「大胆で革新的なフェス」市川紗椰が魅了されたクラシック音楽フェスティバル「ラ・フォル・ジュルネ」とは?

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2025年05月09日 06:50  週プレNEWS

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ナントの「ラ・フォル・ジュルネ」の会場にて

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、クラシック音楽フェスティバル「ラ・フォル・ジュルネ」について語る。

 * * *

ヨーロッパ最大級のクラシック音楽フェスティバル「ラ・フォル・ジュルネ」。毎年1月下旬〜2月上旬にフランスの港町ナントで開催されており、日本やスペイン、ブラジルにも広がっています。

私は今年、初めて本場のナントで見てきましたが、すごい迫力でした。「ラ・フォル・ジュルネ」は「熱狂の日」という意味で、その名に負けない大胆で革新的なフェスです。5日間を通して、2000人のアーティストが出演し、300公演もの演奏会が行なわれます。

朝9時台から夜は23時過ぎまで、同時に9ステージも行なわれるので、一日中、音楽に浸り放題です。旬の若手からビッグネームまでさまざまな演奏家が集い、数だけではなく質も素晴らしいのもポイント。オープンエリアには、地元の音楽教室の発表会のステージも交ざっていて、アマチュアのパフォーマンス好きの私にはたまらなかったです。

なぜ、こんなにもたくさんの演奏会が可能なのか、そこにはラ・フォル・ジュルネのもうひとつの特徴である「公演の短さ」があります。各公演は45分くらい。一般的には2時間くらいあるクラシックのコンサートに比べると、サクッと気軽に見られます。クラシック初心者はもちろん、初めて聴くプログラムでも挑戦しやすいです。45分、本当にちょうどいい。絶妙。

ドレスコードもカジュアルで、だいたいの観客はデニムにスニーカー。お祭りムードが漂ってるので、演奏会終わりに歌いながら会場を出る人をほぼ毎公演で見かけました。

歌詞がない曲がほとんどなので、「ティ〜ララ〜」「デュンデュンデュンデューン」「ジャジャジャ〜」みたいな感じで、大声で。肩肘張らずに、等身大で楽しんでる雰囲気が最高でした。入場料も6〜30ユーロ(約1000〜5000円)とお手頃。リーズナブルな金額で、たくさんの演奏会に触れられます。

今回見た中でのお気に入りは、アリエル・ベックという16歳のピアニストが弾くシューベルトと、地元のギター教室の発表会。ベックのピアノは驚くほどしなやかでみずみずしくて、優しいタッチなのに音色がはっきりしていてうっとりしました。クルクルの赤毛にキラキラのミニワンピースという、チャーミングなルックスも印象的でした。

地元のギター教室は、同じ合奏曲を3回やってたのがインパクト大。毎回パート分けを変えていたみたいだから、本人たちは違うものを弾いてるつもりだけど、聴いている側からすると同じ曲。どの曲も3回やるストロングスタイルなステージだったけど、みんなでそれを見守るのがなんかすてきでした。音楽好きが集まっている空間ならではの空気だったかもしれません。

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。ナントについては以前、機械仕掛けの巨大象について話しましたね。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

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