(画像:FANY公式アカウント Xより)
ダウンタウンの配信サービス『ダウンタウンチャンネル(仮)』を、今夏にスタートさせることがスポーツ紙を中心に報道された。
◆ファンド設立し海外展開か?
この『ダウンタウンチャンネル(仮)』に関しては、「日刊スポーツ」(4月25日)が、コンテンツ制作資金の調達などを目的としたファンドを設立したと報道。事務所とも関わりが深いだけに、確定に近い情報だと見ていいだろう。
このファンドは昨年12月に設立されたもので、出資は数十億円規模を想定して海外に販売するビジネス展開も視野に入れているとされる。
ファンクラブ的に動画配信するサービスかと思われていたが、思っている以上に巨額の資金を投入するようだ。コンテンツが豪華になりそうで、ワクワクしているファンも多いだろう。
そこで、まだ気が早いがこれまでの2人の仕事を基に、元テレビ局スタッフの筆者が『ダウンタウンチャンネル(仮)』でどんなコンテンツが配信されるのか、推測したいと思う。
◆会員獲得にもってこい!新作の漫才・コント
まず、同チャンネルは、松本が「『ダウンタウン』を見るならここという独自の基地局」にするとインタビューで明かしている。そうなると候補に上がるのが漫才だ。
漫才こそもっとも濃密に2人の魅力を体感でき、チャンネルにもってこいのコンテンツとなる。過去の名作をリブートするだけでも金が取れるコンテンツになるだろう。
ちなみに、ダウンタウンは、2022年4月に開催した『伝説の一日』で31年ぶりに漫才を披露した。一説には10万枚以上のオンラインチケットが売れたとされるから、会員獲得にもってこいだ。
そして、漫才同様にファンが熱望するのがコントだ。ダウンタウンのコントといえば、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)がもっとも有名。松本が持つ毒や哀愁をもっとも表現できるのがコントで、外せないコンテンツになるだろう。
現在のダウンタウンが輝くコントなら、これまたお金を払っても見たいファンが多いはず!
また、松本は『松本人志のコントMHK』(NHK総合)や『キングオブコントの会』(TBS系)で新作コントを披露している。
特に『松本人志のコントMHK』では、大物俳優やタレントを起用しシュールで唯一無二のコントを見せた。今回、どれだけ出演者に経費をかけるかわからないが、これまで見たこと無いコントをチャンネルで生み出してくれることに期待したい。
◆『一人ごっつ』『IPPON』を生んだ松本の大喜利に期待
ダウンタウンの歴史を考えれば漫才とコントはマストだとして、他にどんなコンテンツになるのか?
漫才・コントと同じく松本の笑いに欠かせないのが大喜利だろう。松本は「フリップ大喜利」を発明したと言われ、『一人ごっつ』、『IPPONグランプリ』など大喜利がメインの名番組を生み出した。
特に『一人ごっつ』では、伝説の「24時間大喜利」を行うなどとがった企画を数多く作っている。ここ最近では、『IPPONグランプリ』でたまに見せる回答くらいで、本気の松本の大喜利を見ていないだけに、若手や中堅の猛者たちと戦うところを見たい。
◆『すべらない話』『笑ってはいけない』や新フォーマットも
また、大掛かりな予算がいらない『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)、『ドキュメンタル』(Amazonプライムビデオ)のフォーマットを利用することも可能だ。
特に、松本が企画・プロデュースした『ドキュメンタル』は、海外で『LOL:Last One Laughing』のタイトルで人気。今回のチャンネルは世界戦略を視野に入れているだけに、『ドキュメンタル』のような企画は入れ込んできそうだ。
権利関係のため、それぞれのフォーマットを使えなければ、新たに密室に芸能人を集めて行う企画が考えられる可能性が高い。
さらに夢を語るなら、『絶対に笑ってはいけない』シリーズの新作に期待。予算の関係があるだろうが、コンプライアンスもスポンサーも関係ない配信なら、過去にない過激な演出も可能だ。
2019年には、『ガキ使』のDVD&Blu-rayの累計出荷が500万枚を突破したことがあり、全てが『絶対に笑ってはいけない』の数字ではないが、お金を払っても見たい人は大勢いる。
ファンドで予算を集めるなら、年に一度は『絶対に笑ってはいけない』シリーズの新作を作るのも集客を成功させる一つの武器だ。
他にも、松本は『働くおっさん劇場』(フジテレビ系)や『かざあなダウンタウン』(テレビ朝日系)のような、コンプラを無視した過激な番組を成立させている。アナーキーな部分も配信ということで解禁されれば、さらにコンテンツが充実する。
◆映画や凝りすぎたコントは鬼門になりそう
一方で、無敵の松本でも失敗はある。その一つが、いまでは忘れている人が多い映画事業だ。映像制作に凝ると一般受けしない可能性が高く、ショートムービーのようなコンテンツは鬼門になりそう。
また、熱狂的ファンが多い『HITOSI MATUMOTO VISUALBUM』的なコントの取り扱いも悩ましいところ。個人的に同作は好きだが、凝りすぎたコントはダウンタウンファンの中でも賛否が分かれる。
コントはチャンネル内で披露するだろうが、どういった方向性にするのかは難しいさじ加減になるだろう。
◆歴史に残るコンテンツを制作したダウンタウン
さて、ここまで勝手に『ダウンタウンチャンネル(仮)』で展開しそうなコンテンツを推測してきた。
今回のような推測ができてしまうのも、これまで松本を中心にダウンタウンが歴史に残るコンテンツを制作してきたからだ。
はたして、夏にはじまる『ダウンタウンチャンネル(仮)』では、どんな企画をわれわれに提示してくれるのか、いまから有料化員になるつもりで、楽しみにサービスのスタートを待ちたい。
<文/ゆるま小林>
【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆