ポールポジションスタートから、レース序盤の2時間をリードしている50号車フェラーリ499P 5月10日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで2025年WEC世界耐久選手権第3戦『スパ・フランコルシャン6時間』レースがスタートした。2時間が経過した時点では、アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン組の50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)が総合首位を走行している。
■セーフティカーでギャップがリセット、混戦続く
前戦イモラから3週間という短いインターバルで、WECはヨーロッパでの2レース目を迎えた。6月には第4戦ル・マン24時間レースが控えており、大一番を占う上でも重要な一戦となる。
9日午後に行われた予選では、50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)が総合ポールポジションを獲得し、83号車、51号車が続いて跳ね馬のワン・ツー・スリーに。開幕2連勝を飾っている499P勢が、スパでも引き続き好調ぶりをアピールした。
決勝スタート時刻は10日の現地時間14時。空は晴れ渡り、気温は18度、路面温度は31度というコンディションだ。ポールポジションの50号車フェラーリはニクラス・ニールセン、83号車フェラーリはフィル・ハンソン、51号車はジェームス・カラドがスタートドライバーを務めている。
予選で下位に沈んだトヨタGAZOO Racingは、8号車GR010ハイブリッドが15番手からブレンドン・ハートレーで、7号車が16番手からマイク・コンウェイでレースをスタートさせた。
2周のフォーメーションラップの後、レースがスタートすると、51号車フェラーリがケメルストレートエンドで2番手に浮上する。中団以降の混戦のなかでは、5号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)のジュリアン・アンドラウアーがスピンオフ。38号車キャデラックVシリーズ.Rとの接触があったようで、のちに38号車キャデラックにはドライブスルーペナルティが科せられた。
バックマーカーが絡み始めると2番手以下が混戦となり、36号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)のフレデリック・マコウィッキが速さを見せる。1コーナーで83号車フェラーリを攻略して3番手へと浮上すると、続いてオー・ルージュへの進入で51号車フェラーリもパス。開始30分というところでフェラーリの牙城を崩し、2番手に立った。
後方から追い上げを図りたいトヨタ勢だったが、スタートから25分を前に7号車が緊急ピットイン。パンクチャーがあったようで、タイヤ交換作業の後にコースへと戻るが、一時クラス最後尾へとポジションを落としてしまう。
83号車フェラーリはさらに93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)、15号車BMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム WRT)、35号車アルピーヌらに次々と抜かれ、各車の最初のルーティンピットが始まる55分経過時点までに10番手にポジションを落とすと、ルーティン作業終了後にガレージへと入れられてしまった。ターボおよび排気系のトラブルがあった模様だ。
第2スティントに入っても、50号車フェラーリがリードし、36号車アルピーヌが追うという構図は変わらないが、3番手の51号車フェラーリが前方のアルピーヌに迫り、接近戦が展開される。やや間を開けて4番手に15号車BMW、5番手に93号車プジョーと続いた。
1時間15分が経過し、ターン1のランオフエリアおよびケメルストレートでLMGT3車両がストップしたためバーチャルセーフティカー(VSC)が導入。ここで各車がピットへと戻り、タイヤ交換やドライバー交代含む作業を実施した。首位50号車にはミゲル・モリーナが乗り込んだが、背後の36号車アルピーヌはマコウィッキが継続。そして4番手と5番手が入れ替わり、93号車プジョーのポール・ディ・レスタがフェラーリの背後につけることになった。
各車がルーティン作業を終えたところでVSCはセーフティカーへと切り替わり、ギャップはリセット。1時間42分経過時点でリスタートが切られた。15号車BMWはピットレーンでのスピード違反があり、ドライブスルーペナルティを消化し順位を下げている。
ギャップがなくなり混戦模様のなか、2時間経過直前に51号車フェラーリが2番手を行く36号車アルピーヌに仕掛けるが失敗。この隙をついて93号車プジョーが51号車フェラーリをかわし、3番手へと躍進を果たした。
5番手は20号車BMW、6番手にはピットシークエンスがオフセットしている7号車トヨタが暫定的にポジションを上げている。僚友の8号車トヨタは堅実に追い上げ、9番手を走行中だ。レース後半にかけては7号車には小林可夢偉、8号車には平川亮が乗り込むことになる。
■中山雄一組レクサスRC F GT3は3番手を走行
LMGT3クラスでは、前日の予選で78号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)がクラスポールポジションを獲得。この車両には今回、中山雄一が代役参戦でWECデビューを飾っている。
スタートでは78号車レクサスのアーノルド・ロバンが順調にホールショットを奪ったが、フロントロウに並んだ10号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(レーシング・スピリット・オブ・レマン)は出遅れてポジションを落とし、代わって77号車、88号車のフォード・マスタングGT3勢(プロトン・コンペティション)が2〜3番手につける展開に。その後ろには、46号車BMW M4 GT3エボ(チームWRT)も浮上してきた。
45分過ぎにハイパーカークラスの99号車ポルシェがストップしたことで導入されたフルコースイエローの際、中位以降の数台がピット作業を行い、そのFCY解除直後に改めてルーティンピットに。ここで46号車BMWが首位に立ち、88号車フォード、21号車フェラーリ296 GT3(ビスタAFコルセ)というトップ3のオーダーで、第2スティントが進行していく。78号車は7番手付近にまで順位を落とした。一方レクサスのもう1台、87号車は1時間15分経過時点でコース脇にストップしてしまう。
ここでのセーフティカーからのリスタートではギャップがリセットされ混戦模様となるなか、2時間経過時点では27号車アストンマーティン(ハート・オブ・レーシングチーム)が首位、85号車ポルシェ911 GT3 R(アイアン・デイムス)、78号車レクサスがトップ3を形成している。
78号車の中山はこのあと、レース後半にコクピットに乗り込む予定であるとTV中継のインタビューで答えている。佐藤万璃音の95号車マクラーレン720S GT3エボは、ダレン・ラーンのドライブによりクラス7番手を走行している。
決勝レースはこのあと、現地時刻20時(日本時間11日午前3時)にフィニッシュを迎える予定。現地の日没時刻は21時過ぎのため、順当に進めば陽のある時間帯にチェッカーが提示されことになる。
[オートスポーツweb 2025年05月10日]