成宮寛貴の8年ぶり俳優復帰作として話題になり、“全員不穏”の登場人物たちの言動も反響を呼んでいるABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』(「ABEMA」にて毎週木曜夜11時より無料放送、Netflixでも同時配信中)。物語はクライマックスに突入し、次回はいよいよ最終回を迎える。
本作は、累計発行部数1億部以上突破のヒット作『金田一少年の事件簿』などで知られる天樹征丸氏の同名漫画が原作の純愛サスペンス。幸せな結婚生活の裏で巻き起こる「女性記者殺人事件」を発端に、やがて「究極の愛」と「狂気」に翻弄されていく神城真人(成宮)と澪(瀧本美織)の夫婦の物語であり、鬼才・城定秀夫監督がメガホンを握る。
2人の愛はどこへ向かうのか? 結末が気になる『死ぬほど愛して』について、プロデューサー・小林宙さんに番組制作の裏側を語ってもらった。
■真冬の撮影あるある。「冬眠する動物同様、行動が鈍くなる」
7話、8話と樹海での真人と澪、石黒(細田善彦)との攻防が描かれています。放送している今は5月、もはや初夏で半袖でも過ごしやすい時期になってきていますが、撮影は昨年12月の年末でした。
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映像上は雪が少しチラついているのが見えるかもしれませんが、がっつり雪が降る時期に樹海近郊で撮っていました。さらに7話の後半からは夜のシーンなりますが、もちろん夜に撮影してます。
ドラマ制作の仕事をして気がついたことがあるのですが、スタッフは暑い時は「あちぃ、あちぃ」と喋るのですが、本当に寒い現場だと何も喋らなくなります。冬眠する動物と一緒で、人間も寒くなると極端に思考と行動が鈍くなるんだなと客観的に思ったことがあります。今回も静かになるのかなと思っていたら、今回のスタッフ、キャストは、寒い夜になっても、しっかりみんなで面白がって撮影して、キャストも怪演をしていて、非常に心強かったです。みんな本当にこの現場が好きなんだなと感じました。
……という話を現場スタッフから聞いたのですが、実は私は撮影以外の仕事が立て込んでいて樹海の現場に顔を出すことができませんでした。年末に久しぶりにロケ現場に行ったら、成宮さんには「ご無沙汰しております」と若干いじられ、瀧本さんには「髪短く切ってるじゃん」とおおいにいじられ、非常に気まずかったのですが、皆さん楽しそうに撮影していて、よかったです。
■原作コミックを映像化する際に苦労した「モノローグ禁止の台本づくり」
SNSでの反応を見ると「時系列がわかりにくい」というのがありますが、それはそうだと思っています。原作漫画自体の構成が非常に入り組んでおり、成宮さんが「この原作漫画をどう映像化するんだろう」ということを言っていましたが、原作漫画の時系列のわかりにくさをどうまとめるのだろうかという疑問も大きかったと思います。
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文字で読むとわかるのですが、映像だとなかなか難しい表現になります。個人的には台本を作る際に、初見の方にも理解してもらえるように作ったつもりですが、でも編集上がりを見て「足りなかったのかも」と思い、4話からは前週までのダイジェストを冒頭につけていて、少し整理できるようにしています。
ただ「そこまでわかりにくくない」という意見も見受けられるので、ながら見ではなくて、しっかり見ていただければわかる作りにはしているつもりです。また、配信の特性を活かし、あえて見返していただいた方がより面白く思える作りにしているところもあります。
それは原作漫画もそうなっていて、謎解きの後、真人のキャラクターの答えを知ってから最初の方の回を見返すと、気が付くこともたくさんあります。その原作の良さを踏襲して活かすつもりでもありました。「わかりにくい」とネガティブに感じてしまった方がいらっしゃるとは思うのですが、もう一度見返していただくともっと楽しんでいただけるのではないかなと思います。
漫画と映像では表現の違いが大きいため、原作漫画から大きく変えているところがあります。漫画はモノローグ(心の声)が多用されていて、登場人物の感情がほとんど字で説明されています。
ただ、それを映像にそのまましてしまうと映像の良さを捨てることになるので、モノローグは基本禁止ということで台本を作りました。役者の演技で感情を表し、誰かとの会話で状況説明や感情の起伏を表現することをやっています。
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やっては見たものの、今回の「モノローグなし」のハードルは非常に高かったです。例えば、先週放送した7話で、澪が「真人に騙されていた」と理解するところがあるのですが、原作漫画だとすべてモノローグで説明しています。ドラマはモノローグを避けているので、途中で介入した石黒と澪との会話で、騙されていたことを澪が理解したということを表現しています。原作漫画では、石黒が助けにくるのはもう少し後になっているのですが、お芝居で感情を表現することを重視して、早めに石黒を合流させました。
このように、漫画と映像のそもそもの表現の違いをふまえ、プロデューサーはいかに原作漫画を映像化するかを監督と脚本家とともに考えるのですが、その過程で、今回は原作の天樹征丸さんとも綿密にコミュニケーションをとり、「モノローグ禁止」にもご快諾をいただいて、ドラマとして非常に上質な映像化ができたと思っています。
ただ、ここまで書いて、モノローグあった方が「時系列もわかりやすくできたのかな」とかもちょっと思ってしまいまして、プロデューサーとしてまだまだ自分も未熟だなと思っています。
ただ、ドラマでは主人公の真人の心の声が聞こえないことで、より真人の心の声が聞こえてくるように思えたのは本当によかったです。そして、各役者も上質な芝居で、最高の表現で応えてくれました。感謝です。
■最終回の見どころは『死ぬほど愛して』という言葉が持つ“深い意味”
『死ぬほど愛して』というタイトルなのですが、様々な捉え方ができるタイトルです。「死ぬほど愛して欲しい」なのか、「死ぬほど愛してた」のか、そしてそれが誰から誰への言葉なのか。真人と澪のラブストーリーであると思ってドラマを作っておりました。
なので、真人と澪の関係性の中の「死ぬほど愛して」という言葉が見どころになってくることは間違いないです。この言葉がどういう意味を持つのか、そしてこの二人の狂ったラブはどこに向かうのか――。
ともあれ、皆さんの想像を超えるくらいのエンタメとスケール感がある素晴らしい最終回になっています。私の初見の感想は「大作」だったので、そう思ってご期待して見ていただければ幸いです。5月13日夜11時、最終回をぜひご覧ください。
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