星野源「絶望していても幸せ」 若林正恭と“共鳴”した『あちこちオードリー』濃密トークを振り返る

0

2025年05月16日 17:00  ORICON NEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ORICON NEWS

星野源【撮影:KOBA】 (C)ORICON NewS inc.
 “星と若”が共鳴し、また新たな景色が目の前に広がった。14日放送のトークバラエティー『あちこちオードリー』(後11:16)では、星野源(44)が4年ぶりに“来店”。星野と若林正恭が、2022年10月から23年5月まで、およそ1ヶ月に1度のペースで顔を合わせた“軌跡”が全6回にわたって紡がれた『LIGHTHOUSE』(Netflix)での話題も飛び出しながら、2人の表現への思いが濃密に届けられた。

【動画】2009年を思い出し…春日俊彰、渾身の「トース!」

■星野源、音楽制作に変化「何かを伝えたいとかない」 『オドぜひ』で見せた“意味のない高み”

 星野は、2018年の『POP VIRUS』以来となる6thアルバム『Gen』を14日にリリース。若林が「(前回出演した)4年前、40代なりたてとかじゃないですか?(そこから)変わったりしましたか、歌詞とかメロディーとか」と音楽活動への変化について向けると、星野は「前はギターで延々と録音機に歌いながら何時間も録っていて、その中からいいのをピックアップしていたんですけど。コロナ禍で勉強できる時間ができたことで、打ち込みの勉強ができるなと思って始めて。気持ちが音楽始めた中学生の時ぐらいに戻ったんです。楽しいみたいな感じで、新しいアルバムを作っていました」と声を弾ませた。

 また、若林の「歌詞とか、ここのパンチラインでぶっ刺してやろうとか、そういう気持ちとかって、若い時はあったり?」との質問には「前はありました。パンチラインって思いつくと、すごくうれしくて。これはいろんなところに刺さるといいんじゃないかなと思って、殴り書きみたいな、汚い言葉も使うし。今は何かを伝えたいとか、何かを言いたいとか、まったくないです。何にもないです。もともと、モノづくりをしていると言いたいことって早々になくなるものじゃないですか?もう、とことん言いたいことは何もない」と達観したような表情でコメント。

 この質問をした意図として、若林は「中川家さんの漫才を袖から見ていた時に、すごく面白くて。途中で、剛さんが屁をこいたんですよ。礼二さんがすごく詰めていて、剛さんは何も返してなかったんです(笑)。それで、お客さんがすごく喜んでいたんですよ。かといって、屁をこけばいい訳じゃない。それが自然に無理なくできているってなんだろうって、初めてそんなことを考えて。大喜利のフリップの角度いいやつを漫才で並べるって、今のオレと春日に合っていない気がする。でも、答えわかんない」としみじみと口にした。

 春日俊彰から「今のオードリーの漫才」について質問を受けた星野は「なんとなく思うのは、意味がない高みみたいなものを目指されているのかなっていうのは、最近の漫才を見て特に感じる」と自身の見解を披露。これを受け、若林も「全然わかっていないんですけど、行ってみたいな」と口にしていた。漫才ではないが、中京テレビ『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』の最新回では、21歳の視聴者から「最近、春日さんのトゥース、手を抜いてますよね?僕の本気のトゥースを見て思い出してください」との投稿が寄せられた。投稿者がスタジオに登場し、元気だった2009年の春日の「トゥース!」を再現する流れとなり、迫力たっぷりに「トース!」と披露。これを見た若林が笑いながら「ちょっとわかる。(最近の春日は)『トゥース!』と言った後の言葉を考えているような気がする。『トゥース!』に全部を込めてほしいよね」と鋭い指摘を投げかけた。

 そこから、春日が、若林と投稿者のアドバイスを受けながら最高の「トゥース!」を模索することになり、最終的には「トゥースの先にトースがある」という結論に。最後は、最高の「トース!」を引き出すために、若林と春日の“共同作業”が行われ、2人とも笑って、春日が「あぁー楽しい(笑)!」と口にする様子は“意味のない高み”のようにも感じられた。

 『あちこち』でのトークに戻ると、星野は「意味がないって楽しいと思うんです」と切り出し、こう続けた。「意味があることが中身があるって、なんとなく思っちゃうけど、あんま関係ないっていうか。意味が見つかったら幸せになるとなんとなく思っちゃうけど、意味と幸せって全然別で、意味を得られても幸せが得られるかは別で。幸せって、もっと適当なものだと思うと。意味がなくても面白い曲みたいなものって、もっと作れるよなって。とにかく面白い音楽ができたら最高みたいな、そういうのを目指すようになりました」。

■若林正恭がかみしめる地上波では伝わらない「幸せ」 「絶望」をベースに照らすまばゆい光

 そして、星野が「今、本当に何も興味がなくて」と話し出すと、若林が「ありがとう、星野さん。いやーうれしいな(笑)。ありがとう。なんも興味ないですよね」とかみしめるように口にした。星野が「若ちゃんも一緒でしょう(笑)?いやーそうだと思っていたんだよな。本当になんにも興味がなくて」と続けると、若林は「地上波テレビの世界は、太字テロップで『今これです』じゃないと、もう無理なんですよ。『なんにも興味ないっす』は無理で。だから、もういいかなって思ってるんですよね」と率直な思いを語った。

 若林の思いはめぐり「たしかに、幸せっていうものを、要素や端的に言葉で『だから今、幸せなんだ』って、人に伝わるようにしたくなるじゃないですか。SNSが権威の時代だし。幸せって、ふわっとしてますよね。『今、こいつと歩いているこの風いいね』みたいな感じになっちゃう」との持論を展開。

 そして、4年前の出演時に、星野がテレビ界の風潮として「どうしても腐すみたいな方向があるけど、その流れの中に乗りながらも、若林さんは違うところを模索されているのが、日本テレビ界の希望」とコメントしたことが話題となった。星野は「でも、それすごく後悔していて。その日から若林さんの苦悩が始まった気がしていて。『ゴールデン覇王になる』と(フリップで)出したり。芸能界でもう1回エンジンを入れて頑張るんだと、もがいている様をテレビで見て、オレのせいだって」との後悔を抱えているのだと告白。

 そこから『LIGHTHOUSE』名場面のひとつでもある、#3「Christmasプレゼント」でのエピソードへと派生していく。『LIGHTHOUSE』#3では、若林の1行日記「今の若林が何をすればいいか教えてくれ」をきっかけに、星野が「僕がちょっと思ったことは、若林さん、一言で言うと飽きたんじゃないかな」と切り出し、若林が「星野さん、言いますねー。いやーうれしいなぁ。飽きたっていう言葉を。オレ今涙出そうなんですけど、誰にも言えなかったんですよ」との胸の内を吐露。番組の“第1章”が完結するような内容となり、「常識は老いていく」「未開の闇に舵を切る」といった歌詞が印象的な楽曲「仲間はずれ」も誕生した。

 星野は、こうした当時のトークを振り返り「オレも飽きました(笑)。同じ絶望を…。でも、発見なんですよ。絶望していても幸せだなって。ご飯おいしかったら、OKっていう」としみじみ。若林が「40になりたての頃と、4年しか経っていないですけど、ぼやっとしていたものが、やっぱそうなんだってなっていません?」と向けると、星野は「20代30代の頃に思っていた良きモノが、ガラガラと崩れていく様に対して、なんとか抜け道あるんじゃないか、それを乗り越えて何かがあるんじゃないかと思っていたんですけど、マジでないっすね!」と答えるなど、絶望への共鳴も印象的だった。

 『あちこちオードリー』も手がけている佐久間宣行氏によると、『LIGHTHOUSE』という言葉には、2人が「悩める人々の明かりを照らす灯台でありながら、自分たちの足元は暗そう」という存在であるとの思いも込められているという。今回の『あちこちオードリー』でも、自分たちが抱えている「あきらめ」「絶望」をベースに、視聴者へまばゆい光を照らしていた。

 番組の模様は、TVerで見逃し配信中。

    ニュース設定