公正取引委員会=東京都千代田区 プラスチックを溶かして製品を形作る射出成形機の部品製造に必要な木型を下請け業者に無償で保管させるなどしたとして、公正取引委員会は13日、下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請など)で、東証プライム上場の日精樹脂工業(長野県坂城町)に再発防止などを勧告した。
公取委によると、同社は下請け13業者に対し、プラスチック射出成形機の部品製造に必要な木型などを貸与していたが、遅くとも2024年2月以降、長期間使用されていないことを認識したにもかかわらず、260個の木型などを無償で保管させていた。
また21年9月に下請け業者に部品3600台を発注。23年7月までに2250台を受領し代金を支払ったが、残る1350台については、不当に発注を取り消し、原材料費など約1260万円の請求を拒否した。公取委は下請法の不当な給付内容の変更に該当すると認定した。
同社は4業者の木型など50個をすでに廃棄や回収しており、今後、保管費用について業者と協議。未受領の部品代金についても、業者と取り決めた原材料費などを、公取委の確認を得て支払うとしている。
日精樹脂工業の依田穂積社長は「下請法に関する認識不足があった」とした上で、社員教育の徹底や取引先との一層のコミュニケーションを通じ「再発防止に努める」とのコメントを出した。