
人によって好みのファッションは様々ですが、年齢を重ねることで手に取る服のジャンルが変わる場合もあるでしょう。漫画家のぼのこさんによる『アパレる』シリーズは、ファッションに悩む女性や販売員の葛藤などを描いた作品です。以前ぼのこさんのX(旧Twitter)に“販売員恐怖症”の女性についての物語が投稿されると、3000を超える「いいね」が寄せられています。
【漫画】「販売員恐怖症の私。百貨店へ服を買いにいく」全編を読む
学生の頃から可愛いファッションが好きな31歳の富和夢子(ふわ・ゆめこ)。久しぶりに学生時代の友人とお茶をした際、当時派手だった周りは大人っぽい服装に変わっていました。
周りの変化を感じた富和は、店員から声をかけられるのが苦手ながらも大人っぽい服を求めて百貨店に。店内を歩いていると、良さそうな服を見つけて手に取ってみようとする富和。しかし、販売員から声をかけられ、怯えてすぐに撤退するのでした。
というのも富和は、過去にも「年相応の服」を購入したことがあったものの、販売員に勧められるがまま買ったこともあり、どれも着る気分になれず放置したまま。試しに着たこともありましたが、鏡に写った自分の姿を見て「『誰でも似合う』って言ったから買ったのに やっぱウソじゃん」と思うのでした。
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後日、リベンジで再び百貨店へ。以前気になった服があった店に入って様子を見ていると、前回も声をかけてきた女性の店員に挨拶をされて驚愕する富和。しかし、店員は「ごゆっくりご覧くださいね」と言って去ってしまいます。
その店員は、先日富和が撤退した後、販売員の先輩に「無理に接客に入ろうとせずに軽く挨拶するだけに留めておく」と指摘されていました。そして、再び富和が来店したため、さりげなく富和の様子を窺うようにしていたのです。
すると、ほしい服を手にした富和から「これでお願いします」と声をかけられる店員。「ご試着はなさいますか?」と提案され、想定外の反応に動揺したものの、富和は家にあるパンツと似た商品を追加してもらって試着することにします。
しかし、実際に試着した際の富和の感想は「全然似合わない」。「やっぱり今回はやめとこうかなぁ……って」と店員に伝えたところ、「せっかくなので一度拝見してもよろしいですか?」との要望が。
恥ずかしさに耐えながら試着した姿を見せると、服の感想ではなく、富和のバッグについているアニメのグッズやイヤリング、コートを「可愛い」と褒め始める店員。そして「お客さまの『おしゃれへのこだわり』を感じます」と続けました。
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その言葉を聞いて嬉し涙を流す富和。さらに「『おしゃれ』がどういうものか分からなくなってきちゃって」と本音をもらします。話を最後まで聞いた店員は「『変わりたい』と思う気持ちはとても素敵で尊いもの」と口にした後、富和にコーディネートをさせてほしいと提案。富和は彼女の申し出を引き受け、用意されたアイテムを身に着けてみることにします。すべて着てみると、先ほどの印象からガラッと変わって富和の理想に近い服装に。
その後、店員は「『お姫さま』っぽくてお客さまのイメージにピッタリかなと思ったんですよね」と富和に伝えます。「お姫さま」というワードにときめいた富和は、「私がお姫さまなら 店員さんはきっと魔法使いだね」と思うのでした――。そこで、多くの人から注目を集めた同作の作者・ぼのこさんに『アパレる』シリーズについて話を聞きました。
―『アパレる』シリーズを描いたきっかけを教えてください。
アパレル販売員として働いていた経験から、この漫画を描き始めました。これまで自分が出会ってきた様々なお客様やスタッフたちとのエピソードをもとに、仕事に全力で向き合うことで見えてくる楽しさや喜びを、漫画を通じてたくさんの人に伝えられればと思っております。
―Xに投稿された『販売員恐怖症の私。百貨店へ服を買いにいく』の中で、特にお気に入りの場面があれば、理由と一緒にぜひお聞かせください。
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お気に入りというより、思い入れのあるシーンになってしまうのですが、お客様(フワ様)が自宅の鏡の前で購入した服を着て、「『誰にでも似合う』って言ったから買ったのに、やっぱりウソじゃん」と呟くシーンです。実はこのシーンは、私自身の購入体験から生まれたエピソードの一つなんです。
過去に、私がプライベートで買い物に行ったとき、「誰にでも似合いますよ」と店員さんから勧められて購入した白いシャツが、自分にしっくりこなかったという経験がありました。「お客様が本当に求めているのは『誰にでも似合う服』ではなく『自分に合う服』。」一見、当たり前のことのように思えますが、実際に経験してみて初めて、私はこのことを心でしっかりと理解できたのです。
販売経験がある方なら共感していただけると思いますが、ベーシックなアイテムを勧める際、つい「誰にでも似合いますよ」といった表現を使ってしまいがちです。この言葉は店員にとって便利で使いやすいものですが、実際にはお客様のニーズと合っていないこともあります。この経験を通じて、私はこれまでの接客スタイルを見直し、よりお客様に寄り添った接客を心がけるようになりました。この気づきが得られたのは、販売員とお客様、両方の立場を経験したからこそだと思います。もし、このお話を読んでくださった方の中にアパレル販売員の方がいれば、今回のお話が接客時の言葉選びについて一緒に考えるきっかけになれば嬉しいです!
―「服屋の店員が苦手」という方は一定数いるかと思いますが、作者のぼのこさんとして見解や思うと ころをぜひ教えてください。
私もどちらかというと、一人でゆっくり商品を選びたいタイプなので、「服屋の店員が苦手」という気持ちは非常に共感できます。一方で、店員側もお客様に合った接客をしたいと考えているものの、初対面でそれをうまく把握するのは難しいのが現実です。「一人で見たい」と伝えることは決して失礼なことではありません。挨拶の後に、「まずは一通り見させてください」と一言伝えることで、お互いに気持ちよく過ごせるのではないかと思います。
―読者にメッセージをお願いいたします。
数ある作品の中からこの漫画を見つけてくださり、本当にありがとうございます!アパレル経験のある方はもちろん、そうでない方にも楽しんでいただけるお話をお届けできるよう、これからも精進してまいります。どうぞ応援よろしくお願いいたします!
(海川 まこと/漫画収集家)
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