フローレンス・ピュー「キャラクターの成長と変化の過程を大切にした」『We Live in Time』

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2025年05月11日 11:01  cinemacafe.net

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『We Live in Time この時を生きて』© 2024 STUDIOCANAL SAS – CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
『サンダーボルツ*』でも評価を集めるフローレンス・ピューと、アンドリュー・ガーフィールドが豪華共演を果たした新作映画『We Live in Time この時を生きて』。

本作でフローレンス・ピューが演じているのは、新進気鋭の一流シェフ・アルムート。自由奔放な性格だが、料理に対しては熱心で、着実にキャリアアップしている30代の女性だ。そんな彼女が正反対の性格のトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)と出会い、結婚や出産といった人生の分岐点で葛藤するさまが描かれていく。

この度、“母親”役を演じたフローレンス・ピューが最新作について語るコメントが到着した。

「誰もが彼女に自分自身の一部を見出せるように」
フローレンス・ピュー自身、アルムートの年齢と近いこともあり、今回の役は自然体で演じられたという。今回の役について「アルムートは私と同じような考え方の持ち主ですし、同世代の誰もが通る道を経験しています」と話す。

「だから、インスピレーションの源は身近にあって、自分の直感に頼ったり、周りの女性たちを参考にしながら演技することができました。そんな今の時代を生きるキャラクターを演じられて嬉しかったです」。

本作は映画の中で描かれがちな華やかなロンドンの街ではなく、ロンドン郊外で普通に暮らす、普通の人々に焦点を当てている。また、イギリス映画の伝統でもあるロマンティック・コメディをベースにしつつ、その従来のジャンルに新たな切り口を加えている。

そんな紋切り型から外れた物語は新鮮だったようで、とりわけ女性の描き方が「とてもリアルだった」と語りつつ、役作りについて「アルムートをとにかく分かりやすく、普通の女性にしたかったんです。ロンドンの街を歩けば、1日に何百人も見かけるような、そんな女性です。つまり、彼女をわざと個性的にしたり、おしゃれにしたり、クールに見せたくありませんでした。そうすることで、誰もが彼女の中に自分自身の一部を見出せるようにしたかったんです」という。

さらに、現代社会でたびたび取り上げられるトピックのひとつである、女性の仕事と出産・育児についても斬り込んでいる。アルムートは当初、結婚や出産を望んでおらず、そのことが原因でパートナーと衝突するが、現実にもそのことに悩む女性は多くいるだろう。

その点についてフローレンス・ピューは、「アルムートは成功を望む一方で、子どもを持ちたいという思いを抱くようになりますが、それは若い頃の価値観とは相反するものでした。その葛藤が映画の中で大きな軸となっています」と説明する。

「このキャラクターの成長と変化の過程は、私がとても大切にした部分でもあります。実際に、結婚や出産は多くの女性が関心を持っている話題ですし、特に今は女性がキャリアを持てる時代です。でも、その両立は難しい。劇中では、その過程が描かれているんです」。

「病気を自分の人生の見出しにしたくない」
また、アルムートは病気とも格闘することになる。限られた時間をどう過ごすのかというのも本作の重要なテーマだ。

ただ、本作はいわゆる“余命もの”や“難病もの”には括られない。フローレンス・ピューもそのことを意識していたようで、「アルムートの病気は、物語の大きな要素ではありますが、演じる時にそれを前面に出したくないと考えました」と明かす。

「彼女自身、病気を自分の人生の見出しにしたくないと考える人物なので、病気が物語の大きな転換点だとしても、私の演技の転換点にはしたくありませんでした。彼女が涙を流すのは、たった一度だけです。それがとてつもなく強いインパクトを持つ瞬間になっています。彼女のように強い人間が、そこまで追い詰められて、初めて涙を流す。その一度きりの涙が、とても力強く、胸に響くんです」。

いまを生きる女性をリアルに描いた本作のなかでも、特に苦労したのが出産シーンだったという。それは、ピューがとりわけ体当たりで演じたシーンでもある。

「とにかく大変でした。私は妊娠したことも出産したこともなかったので、ワクワクすると同時に怖さも感じていたのですが、現場では助産師の人がずっとついてくれて、とても助かりました。それと、膨らんだお腹を作るのも大変でした。シリコン製のプロテーゼを着けるのに3時間くらいかかり、外すのには2時間もかかったんです。夕方になると腰や膝が痛くなってきて、すごく辛くて、妊婦が実際に感じるのと似たような感覚でした。でも、実際にそれを体験することができて良かったです」。

フローレンス・ピューはまさに等身大の演技で、現代社会を生きるリアルな女性像と、真っ直ぐな“愛の物語”を見事に表現してみせた。彼女にとっても、本作において何よりも重要なテーマは“愛”だったという。

「いま、この映画を観るのはとてもいいことだと思います。私たちは、奇妙で辛い6、7年を過ごしてきました。世界中でいろんなことが起こっていて、自分が何のために生きているのかをなかなか思い出せなくなっています。でも本作は、愛そのものや、恋すること、愛を与えること、あるいは愛を受け取ることに焦点を当てています。この映画を観て、愛を感じ、愛を与えて生きたいと思ってもらえたら嬉しいです。それは私たち全員に必要なことですからね」と語っている。

『We Live in Time この時を生きて』は6月6日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。





(シネマカフェ編集部)

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