
今回は、同じ国債でも「新窓販国債(しんまどはんこくさい)」について、その特徴や購入の流れ、必要な準備について、初心者の方に分かりやすく解説していきます。
新窓販国債ってどんなもの?
新窓販国債とは、国が発行する債券の1つで、銀行や信用金庫、証券会社などの窓口で購入できます。個人だけでなく、法人やマンションの管理組合などの団体も購入できるのが特徴です。購入は5万円からスタートでき、以降5万円単位で希望の金額を指定できます。満期(お金が戻ってくるまでの期間)は2年・5年・10年の3種類。いずれも固定金利型です。2025年4月時点では、
・10年満期:年1.40%
・5年満期:年1.00%
・2年満期:年0.90%
と、比較的高めの金利が設定されています。
満期を待たずに中途換金する場合は、国による中途買い取りはないため、市場で売却することになります。その場合、その時の市場価格で売ることになるため、タイミングによっては元本割れ(損)になってしまう点には注意が必要です。
|
|
新窓販国債をはじめて購入するにはどうすればいい?
新窓販国債は、全国の金融機関(銀行・信用金庫・証券会社・農業協同組合など)で購入できます。店舗窓口で相談しながら手続きできるため、「はじめてで不安」という方も安心して始められるのではないでしょうか。2025年4月時点での取扱金融機関は全国に約570カ所。お近くの金融機関や、財務省の公式Webサイトで確認してみましょう。
手続きに必要なもの
はじめて国債を購入する場合は、購入しようとする証券会社、銀行等の金融機関に国債の口座を開設する必要があります。その際、以下のものを準備しましょう。・購入代金
・預金通帳(利子の振込先として)
・印鑑
・本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証など)
さらに、新窓販国債の購入時には「初回の利子の調整額」が必要になります。
「初回の利子の調整額」って何?
新窓販国債を買うときには、「初回の利子の調整額」というお金を、購入代金とは別に支払う必要があります。これは、債券の一般的なしくみで、「経過利子」とも呼ばれます。
|
|
ただ、新窓販国債には募集期間や発行日が設定されていますが、発行日から初回の利払日までの期間がぴったり半年にはならないため、購入時に半年に満たない分の利子(日割り)をあらかじめ払います。そして、その後の最初の利払い日に、通常通り6カ月分の利子が支払われます。つまり、利子の調整額は「6カ月分の利子の一部を前払いしておくもの」と考えると分かりやすいです。
「新窓販国債」が選択肢になる人って?
新窓販国債は、個人向け国債よりも、少し表面金利が高いという特徴があります。ご自身の資産運用スタイルが以下の場合が該当するならトライしてみるのもいいかもしれません。金利が固定されている方がいい人
新窓販国債は全て「固定金利型」の商品です。購入時の金利が満期まで変わりません。つまり、満期までその金利をキープできるということになります。今後、金利が下がっても影響を受けず、安定した利息を受け取ることができます。満期前に市場で売却するかもしれない人(ただし元本割れに注意)
急な資金が必要になったときでも、証券会社などを通じて途中売却が可能です。ただし、市場価格は変動するため、売却時の金額が購入時を下回る「元本割れ」のリスクもあります。元本保証を重視するなら個人向け国債が無難です。
|
|
比較的短期(2年)で運用したい人
新窓販国債には2年満期の商品もあるので、「とりあえず短期間だけ資産を運用してみたい」という方におすすめです。長期間お金を固定するのは不安という方でも、2年なら比較的始めやすいと感じるのではないでしょうか。表面金利に加え「応募者利回り」を期待する人
新窓販国債は、市場実勢に応じて利回りが決まるため、「表面金利」に加え「応募者利回り(実質の儲け)」が大事な指標になります。「応募者利回り」とは、購入者は募集金額で購入することになり(額面100円に対し上回ることもあれば98円などに下回ることもある)、この募集金額と額面100円との差額や、表面利率などを含めて最終的に、どれくらいの利回りになるのかを知る指標です。
市況が良ければ、高い利回りも期待できる可能性もあるため、「利息込みでどれだけ得か」を重視する方には魅力的な選択肢といえそうです。
「新窓販国債」は、比較的安全で金利も高め、はじめての方でも取り組みやすい資産運用の1つです。興味がある方は、まずは自分のライフプランや将来の出費を見すえて、ムリのない金額・期間で始めることが大切です。資産運用は、安心して続けられることが何よりのポイントです。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))