閣議に臨む石破茂首相(中央)ら=9日、首相官邸 国会は、石破茂首相が出席して12日に衆院予算委員会の集中審議を行う。野党は「ヤミ献金」疑惑が報じられた首相を追及する構え。「政治とカネ」で、首相が十分な説明を果たせるかが焦点だ。トランプ米政権の関税政策を受けた日米交渉や、国会提出が大きく遅れる年金制度改革関連法案もテーマとなる。
週刊文春は、首相が3000万円超を政治資金収支報告書に記載していなかったと報じた。首相は9日の衆院文部科学委員会で「全く身に覚えがない」と述べ、報道内容を全面否定した。
しかし、野党は首相の説明に納得せず、衆院政治倫理審査会で弁明するよう主張。6月22日の今国会会期末まで1カ月余りとなり、首相の商品券配布問題も含め「政治とカネ」で説明責任を果たすよう改めて圧力を強める方針だ。
自民旧安倍派の裏金事件では、派閥幹部だった世耕弘成前参院幹事長(衆院議員)が4月、参院予算委に参考人として出席したが、政治資金パーティー収入の還流再開の経緯など真相は依然明らかになっていない。野党は下村博文元文科相の衆院予算委への参考人招致を求めている。
衆院で与党が過半数割れする中、会期末に向けて石破内閣に対する不信任決議案が提出されるかどうかも注目だ。立憲民主党の野田佳彦代表は9日の記者会見で、「(12日の)集中審議も見ながら判断したい」と首相をけん制した。
今国会の重要法案と位置付けられる年金関連法案は、自民内の意見集約の遅れのためにいまだ提出されていない。16日にも閣議決定することを目指し、自民は詰めの党内手続きを進める。ただ柱の一つだった基礎年金の底上げ策は見送られる方向で、野党からは「極めて無責任」との批判も上がっており、集中審議でも論点となりそうだ。
物価高に加え、米関税措置による日本経済への打撃を見据え、野党各党は経済対策として消費税減税を主張。これに対し政府・自民は消費税減税を見送る方向で、野党は集中審議で消費税に関する首相の見解をただす考えだ。