バーチャルYouTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバーの谷郷元昭社長は5月13日、2025年3月期通期(2024年4月1日〜25年3月31日)決算説明会で、VTuberの卒業ラッシュについて見解を述べた。要因としてホロライブ立ち上げから時間がたったことにより、人生設計の変化を挙げている。
ホロライブを巡っては24年以降、湊あくあさんなど複数の人気タレントが同社を離れる状況が続いている。25年に入ってもそれは止まらず、紫咲(むらさき)シオンさんや、がうる・ぐらさんなど、多くのチャンネル登録者数を抱えるタレントが卒業していった。いずれのタレントも卒業理由については「カバーとの方向性の違い」と語っていた。
この状況を受け、谷郷社長は「2017年にVTuberを始め、18年にはホロライブ1期生が始まってから6年以上の期間がたち、各タレントたちのキャリアプランや人生設計に変化が発生するタイミングだと思っている」と考えを話す。
「タレントそれぞれに個別の事情があるんだと思っている。『同じ理由で卒業する』ということではない理解でいる。われわれ自体も事業の成長に注力しなければいけなく、タレントをサポートするためにもマーチャンダイジングやライセンス、営業などさまざまな体制を整えなければいけなかった」(谷郷社長)
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そんな中、同社は4月以降、経営体制の変更を発表。これにより、谷郷社長がかなりフリーに動けるようになったと話し、クリエイター一人一人に現状や今後の展望などを訪ね周れるようになったと説明する。
「いろいろ個別の事情はあっても、可能であれば(カバーと)パートナーとしてやっていけるといいと考えている。そのため、コミュニケーションのすれ違いによって辞めてしまう、みたいなことが発生しないようにしたい。コミュニケーションを強化しながら、われわれもタレントの成長に応えられるよう、会社も進化させていきたい」(谷郷社長)
●新規タレント発掘には「ちょっとコメントしづらい」
卒業するタレントがいる一方、タレントの新規加入について今期の計画としては現状では「ちょっとコメントしづらい」と谷郷社長。
一方、先日YouTubeチャンネル登録者数400万人を突破した宝鐘マリンさんが次は500万人を目指して意欲的に活動していることを挙げて「これからVTuberはさらに登録者を増やし、1000万人台に到達して、よりメジャーな存在になっていく可能性がある」と、既存の人気タレントがより活躍できる環境を整えたい意向を示した。中長期的なタレントの新規発掘については「もちろん必要」とした。その上でタレントの新規発掘も中長期的にはもちろん必要だと続けた。
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また、カバーの人員拡大ペースにも言及。24年3月31日時点での従業員数は509人だったのに対して、25年3月31日時点では679人まで増加していた。これについて、同社の金子陽亮CFOは「過年度よりも少し落ち着いたペースになる見通し」と話す。新経営体制のもとで、人員の再配置や既存人員のパフォーマンスの最適化に25年度は注力する方針を示し、事業成長の最大化を目指す。
なおカバーの25年3月期通期決算の結果は、売上高は434億100万円(前年同期比43.9%増)、営業利益は80億100万円(同44.5%増)、経常利益は79億6200万円(同41.6%増)、純利益は55億5900万円(同34.4%増)で増収増益だった。
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