石破首相、「財源重視」前面=経済対策、野党は無策批判―参院選意識、強まる対決色

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2025年05月13日 07:31  時事通信社

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衆院予算委員会で挙手する石破茂首相=12日、国会内
 12日の衆院予算委員会では与野党で高まる消費税減税論に対し、石破茂首相が財源重視の方針を前面に出し、慎重姿勢を示した。参院選に向け、責任政党の立場をアピールする狙いだ。野党は政府の物価高対応を「無策」と批判。トランプ米政権の関税を巡る交渉や首相の「ヤミ献金」疑惑でも追及を強めており、国会最終盤へ与野党対立が再び深まってきた。

 「全く同様の認識だ」。予算委で野党系会派「有志の会」の緒方林太郎氏が財源の根拠なく政府支出を拡大させる「財政ポピュリズム」は「うそと結び付きやすい」などと指摘すると、首相はわが意を得たりとばかりに同意した。

 消費税減税に関して「あいまい戦術」を続けてきた首相だが、この日は国債発行を当て込んだ減税を主張する一部野党を念頭に「金利のある世界を甘くみていないか」「次の時代に責任を持つのがあるべき姿だ」と一線を画した。恒久財源の確保を前提に「消費税率5%」を訴える共産党の辰巳孝太郎氏の発言には「感動をもって拝聴した」と応じ、財源論を重んじる考えを示した。

 自民党の森山裕幹事長は11日の講演で「責任政党として誤りなき財政運営をしていく」と述べ、参院選で財政に関する立ち位置を争点とする方針を打ち出した。対する野党は「(政権の)無策が争点になる」(立憲民主党の野田佳彦代表)と予告。12日の審議で立民の大西健介氏は「無責任なのは物価高に何もしない自民だ」と突き上げた。首相は既に実施した低所得世帯向け給付金などを挙げつつ「なぜ何もしないとあなたは決めるのか」と語気を荒らげ、前哨戦の様相を呈した。

 参院選を見据えた対決ムードは減税論以外にも拡大した。当初は与野党協調の機運も漂った米国の高関税政策について、審議では自動車やコメなど具体的な協議状況に質問が続出。国民民主党の村岡敏英氏は「交渉で農産物を犠牲にすることはないか」とただし、首相は「ない」と断言した。

 首相は、自身が3000万円超を政治資金収支報告書に記載しなかったとする週刊文春報道に関し、「報道にあったパーティー券の代金提供は一切ない」と完全否定。立民の長妻昭代表代行は「首相の答弁が本当ならば(告発した)相手がうそをついていることになる」と述べた。

 ただ、12日に東京都内で記者会見した告発者は献金があったと主張。野党は衆院政治倫理審査会への首相出席を求めており、19日に開かれる参院予算委の集中審議や21日の党首討論でも「政治とカネ」は尾を引きそうだ。 

衆院予算委員会で質問に立つ立憲民主党の長妻昭代表代行=12日、国会内
衆院予算委員会で質問に立つ立憲民主党の長妻昭代表代行=12日、国会内
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