
30代の会社員Aさんは、自身の結婚生活において一つ理想とする形を持っていました。それは、厳格ながらも家族をしっかりと支えていた父親と、それを影ながらも愛情深くサポートしていた母親が築いた「亭主関白」の家庭です。
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家では威厳ある態度を崩さず、ほとんど家事をしない父親でしたが、母親はそんな父親を尊敬し夫婦仲は良好に見えました。Aさんは「自分も父親のようになり、妻を安心させてあげたい」と考えていたのです。
意気揚々と新婚生活を始めたAさんは、早速父親を真似て一家の大黒柱としての威厳を示そうとします。妻の家事のやり方にアドバイスをしたり、将来の計画について自分の考えを一方的に伝えたり「一家を率いる夫」であろうと試みました。
しかしAさんの意図とは裏腹に、妻からの反応は予想もしないものでした。妻はAさんの言葉を聞くたびに不満そうな顔をし、遂には「それ、モラハラじゃない?」と言い放ったのです。
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Aさんはショックを受けました。自分はただ理想とする亭主関白な家庭を築きたかっただけなのに、なぜ妻は自分を「モラハラ夫」呼ばわりするのか理解できません。亭主関白を目指した夫がモラハラと言われてしまう背景について、夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞きました。
ー亭主関白とモラハラにはどのような違いがあるのでしょうか
亭主関白とモラハラ夫には、夫が「偉そうに見える」という点で共通しています。ただ妻がそれを「ただ偉そうにしているだけ」と感じたらモラハラといわれても仕方ないでしょう。
一方で、同じように偉そうな態度をとっていても、妻が「大黒柱として家を支えてくれている」と感じ夫にリスペクトする部分があれば、それは亭主関白として受け止められるのではないでしょうか。亭主関白は妻からの信頼や尊敬に基づいた夫の威厳だと考えられます。
ー亭主関白は過去の遺物なのでしょうか
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確かに亭主関白な家庭は一時期と比べると減っていると思われます。亭主関白のスタイルが成立しやすかった時代は、男性一人の収入で家族全員が生活できるのが一般的で、家族の信頼を得やすかった点があるでしょう。
現代では共働きが当たり前になり、女性も経済的に自立しているケースが増えています。かつての亭主関白のような形は成立しにくくなっており、過去の遺物と言われても仕方ないのかもしれません。
ー夫が威厳を示すためにできることとはなんでしょうか
威厳を示すことよりも先に、家族の信頼関係をしっかり作るのが大事です。家族との約束を守る、言ったことに責任を持つ、いざという時は身を挺して家族を守るといった行動が信頼につながるでしょう。
この信頼が築けていない中で、夫が自分で「この家が成り立っているのは俺のおかげだ」と言い出すと、「それ、モラハラじゃない?」と言われかねません。モラハラ夫と言われないように、家族の信頼と愛情を勝ち取りましょう。
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◆木下雅子(きのした・まさこ)行政書士、心理カウンセラー。大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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