D’station藤井が明かすトラブルと緊急ピット「不運はなんとも思っていない。タイヤに助けられた」2位表彰台

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2025年05月07日 06:10  AUTOSPORT web

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D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)/2025スーパーGT第2戦富士
 5月4日(日)、静岡県の富士スピードウェイで行われた2025スーパーGT第2戦『FUJI GT 3Hours RACE GW SPECIAL』で、ポールポジションからスタートしたD’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)は、フルコースイエロー中のピットインで先行したライバルをオーバーテイクして首位に立ったあと、左リヤタイヤのトラブルに見舞われた。緊急でピットインをしポジションを下げたが、ダンロップタイヤを活かした強力なペースを武器に挽回。2位表彰台を獲得した。

 3日(土)の公式予選で、同じダンロップタイヤユーザーのSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)との争いを0.062秒差で制しポールポジションにつけたD’station Vantage GT3。決勝では、藤井がスタートで首位を守ると、1分37秒台をキープする走りで序盤をリードした。

 2番手SUBARU BRZの山内も近いペースで続き、2台が大きく3番手以下とのギャップを築く。しかし、19周目のTGRコーナーで12番手争いのなかで接触が起き、HELM MOTORSPORTS GT-Rが停止。

 このアクシデントに反応してPONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ/篠原拓朗)とLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟/黒澤治樹)が最初のピットインを行い、直後に導入されたフルコースイエローを活かしピット作業時間のロスを稼いだPONOS FERRARI 296とLEON AMGは、D’station Vantage GT3がピットへ向かったタイミングで前に出た。

 その後、1分39〜40秒台で走る前の2台に対し、1分37〜38秒台で追い上げた藤井は、まずは39周目にLEON AMGの菅波をパス。52周目にはPONOS FERRARIのコッツォリーノに追いつき、ホームストレートでオーバーテイクし首位を取り戻した。

 しかし55周目、D’station Vantage GT3の左リヤタイヤにまさかのトラブルが発生し、緊急ピットイン。トラブルが発生したのが最終のパナソニックコーナーだったため、すぐにピットに向かいタイムロスは最小限となったが、ファグに交代しコースインするとポジションは10番手に下がり、SUBARU BRZの山内が首位に立った。

 この時の状況について藤井は「セクター3のダンロップコーナーで、左リヤタイヤのエアプレッシャー(内圧)のアラームが点きました」と振り返る。

「これはもしかして……とパンクを疑ったのですが、それでもフィーリングに問題はなかった。トラブルを疑いながらアクセルを踏んでいく状況になり、『もしかするかもしれないから、ピット作業準備して!』とチームに無線で伝えました」

「結局タイヤは、GRスープラコーナーまでは保ちましたが、最終コーナーにアクセスした時にバーストしました。ただ、タイムロスも最小限でピットに戻れたので、ある意味不幸中の幸いというか。チャーリーもギリギリでドライバー交代の準備が間に合いました」と、コクピット内のディスプレイに表示されたアラームに反応し、スムーズに緊急ピットインの準備を行ったと明かした。

 55周目の緊急ピットイン時点で、残るレース時間は1時間25分ほど。チェッカーまでの燃料が足りないため、終盤に給油のみのピットインを行わなければならない状況となった。マシンを降りた藤井も、「もうガッカリして、このまま着替えて家に帰ろうかと思った(苦笑)」というほど悔しいタイヤトラブルとなったが、第2スティントを走るファグは1分37〜38秒前半の強力なペースでラップを重ね、遅れを取り戻していった。

 前を行くマシンが2度目のピットインを行う展開で、トップに立ったファグは、レース残り12分を切った99周目にピットイン。給油のみを行い3番手でコースに復帰した。こうして迎えた最終ラップで、トップのSUBARU BRZがマシントラブルで停止したことにより、D’station Vantage GT3は2位でチェッカーを受けた。

 藤井は2位という結果について「優勝するつもりで集中していたので、できれば勝ちたかった。2位は望んだ順位ではない」と悔しさをみせながらも、トラブルのダメージを最小限に抑えた結果の今季初表彰台に「今日の僕たちからすれば、おこぼれでもらえた2位でもありますし、感謝したいです」と笑顔をみせた。また、このレースウイークを通じて、ダンロップタイヤのパフォーマンスがあったこと、さらに新たな発見もあったと語った。

「実はチャーリーのスティントでは、第1スティントとは違うタイヤをつけていました。最後に給油が必要なことも分かっていたので、テストではないですけどね。そのタイヤのパフォーマンスも良いことが確認できました」

「タイヤトラブルという不運はありましたが、これについてはいろいろな要素が絡むので、なにか(デブリを)拾ったのかもしれないですし、なんとも思っていないです。それ以上に、トップレベルのパフォーマンスをずっと持続できたことに満足しています。良いタイヤを用意してくれたダンロップタイヤさんには、本当に心から感謝しています」

 決勝でトラブルは起きたものの、開幕戦岡山のリタイアを払しょくする2位表彰台を獲得したD’station Racingは、2戦連続で予選の速さを見せ、富士では強力なペースを武器に追い上げのレースを見せた。コーナリングの続く岡山国際サーキットと、長いホームストレートや高速コーナーが特徴的な富士スピードウェイという、特性の異なるサーキットでつづけて優勝を争ったD’station Vantage GT3は、今シーズンも上位争いの常連になる存在かもしれない。

[オートスポーツweb 2025年05月07日]

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