インタビューに答える小出峻(Astemo CIVIC TYPE R-GT) 2025年、オートスポーツwebは前身のクラッシュネット・ジャパンから名称を変更してから20周年を迎えました。これもひとえに、読者の皆さまのご愛顧のおかげです。そこで、皆さまへの感謝の意味も込め、20周年特別記念連載をスタートさせます。題して『オートスポーツweb20周年企画 20の質問で丸わかり』です。かつて、AS+Fやオートスポーツ本誌で連載されていた『100の質問』を20周年記念版でリメイク。スーパーGT GT500ドライバーのプライベートを解き明かしていきます。
第6回は、Astemo REAL RACINGのAstemo CIVIC TYPE R-GTに乗り、ルーキーシーズンを戦っている小出峻選手が登場です。
※ ※ ※ ※ ※
Q1:趣味は何でしょうか?
小出峻(以下、小出):格闘技観戦です。現地には行けていませんが、自宅でボクシングやキックボクシング、総合格闘技などを観るのが好きです。
Q2:最近気になっている芸能人や有名人は?小出:それこそ、プロボクサーの井上尚弥選手が一番大好きです。自分が高校生くらいの頃からずっと好きで、僕はレーサー、彼はプロボクサーですが、同じスポーツ選手として人間性も含めて憧れています。
Q3:好きな本や映画、音楽は何ですか?小出:『ALWAYS 三丁目の夕日』が好きです。古い時代の感じとか、人情が感じられてあったかい気持ちになれる作品が好きです。音楽は、そこまでたくさん聴く方ではないですが、小中学生のころに流行っていたポルノグラフィティは今でも移動中とかに聴いていますね。
Q4:行ってみたい場所はどこですか?小出:最近観た番組で、トルコが紹介されていて、行ってみたいと思いましたね。──トルコのどんなところに惹かれたのでしょう?小出:親日の国なので、現地の屋台とかでも気さくにコミュニケーションを取りつつ満喫できそうだなと感じて。あとは、気球が街中を飛ぶ場所(おそらく世界遺産のカッパドキア)が綺麗で、他にも自然が豊かでさまざまな風景を楽しめるみたいなので、行ってみたいですね。
Q5:もし何か新しいスキルをひとつ身につけられるとしたら、何を学びたいですか?小出:それは、とくにないかな。もっと速く走れるようになりたい。今はそこに一点集中なので、それ以外はないですね。
Q6:休日もしくは暇な時間はどのように過ごすことが多いですか?小出:ネットフリックスとかアマゾンプライムなどを観て過ごすことが多いですね。今年はスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久と三つのカテゴリーで走っているので、家にいる時間が結構少ないです。なので、休める日はもう家でとことん休もうと思っています。──家具にもこだわりが多そう。小出:そう! 直近だと、バルミューダの掃除機を買いました。デザインがおしゃれで、掃除機を使いたいだけで毎日の掃除が好きになりました(笑)。家具の充実というか、家を綺麗にしていくのも趣味みたいになっていますね。
Q7:人生で一番大切にしていることは何ですか?小出:いろいろな物事を客観的に見ることです。自分中心になりすぎるとダメだと思いますし、まわりの人の考えていることや感じ方を想像するようにしています。自分のことについても、周りの人からどう見られているんだろうかと考えて、主観に固執しないようにしています。
Q8:どんな時に幸せを感じますか?小出:日常だと、寝るときと美味しいものを食べたときですね。もう、それしかないです(笑)。──レースで勝った時は?小出:それはもちろん嬉しいです。昨年、スーパーフォーミュラ・ライツの最終戦で優勝し、チャンピオンを獲ることができたときは、本当に嬉しかったです。実は、先輩たちがレースで勝って嬉し泣きしているのを見ていて、羨ましいと思っていたのですが、それまで自分は泣いたことがなかったです。でも、あの時は本当に自然に涙が出ましたね。
Q9:尊敬する人は誰ですか?小出:ドライバーだと、佐藤琢磨選手です。スクールの生徒として学ばせていただいたこともたくさんありますし、走りだけでなく、アドバイスも的確で分かりやすかったり、勉強になることばかりです。あと、琢磨さんは人知を超えているかのような魅力があるというか、周りの人を惹きつける力も感じますし、本当にすごいなと。実は僕、インディ500にすごく行きたいと思ってるので、本当に尊敬しています。──ドライバー以外に尊敬しているのは?小出:それはもう、井上尚弥選手ですね。ひとりのファンとしての偏見もあるかもしれないですが、格闘技ってやっぱり殴り合いで、もともとはスポーツとは異なる背景を持つものだと思いますが、井上選手はそれを競技と捉えてストイックに取り組んでいますよね。同じスポーツ選手として、あの根性とか、競技に対しての分析力とか技術力とか、挙げたらキリがないくらい、多くの面で尊敬しています。
Q10:これまでの人生で、一番の挑戦は何でしたか?小出:高校一年生の文化祭で、クラスの出し物として『西遊記』の劇をやった時ですね。その時、張り切って主人公の孫悟空役を演じたんです。僕の登場シーンで、岩から姿を現して『ウキー』とセリフを話すシーンがあったのですが、本番で場がシーン……となって大滑りして。それ以降、僕の高校生活はさらに消極的なものになりました(笑)。──レースでは?小出:今もつねに挑戦だと思いますが、レースを始めること自体が大きな挑戦でした。小学校5〜6年のころに始めたのですが、まわりのプロドライバー達にくらべると遅い方で。漠然とレーシングドライバーになりたいとは思っていたのですが、遅めのスタートというのは大きな挑戦だったと感じています。
Q11:困難な状況に直面した時、どのように対処しますか?小出:『気楽に行こうぜ』という感じですかね。自分のポテンシャルは、限界以上には発揮できませんし、緊張しすぎると空回りすると思うので。自分の実力をしっかり信じて、自分のできる最大限のパフォーマンスを発揮することを心がけています。
Q12:自分の長所と短所は何だと思いますか?小出:長所は、どんな物事に対しても、ある程度器用にやっていけるかなと思っています。短所は、周りの人に気を遣いすぎるところがあるかなと。──さきほどの、客観的に見るようにしているという話とつながってきますね。小出:そうだと思います。客観的に見すぎてしまうところがあるのだと思います。スポーツマンとしては、自我も必要だなと思うので、他の選手とくらべると、僕はハングリーさが少し弱いのかなと思っています。
Q13:子供の頃はどんな子供でしたか?小出:かなり消極的な子どもでしたね。人前に出ることや、発言することなど、何か行動するのがすごく苦手でした。でも、モータースポーツに出会ってからは強くなれましたし、自信を持てるようになった気がします。
Q14:他の人から、どんな人だと言われることが多いですか?小出:『よく笑ってるね』と言われますね(笑)。ポジティブに、気楽にやっていこうというのは心がけているので、その現れなのかなと思っています。関係者やファンからもよく言われますし、チャームポイントではないですが、これを自分の強みとして活かしていきたいと思います(笑)。
Q15:動物に例えられるとしたら、どんな動物だと思いますか?小出:うーん……難しいな。(若干の長考)──他の選手は、カンガルーとかチワワとか、サルとかでしたね。小出:なんか極端ですね(笑)。そう聞いて思ったのは、柴犬ですね。愛嬌があって、人を選り好みしない雰囲気が、自分に似ているのかなと思います。
Q16:20回以上通っているお店かレストランを教えてください小出:チェーン店なのですが『ワンカルビ』という焼肉屋さんがあるんですよ。関西に結構店舗があるのですが、もうどんな高級焼肉店よりも大好きなんです。──かなり強い愛を感じます小出:そうですよ、これはすごく強いですよ(笑)。僕はもう、ただの焼肉屋とは捉えてなくて、焼肉屋という括りとは別の『ワンカルビ』という特別なお店だと思ってます。スポンサーになってもらうとか関係なく、一緒に仕事をしたいと思うくらいですよ!
Q17:20年以上、使っているものはありますか小出:ゲームですね。20年以上かどうかは分かりませんが、一番長いのはプレイステーション2。僕はグランツーリスモ4のおかげでこのモータースポーツを目指したので、あれはずっと捨てていないですね。──何のマシンをよくドライブしてましたか?小出:最初に好きでよく走らせていたのは、GT500クラスのRAYBRIG NSXでした。別にホンダを強く意識して言うわけではないですが(笑)、見た目とか走っている姿とか、一番格好いいと思ってて、ずっと乗っていましたね。
Q18:20年前は何をしていましたか小出:20年前となると5歳ですから、普通に幼稚園に通って、スイミングスクールに行って、あとは食べて寝て過ごしていましたね(笑)──よく使っていたおもちゃとか、好きだった遊びとかは何でしたか?小出:外ではサッカーをしたり、中ではレゴをしたり……、あとは空想の生き物を考えるのが好きでした。─モンスターみたいな?小出:そうそう。なんかアニメに出る怪物みたいな、モンスターみたいなのを考えて(笑)。攻撃力とか技とかも考えたりして、ノートに書いて遊んでいましたね。
Q19:20年前の自分に言いたいことは小出:『もっと早くレースを見つけろ、もっと触れとけ』と言いたいです。レーシングカートを知ったのが小学生後半で、周りとくらべると遅いので、早く始めて、もっともっと走りたかったですね。ですので、レーシングカートのことがわかる雑誌とかを渡して、『いいからこれを読め』と言いたいですね。
Q20:20年後にしていたいこと小出:20年後もレーサーとして活動していたいなと思います。相方の塚越(広大)選手も今年でスーパーGT参戦17年目ということで、本当にすごいと思いますし、それくらい長くトップで戦い続けられるほど、ホンダから必要とされているのだと思います。なので、自分も20年後くらいまで必要とされるような人間になりたいなと思います。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
インディ500挑戦の目標だけでなく、井上尚弥選手とワンカルビへの愛も語った小出選手インタビューでした。次回の『20の質問で丸わかり』もお楽しみに!
[オートスポーツweb 2025年05月08日]