しているという根幹があり、真澄への感情については、そうした殺人の理由の延長線上にはなかったということを表していました。澪や元妻の彩に関しては、洗脳気味にして依存させてから殺したり殺そうとしたりしていますが、それは真人の母親への歪んだ感情の結晶であることが明確になり、真人の美学の奥行きがグッと増したセリフでした。



瀧本美織さんをキャスティングした時に、マネージャーさんから「『脚本が面白かった』と本人が小林さんに伝えて欲しいと言っている」とお聞きして、それはこのドラマの内容が間違いないものだと言うことなので、私にとっては最高の褒め言葉で自信がつきましたし、脚本が面白いからこのドラマは各キャクターが素晴らしいお芝居をしているんだなと思っています。



■『侍タイムスリッパ―』主演・山口馬木也が出演した理由



プロデューサーの大事な仕事に、役者のキャスティングがあります。これは監督とも相談して行いますが、プロデューサー主導の仕事です。金銭などのビジネスの側面もあったり、様々な要因でキャスティングが決まりますが、基本は適材適所、登場人物のキャラクターに合う俳優を候補出ししてキャスティングします。脚本や原作を参考にしてこのキャラクターはどの俳優にやってもらえれば「面白くなりそうか」を熟慮して決めます。



今回よく聞かれるのは、山口馬木也さんのキャスティングでした。昨年『侍タイムスリッパー』で一気に時の人になりました。正直、現代劇にそこまで出ていらっしゃることもなく、知る人ぞ知る俳優だったと思います。



ただ、私は実は昔から時代劇が好きで、馬木也さんのことはかなり前から知っていて、また役者として好きでした。実際2年ほど前に地上波の連ドラでオファーしたことがありまして、その時はスケジュールが合わず成立しなかったのですが、その時に担当のマネージャーさんと繋がりができまして、オファーした時のドラマは現代劇の、しかもその時の主演は人気女優さんだったので、そのような企画で馬木也さんに声が掛かったことを喜んでくれました。



今回『死ぬほど愛して』の富沢刑事を誰にしようとしていた時に、ちょうど『侍タイムスリッパー』が話題になり始めた頃で、役にピッタリだと思ったので、オファーしました。正直、個人的には成立するとは思ってはいないダメもとのオファーでした。ブレイクするのは目に見えていた時期でしたし、ABEMAというまだまだ弱い媒体にスケジュール調整して出ていただけるとは思っていませんでした。



しかし、快諾してくださいました。以前、私がオファーした時に「馬木也さんが好きです」と言っていたことを覚えていただいており、それが大きな要因でした。結果、ドラマ上、ともすると刑事側に存在感がないところであったのに、馬木也さんがやってくださったことで非常に説得力のある役にでき、いいキャスティングになりました。原作の天樹さんも賞賛しておりました。



このようにキャスティングで重要なのは、ビジネス的な側面ももちろんありますが、縁や人脈であることが大きいです。



6話で快演してくださった筒井真理子さんは、今や引く手数多の女優さんですが、私が新人時代の20年ほど前からの知り合いでして、「今回の真澄という役は、筒井さんの大好物の役だと思いますよ」とオファーしました。それで快諾していただきました。2話の真人との濡場で、真澄がザクロを食べながら情事をしているのですが、そのような異常性を日常的にやっていることが2人の関係性や真澄をより自然に、狂気的に見せることができるのではないかと筒井さんからご提案があり、脚本に加えました。とてもいいシーンになりました。



今回は私が何度かお仕事したことがある方々が多く出ておりまして、たとえば瀧本美織さん、片桐仁さん、松井玲奈さんは、過去に連続ドラマのレギュラーでご一緒していました。それでキャスティングの相談・ご報告を原作の天樹さんにしていた時に、「このような方にしようと思います、ピッタリなんですよね」と説明していたら、「瀧本さんと片桐仁さんは知ってますよ。いいですよね。宙さん(私)と一緒に前に連ドラやったじゃないですか」と言われて、「あ」となりました。



実は原作の天樹さんの別原作を以前、連ドラ化したことがあり、そのドラマに瀧本さんと、片桐さんもご出演されていて、天樹さんに言われて初めて気がつきました。



縁と人脈が複雑に絡み合うと、なかなか頭が追いつきません。



■主題歌としてぴったりはまった堂本剛の「純粋なラブソング」



主題歌の.ENDRECHERI./堂本剛さんの『super special love』はドラマにピッタリだと反響もありつつ、私もそう思っています。主題歌というのも監督と相談しながらですが、プロデューサーが主に決めます。



堂本さんがインタビューで答えておりますが、『super special love』は書き下ろしではなくて、今年の2月に発売したアルバムの中での収録曲でした。そのdemoを私がたまたま聞かせていただき、主題歌としてオファーしました。まだ撮影が始まっていない時だったと思います。



聞いた瞬間にドラマ『死ぬほど愛して』にピッタリだと確信しました。ただ、堂本さんは純粋なラブソングとして作ったので、このドラマのサスペンスや狂気にハマるかを気になさっていて、ご本人ともお会いしてそのあたりの気持ちもこちらは受け止めた上で「是非お願いします」となり、成立しました。



堂本さんのご意見もよくわかって、というか勉強になったのですが、今の時代、「純粋なラブソング」というものは「狂気」的に聞こえることもあるんだなと内心思いました。『死ぬほど愛して』はずっと「純愛」と銘打っているのですが、愛と狂気は紙一重で、その意味では本当に『super special love』はドラマと同じ世界観を表現していると直感的に感じたので、この曲がドラマに奥行きを与えてくれたことに本当に感謝しています。この曲に「一つになりたい」というフレーズがあるのですが、このフレーズはすごいなと毎回思って、主題歌を聞いています。



ちなみに俳優に復帰された成宮さんが、自らの今の状態は「reborn」であると取材で表現していたのですが、今、全国ツアー中の.ENDRECHERI. /堂本剛さんのライブのタイトルが「reborn」でして、お二方が期せずして同じ言葉で現在の地点を表現していることも、やっぱり運命的な巡り合わせってあるんだなと思っています。



7、8話とドラマは最終局面に入ります。それぞれの愛がどこに向かうのか、スペシャルな愛の形をご提示できると思っています。是非5月8日23時より7話お楽しみください。

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