
2022年3月夜、高知県内のとある漁港で、ビニール袋に入れられた生まれたばかりの5匹の子猫が見つかりました。
前年にも同じ漁港で子猫の遺棄事件があり、そのときに発見したのが夜釣りに来ていた方でしたが、偶然にもまた同じ方が見つけてくれました。すぐに現場から立ち去ったクルマのナンバー、車種、色などと合わせて警察に通報。警察官が現場へと駆けつけに来てくれました。
3匹は息を引き取り、2匹だけが微かに息をしている状況
駆けつけた警察官も「子猫の命を一刻も早く救わなければ」と、地元の愛護団体・アニマルサポート高知家に協力要請。しかし、ビニールの中の5匹の子猫のうち、3匹がすでに息を引き取っており、残る2匹も微かに息をしている状況でした。
団体スタッフは、自分たちが向かうまでの間、警察署で「子猫たちの体をとにかく暖め続けてあげてほしい」と頼み、自前のミルクや哺乳瓶を持参し急いで警察署へ向かいました。しかし、残念なことに弱っていたうちの1匹は亡くなってしまい、なんとか耐え抜いた1匹を団体で保護することになりました。
|
|
あらためて思うのが「ビニール袋に子猫を入れて漁港に遺棄する」という血の通う人間がすることではないと思える行動。もちろん、警察官はすぐに捜査し、前述のナンバーや車種などの情報からすぐに個人を特定。遺棄翌日の昼にはスピード逮捕しました。
逮捕された犯人の元には不妊手術していない8匹の猫が…
犯人は年配の男性。8匹の猫を飼っていましたが、不妊手術などの適切な処置をしていなかったことで、子猫が増え手に負えずに生まれて間もない子猫たちを遺棄したと供述しました。
団体も男性に面会し、ことの重大さへの理解を促すとともに、すでに飼っている8匹の猫の不妊手術の約束と、生き残った子猫の引き取りの確認証にサインをもらいました。
「少しでも子猫が安心できるように」と警察官がとった行動
保護当初、唯一生き残った子猫に対し「少しでも安心させてあげよう」と警察官がとった、とある行動がありました。
それは「きょうだいの子猫が息を引き取っていく中、1匹だけ生き残った子猫が『少しでも寂しく思わないように』『どうか生き抜いてほしい』という願いを込めて、キャリーに入った子猫のそばにぬいぐるみを入れてくれた」ことでした。
|
|
些細な行動に感じるかもしれません。でも、筆者にとっては心を打たれるエピソードで胸に熱いものが込み上げました。
生き残った子猫は、こんな温かい思いがこもった「命のバトン」によって後にスクスクと成長。息を引き取ったきょうだい4匹の分を背負うかのように、後に心優しい「ずっとの家族」と縁が結ばれ、今では幸せに過ごしているそうです。
最後に改めて記載します。「猫や犬などの愛護動物の遺棄や虐待」は「1年以下の懲役または100万以下の罰金」です。また、「愛護動物の殺傷」は「5年以下の懲役または500万以下の罰金」です。
この漁港での遺棄事件の犯人のように、逮捕されることも十分ある犯罪です。改めてこういった遺棄事件がなくなることを願うばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
|
|