写真 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「びっくり体験」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2022年5月30日 記事は取材時の状況)
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屋外や公共交通機関、お店の中などで周囲が迷惑しているにも関わらず、大声を張り上げている人たちをたまに目にします。しかし、注意しても逆ギレした相手に絡(から)まれるトラブルも報告されており、実際にはそのまま無視を決め込む方が多いのではないでしょうか。
そうした中、保険会社に勤める里村あかねさん(仮名・32歳)の夫は、そういう状況に見て見ぬフリができないタイプ。怖そうな相手でもまったく躊躇せずに「すみません、もう少し静かにしていただけますか?」と声をかけるといいます。
◆隣のカップルを注意したら逆ギレされ、夫がひょう変!
「数年前、遅めの昼食を取ろうと地元のファミレスに入ったときでした。私たちが注文を待っている間、隣の席のカップルが口論を始めたんです。しかも、だんだんヒートアップして大声になり、彼氏のほうは途中から完全にキレている様子でした。
それでも平日だったこともあり、お客さんはまばらで店員さんも遠目に眺めるだけでスルー。最初は夫も『お隣さん、なんか修羅場になってるんだけど』と普通に話していたし、特にイラついている様子はなかったんです。でも、料理が運ばれて食べてる間も口論は続き、夫も『チッ、うっせーな』と明らかにイラつき始めているのがわかりました」
すると、突然立ち上がって隣のテーブルに行く夫。
「申し訳ないですが、もう少しボリュームを下げてもらえないでしょうか?」と丁寧な口調でお願いしたところ、女性からは「す、すみません!」と頭を下げられたそうですが、彼氏からは「知らねぇよ。関係ねぇヤツはすっこんでろ!」と言われてしまいます。
ところが、夫は男性の態度にまったくひるむ様子を見せず、今度は「テメェ、さっきからうるせーから黙れって言ってんだよ」と先程とは一転して汚い口調で罵(ののし)ります。
「そんなしゃべり方をする夫を見たのはこのときが初めて。二重人格かと思うほどの別キャラでビックリしました」
夫はハウジングメーカーに勤めるごく普通の会社員。ただし、中高生のころはヤンチャな友人たちに囲まれていたのを写真などを見せてもらって知っており、本人も“田舎のマイルドヤンキー”と元ヤンであることをカミングアウト。
とはいえ、出会ったころから常に温厚。夫婦ゲンカをしたときも大声を張り上げたり、キレる姿は一度もなかったそうです。
◆夫の雰囲気に相手もビビった?
「だから、見た目だけの“自称元ヤン”かなと思っていたんです。私の地元にもそういう方が多かったし、ウチの兄がまさにそうでしたから(苦笑)。
けど、カップルの男性のほうは金髪ピアスで街で見かけても絶対に近寄りたくないタイプ。ところが、夫はそんな相手と対峙(たいじ)してもビビっている感じには全然見えませんでした」
男性は立ち上がって「おいコラ! ケンカ売ってんのか?」と威嚇(いかく)しますが、それに対しても「何トチ狂ったこと言ってんだ? さっきからケンカしてんのはテメーらだろ。こっちはカミさんと楽しくメシ食ってんのに邪魔すんなやボケが!」と夫は言い返します。
これには向こうも一瞬ひるんだらしく、カップルの女性があわてた様子で何度も夫に頭を下げ、男性の手を引っ張ってレジへ。清算を済ませるとそのまま店を出てしまったといいます。
「逆ギレされた彼は、私がそれまで見たことがないような怖い目つきで男性をにらんでました。兄とは違ってガチの元ヤンだったんだと気づきましたが、そうだとしても相手が刃物を持っていた可能性だってあるし、危ないじゃないですか。そう考えると、夫にだんだん腹が立ってしまって……」
自分の席に座り、食事を再開しようとした夫は少し気まずそうな顔をしていたとのこと。すると、あかねさんが怒った表情をしていたのがわかったでしょう。必死に言い訳を始めたそうですが、もちろん彼女には通用しません。
◆心配した妻からのマジ説教に夫も反省
「何か起きてからじゃ遅いし、隣の席がうるさければ店員さんに頼んで別のテーブルに移動すれば済むことじゃないですか。いい年した大人がやることじゃないってガミガミ言っちゃいました。
さすがに夫も思うところがあったらしく、『ごめん、今後は気をつける……』と反省した様子でした」
その後の追求で彼は中高生のころ、ケンカに明け暮れていたことが発覚。さらに空手やボクシングの経験もあったそうで、なまじ腕っぷしがあったがゆえにイカつい風貌の相手にもまったく動じない胆力が備わってはいたようです。
「私は昔からそういう方とは距離を置き、関わらないようにしてたのに夫がそっちの世界の人だったなんて。ただ、あんな態度を取られたら私は耐えられそうにないため、『夫婦ゲンカをしてもあのときみたいにキレるのは反則。もしやったら離婚する!』とクギを刺しています(笑)」
結局のところ、一番強かったのは妻である彼女だったようです。
<文/トシタカマサ イラスト/ただりえこ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。