第一志望が「通年採用」へ→学生「もう即戦力じゃないと無理では?」 企業の採用方針に変化が…?【キャリアカウンセラーに聞く】

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2025年05月13日 07:00  まいどなニュース

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就職活動に変動が…通年採用ってなに? ※画像はイメージです(Monet/stock.adobe.com)

意気込んで就職活動をおこなっているAさんは、第一志望の企業から内定が得られるよう、日々企業研究や自己分析に余念がありませんでした。情報収集やさまざまな準備を進めていたある日、Aさんの耳に衝撃的なニュースが飛び込んできます。第一志望の企業が、これまで続けてきた「新卒一括採用」を廃止し、「通年採用」へと完全に舵を切るというのです。

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通年採用と聞くとどうしても即戦力が求められるイメージがあり、Aさんは「職種ごとに採用するということは、専門性や実務経験が重視されるのではないか」や「社会人経験のない自分のような学生にとっては、明らかに不利になるのではないか」など、ネガティブな気持ちになってしまいました。

しかも調べてみると、通年採用を導入する企業はそこだけではなく、多くの企業が同様の方針に変更しているようです。この流れに対して、Aさんのような新卒採用を目指す学生は、どのように対応していけば良いのでしょうか。キャリアカウンセラーの七野綾音さんに話を聞きました。

ー通年採用とはどういったものなのでしょうか

通年採用とは、従来多くの日本企業が行ってきた「新卒一括採用」(特定の時期に一斉に採用活動を行い、翌年4月に入社する)とは異なり、年間を通じて企業の判断で採用活動を行う方式のことです。企業は必要とする人材やポストが空いたタイミングで、随時募集・選考をおこないます。

ー通年採用が広がっているのはなぜですか?

通年採用が、特に体力のある大企業を中心に広がっている背景には、いくつかの要因があると考えます。最大の理由は、企業が優秀な人材を確実に確保したいという点が考えられます。

新卒一括採用の画一的なスケジュールでは、留学経験者や海外大学の卒業生、あるいは秋卒業の学生など、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材を取りこぼしてしまう可能性があるからです。

ただ、通年採用は常に採用担当者を配置し、継続的に採用活動をおこなう必要があるため、一括採用に比べてコストが増加する傾向にあります。そのため現状では採用専門の部署を持ち、コストを吸収できるだけの体力がある大企業が先行して導入しているという側面があります。

ー社会人経験の無い学生はどのように向き合うべきでしょうか?

実務経験のない新卒学生が不安を感じるのは自然なこととは思うものの、むしろチャンスだと思って主体的に行動することが求められるでしょう。通年採用だからといって、企業が新卒学生に中途採用者と同じような実務経験や即戦力性を求めているわけではないからです。

企業は、コミュニケーション能力、課題解決能力、主体性、自ら考えて行動する力といった社会人としての基礎となる能力も見ています。学生時代の経験を通じて、これらの能力をどのように培ってきたかを具体的にアピールしましょう。

また、いつどの企業が募集を開始するかわかりにくくなるため、早い段階から自分のキャリアについて考え、積極的に情報を収集・分析する力が求められます。自らアンテナを張り、必要な情報をキャッチする主体性を持ちましょう。

通年採用は、受け身でいる学生にとっては不安要素かもしれません。一方で自らのキャリアを主体的に考え、積極的に行動する学生にとっては、より多くの選択肢と時間を与えてくれるチャンスとなり得るでしょう。

◆七野綾音(しちのあやね)キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント やりがいを実感しながら自分らしく働く大人を増やして、「大人って楽しそう!働くのって面白そう!」と子ども達が思える社会を目指すキャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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