
【写真】濱口竜介監督の“創作脳”をひも解く 物語やショットが生まれるのは「心のネタ帳」から
『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞(R)国際長編映画賞およびカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞、『悪は存在しない』でヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞するなど、新作を発表するたびに国内外で圧倒的な評価を集める世界的監督、濱口竜介。
この度、その濱口監督の最新作『急に具合が悪くなる』の製作が決定。フランス、日本、ドイツ、ベルギーの国際共同制作となる本作の原作は、がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者が、20年の学問キャリアと互いの人生を賭けて交わした20通の往復書簡『急に具合が悪くなる』(宮野真生子・磯野真穂著/晶文社)。
主演に、フランス映画界最高峰のセザール賞主演女優賞に輝き、コメディからシリアスドラマまで幅広い役柄をこなし国際的な人気を集めるヴィルジニー・エフィラ(『ベネデッタ』)と、トップモデル“TAO”として世界で活躍し、以降ハリウッド作品を中心に国内外の話題作に出演しながら、現在は映画監督としても活動の幅を広げている岡本多緒(『ウルヴァリン:SAMURAI』)を迎え、ふたりの女性の心の交流と世界に対峙するさまを描き出す。
舞台はフランス、パリ郊外の介護施設「自由の庭」。施設長であるマリー=ルー・フォンテーヌは入居者を人間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんな中、マリー=ルーは森崎真理という日本人の演出家に出会う。がん闘病中の真理の描く演劇に勇気をもらったマリー=ルー。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、二人の交流が始まる。しかし、あるとき真理は「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、二人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる…。
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そして「映画『急に具合が悪くなる』はフランスの介護施設のディレクター・マリー=ルーと、がんを患う日本の劇演出家・真理の間にとある偶然から生じた、出会いと交流を描く物語になります。マリー=ルーをヴィルジニー・エフィラさんが、真理を岡本多緒さんが演じることになります。お仕事を以前から存じてはいたものの、まさかこうしてご一緒できる機会があるとは思っていなかったお二人なので、とても興奮しています。今夏、最高のキャスト・スタッフと撮影する映画『急に具合が悪くなる』が、原作の引いたラインを更に延ばしていくものとなるよう、自分にできることは何でもやるつもりでいます」と語っている。
映画『急に具合が悪くなる』は、2026年全国公開。
濱口竜介監督のコメント全文は以下の通り。
【濱口竜介監督 コメント全文】
■濱口竜介(監督・脚本)
宮野真生子さん、磯野真穂さんの著作『急に具合が悪くなる』の映画化をここに発表できることを、とても嬉しく思います。原作者のお二人にも、この場を借りて、心よりの御礼をお伝えしたく思います。
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映画『急に具合が悪くなる』はフランスの介護施設のディレクター・マリー=ルーと、がんを患う日本の劇演出家・真理の間にとある偶然から生じた、出会いと交流を描く物語になります。どうしてこうなったのか、短くは決して説明できないというのが正直なところです。ここまでの曲がりくねった歩みを要約することは不可能に思えます。なので、自分を導いてくれた原作の一節を書きつけることにします。
「関係性を作り上げるとは、握手をして立ち止まることでも、受け止めることでもなく、運動の中でラインを描き続けながら、共に世界を通り抜け、その動きの中で、互いにとって心地よい言葉や身振りを見つけ出し、それを踏み跡として、次の一歩を踏み出してゆく。そういう知覚の伴った運動なのではないでしょうか。」
マリー=ルーをヴィルジニー・エフィラさんが、真理を岡本多緒さんが演じることになります。お仕事を以前から存じてはいたものの、まさかこうしてご一緒できる機会があるとは思っていなかったお二人なので、とても興奮しています。今夏、最高のキャスト・スタッフと撮影する映画『急に具合が悪くなる』が、原作の引いたラインを更に延ばしていくものとなるよう、自分にできることは何でもやるつもりでいます。どうぞ、ご期待ください。