ダニエル・クレイグ主演『クィア/QUEER』、ジョナサン・アンダーソンが担当した衣装も目を引く場面&メイキング写真公開

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2025年05月09日 13:10  クランクイン!

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映画『クィア/QUEER』場面写真 (C)Yannis Drakoulidis (C)2024 The Apartment S.r.l.
 映画『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督がメガホンをとり、「007」シリーズのジェームズ・ボンド役を卒業したダニエル・クレイグが主演を務める映画『クィア/QUEER』より、グァダニーノ監督が撮影秘話を明かすコメント、衣装を手掛けたデザイナーのジョナサン・アンダーソンのインタビュー、新たな場面写真が到着。併せて、J.W.アンダーソンによる映画オリジナルグッズの再販も決定した。

【写真】ジョナサン・アンダーソンによる衣装にも注目! 映画『クィア/QUEER』場面写真&メイキングショット

 本作は、ルカ・グァダニーノ監督×ダニエル・クレイグが贈る、いちずな恋のために地の果てまでも行く男の、切ないラブストーリー。原作はビート・ジェネレーションを代表する作家ウィリアム・S・バロウズが、謎多き人生を赤裸々につづり、一度は出版を封印した自伝的小説。

 1950年代、メキシコシティ。退屈な日々を酒や薬でごまかしていた米国人駐在員のリーは、若く美しくミステリアスな青年ユージーンと出会う。一目で恋に落ちるリー。渇ききった心がユージーンを渇望し、ユージーンもそれに気まぐれに応えるが、求めれば求めるほど募るのは孤独ばかり。ある日、リーは一緒に人生を変える奇跡の体験をしようと、ユージーンを幻想的な南米への旅へと誘い出すが─。

 『君の名前で僕を呼んで』でひと夏の切ない恋を描いたルカ・グァダニーノ監督が、今度は愛する相手と心身共にひとつになりたいと切望する男を描く。主人公の孤独な中年男リーを演じるのは、007シリーズの主人公ジェームズ・ボンドのよろいを脱ぎ捨てた新生ダニエル・クレイグ。ボンドとは全く異なる魅力で、自分を保てないほどに相手を求める圧倒的ピュアネスを演じきる。

 リーが恋する相手のユージーン役にはドリュー・スターキー。一見クールで感情をあらわにしない新世代に見えつつも、己のアイデンティティーへの戸惑いや葛藤がうかがえる絶妙な表情で、ユージーンの心の中の繊細なゆらぎを観客に突き付ける。

 この度、グァダニーノ監督が撮影秘話などを明かすコメント、衣装を手掛けた世界的デザイナー、ジョナサン・アンダーソンのインタビュー、新たな場面写真が到着。

 ルカ・グァダニーノが撮影場所に選んだのは、チネチッタ撮影所。映画監督として長年目指してきたことの一つが、ここで撮影することだった。同撮影所は、99エーカー(約40万平方メートル/東京ドーム約8.6個分)もの広さのローマにある伝説の撮影所で、1937年にオープンしてから、フェリーニ、ロッセリーニ、ヴィスコンティ、レオーネ、ベルトルッチ、コッポラ、スコセッシなどによって、3000本以上の映画が撮影されてきた。

 「僕は、『クィア/QUEER』のイメージやセットは、バロウズの目と心を通して映し出されるものでなければならないと考えていた。彼の小説の映画化について考え始めて30年が経っても、まだバロウズの原作に表現されている苦悩や欲望、イメージを反映する人工的な場所として、メキシコシティやパナマシティやエクアドルを再現することにこだわっていた」とグァダニーノ監督は振り返る。

 映画の冒頭のメキシコシティの章で登場する、リーとユージーンが恋に落ちる街角、バー、そしてホテルの部屋などを、ジョン・ヒューストン監督の映画『黄金』(1948)のように、ハリウッドのバックロットで作られた、1950年代の撮影所的な雰囲気にしたいと思ったとも明かす。この章の屋内シーンには、登場人物の孤立感や断絶感を強調する視覚要素として、意図的に非対称になっているセットを取り入れ、彼らの心象風景を映し出すことを目指した。

 色については、物語からにじみ出る明確な官能さを反映したものを選んだそうで、リーとユージーンが酒を飲みに行くバー「シップ・アホイ」や、リーがバーで出会った男性と向かう安ホテルの部屋などでは、登場人物の熱望を反映するかのようにネオンライトの光があふれ、アール・デコ時代の色褪せた威厳が漂う空間を作り出した。グァダニーノ監督と美術のステファノ・バイシは、ウォン・カーウァイの『花様年華』(2000)に見られる、飽和状態で激しいロマンチックさをたたえた色を、これらのシーンの参考にしたという。

 官能的で催眠をかけるようなこの視覚様式は、タイ生まれの撮影監督サヨムプー・ムックディプロームの、観る者をうっとりさせるカメラワークでさらに強調される。ムックディプロームは、以前にもグァダニーノとタッグを組んでおり、『君の名前で僕を呼んで』『サスペリア』『チャレンジャーズ』 でも撮影監督を担当。アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の実験的で超越的な作品『MEMORIA メモリア』や『ブンミおじさんの森』、ポルトガルの映画監督ミゲル・ゴメスの様式化された歴史映画作品の撮影を担当しキャリアをスタートさせた彼は、最近ではロン・ハワード監督作『13人の命』や、M・ナイト・シャラマン監督作『トラップ』の撮影監督を務めるなど、今最も引っ張りだこの撮影技師だ。

 そして今回もグァダニーノ監督は、1950年代の衣装を再現するため、親しい友人で、頻繁に一緒に仕事をするジョナサン・アンダーソンと再びコラボを組むことに。アンダーソンは、アイルランド生まれのファッションデザイナーで、自身のブランドであるJ.W.Andersonや複数の高級ブランドのクリエイティブディレクターを務めている。『チャレンジャーズ』をきっかけに映画の衣装デザインの世界に入った。

 アンダーソンは「1950年代の男性は、服を長い間キープするという習慣がなかった。外国人としてメキシコで暮らす、ウィリアム・リーのような男性は、特にそうだった。『クィア/QUEER』は、1950年代の男性服に潜むフェティシズムの概念に焦点を当てている。そこには微妙なニュアンスがあるんだ」と語る。映画の序盤は、うだるような暑さの、メキシコシティの夏の街並みが舞台。リーは、淡い色の麻のスーツ、パナマ帽、そして現代風のサングラスを身につけて街をさまよう。

 「僕は彼を、『乱れのあるしゃれ男』と解釈した。からだが衣服に影響を与え、服が、第2の皮膚として彼のからだの一部になったように思えた。リーの服のスタイルは、究極的には、彼の身のこなし方と関係がある。ユージーンのスタイルは、少し堅苦しく、同時にヒッピー的で若い。それが性的な魅力を醸し出しているんだ」と、2人のファッションについて説明。リーの、しわくちゃのヘミングウェイ風スタイルとは対照的に、ユージンには、より垢抜けた大学生風の格好をさせ、2人の男の年齢、人生における立場、そして心理がいかに異なっているかをはっきりと表現した。

 終盤では、リーとユージーンが、幻のヤヘを求めてジャングルへと入っていく。その時の2人の服は、密林の湿気で汚れている。「物語が進んでいくにつれて、服はどんどん汚く、くたびれていかなければならない。彼らは、ジャングルの中で服を洗濯できないからね。これを強調するために、それぞれのキャラクターには、衣装を1着しか準備しなかった。そうすることで、ジャングルを冒険する中で、服がどうやって劣化していくかを想像することができた」と、当時の衣装へのこだわりを明かしている。

 さらに今回、日本で1月25日に発売された「JW Anderson x QUEER 限定カプセルコレクション」が、映画の日本公開を記念して5月9日よりJW Anderson 渋谷店とJW Anderson 伊勢丹新宿メンズ店にて再販売されることが決定。コレクションでは、映画のポスターやメインビジュアル、そして『クィア/QUEER』のテーマに基づいたグラフィックを、ウェアやアクセサリーに落とし込んでいる。
 
 「QUEER」の文字はグレーのフーディーにプリントされ、ビーズで装飾されたドローストリングは映画を彩る要素と調和。フーディーの背面には「I want to talk to you... without speaking(言葉を使わずに、あなたに話しかけたい)」という台詞をプリント。さらに、公式ポスターのデザインを彷彿とさせる、映画タイトルとクレジットがあしらわれたグレーのクルーネックスウェットや、映画からインスパイアされた印象的なビジュアルがプリントされた鮮やかなグリーンのスウェットシャツも展開。

 またスチールブルーのTシャツには映画タイトル、グレーメランジのTシャツには映画の中で変身の象徴として登場する、ムカデのネックレスを模したデザインが取り入れられている。アクセサリーにも、ウェアのビジュアルモチーフを反映。オフホワイトのトートバッグには映画から採用した画像が、カーキとネイビーの2色のキャップには『QUEER』のタイトルがそれぞれプリントされ、映画『クィア/QUEER』がもつイメージやテーマを際立たせている。

 映画『クィア/QUEER』は、5月9日より全国公開。
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